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組織に信頼を取り戻す-『Who you are』 ベン・ホロウィッツ-

本日は、ベン・ホロウィッツの新書『Who you are』を紹介していきます。

この本は企業、組織の文化について過去や現代の人物に迫りながら、いかに組織文化を構築していくかを軸に展開されます。

結論は、文化はあなたの行動がつくる

となりますが、この本は文化を構築するサイド経営者、起業家、もしくは管理者向けに書かれていると言えます。

一方、僕自身はいち社会人なので文化を自分で構築できるサイドにいません。

そのため、今回のブログは僕のように文化を構築できない方でも意義がある内容に絞っています。

<目次>
■事実を伝える
■Bad news is first (悪いことはまず報告)
■倫理規範を打ち出す。

ホロウィッツはどの組織にも絶対に必要な文化規範は、”信頼と忠誠心”と述べています。

本ブログでは信頼をいかに組織の文化規範として根付かせるかを考えていきます。

■事実を伝える。


まず、信頼を組織内文化に根付かせるために必要な1点目は、”事実を伝えているか”です。

立場は関係ありません。雇う側と雇われる側、オーナーとワーカー、ボスと部下。

私も、あなたも、彼も、彼女も組織のメンバーが事実を伝えているか、それがない限り組織に”信頼”という文化を根付かせることはできません。

そして、事実の伝え方のポイントが3つです。

1,事実をはっきり述べる。
2,事実を認める。
3,その事実がより大きなミッションのためになぜ必要か、どれほど大切か説明する。

これが経営者によるレイオフの場合ですと、

1,売上が10億円未達のため50人レイオフする。
2,1未達の要因が自身にあるときは、それを認め、失敗と教訓を伝える。
3,最終的な成功やミッションのためになぜレイオフが必要かを話す。

そして、例えば営業担当者の方であれば、

1,ある取引企業様との契約を打ち切る。
2,打ち切りに関して自身の反省と教訓がある場合は、それを伝える。
3,それが、会社や組織とってなぜ長期的には必要な判断か伝える。

読むだけですと当たり前のことですが、意外とできてない組織は多いと思いますます。

仮に、上司や経営者が事実を伝えるのが困難な案件(レイオフ/優秀な人材の転職等)に対して、1-3のステップで事実を伝えられてない場合、僕ら自身もできてないと考えるべきだと思います。

なぜなら、事実を伝えるというのは企業文化であり、上司ができなければ、部下もできてない可能性が高いからです。

僕も確かにだましだましやっている、伝えていると自分で感じる時があります。

自分の所属する組織に信頼という文化を築くために、まず”事実を伝えること”をから始めてみましょう。

また、特に経営者、オーナーの方はその事実に新しい意味を持たせなければいけません。なぜなら、その事実の解釈が人によって異なるからです。

レイオフの場合、マスコミは経営が傾いていると思い、社員は裏切られたと感じるかもしれません。

そのため、まず経営者がその事実に対して新しい意味づけをすることが必要です。

■Bad news is first (悪いことはまず報告)

そして2点面は"Bad news is first”です。僕の会社でも口酸っぱく言われていますが、本当に大事だと思います。

当然、人って悪いことは報告したくないですし、勇気もいります。そのため、組織の文化として”Bad news is first”を創るのは非常に難しいです。

様々な理由があります。

1, 解決策がなく、問題だけの報告は無責任に感じるが上の先延ばし。
2, 長期目標が短期のインセンティブに合わない。(半期ノルマ達成のためにプロダクト欠陥に目を瞑る。)
3, 怒られたくない。

そもそも、怒られたい人はいないのでこの文化は構築するのは非常に難しいです。

では、どのように構築すれば良いか。

1,悪い知らせを歓迎する。
2,人ではなく課題に焦点を当てる。
3,普段の仕事の中で悪い知らせを探す。

こちらは経営者であれ、誰であれ実践できます。

例えば、部署の定例ミーティングの際は、まずBad Newsがないか確認する。自分か他の誰かが、適切に報告するようになれば周りも理解を始めます。

そして、原因の追求はその人自身ではなく、課題に焦点を当てます。往々にして組織の問題はコミュニケーションであったり、優先順位の付け方などです。

その社員自身が原因である場合は珍しいので、本質的な原因を考え、対応していきます。

そして、社員であっても同僚、新人、僕の場合海外のローカルのスタッフに日頃から、困ってることはないか、障害になっていることはないか。コミュケーションする機会を設けましょう。

こちらが真摯に対応することで次第に打ち解けてくると思います。

■倫理規範を打ち出す。

以上のような事実を正しく伝える、正しさに拘るといったことを企業の文化としてどのように明文化すればよいのでしょう。

例えば、2009年のUber(ウーバー )の文化規定です。

1,ウーバーミッション
2,都市を味わい尽くす
3,実力主義と対立
4,節度ある対立
5,勝ちにこだわる
6, 7.....(続く

とにかく勝つことに拘る文化規定でした。負けてはならない。

結果ウーバー の新人研修では、

「ライバル会社が4週間以内に相乗りサービスを始めることになった。ウーバー はライバル会社より先にまもともな相乗りサービスをローンチできないどうしたら良いか??」

というシナリオが与えられます。この際のウーバー の正解は、「準備万端のふりをして、間に合わせのサービスを作り、ライバルより先にローンチする。」

だそうです。なによりも勝つことが最優先で誠実さはおざなりでした。それが、ウーバー の不祥事を生んだ背景だと本書は述べています。

そして、新CEOとして就任したコスロシャヒは企業理念をつくりかえます。

1, グローバルに開発し、ローカルに生活する
2,顧客にこだわる
3,4,....
8,正しいことをする。以上。

誠実さを組み込みました。

しかし、ホロウィッツはこれでは足りないと述べます。

正しいことをするというのは具体的に何を指すのか、「以上」とつけたすことで、意味がはっきりするのか。

具体的に示す。そしてその価値感の背後にある「なぜ?」をことあるごとに訴えることが大切で、「なぜ?」がない限り人の記憶に刻まれません。

本書のひとりの主人公、ハイチ革命のリーダーのルーベルチュールが引き合いに出されます。彼は、黒人奴隷兵士に規律の理由を以下にように説きました。

この地上で最も大切な財産、それは自由である。その自由が滅びることのないよう、我々は戦っている。
倫理については、「なぜ?」を説明できなければならない。なぜ略奪してはいけないのか?なぜなら略奪は真の目標の妨げになるからだ。真の目標は勝つことではなく、自由だ。
もし間違ったやり方で勝ったとしたら、何を勝ち取ることになる?市民から自由を奪うような戦いをして自由な社会を築けるだろうか?自由な社会を築けないなら、何のために戦っているのだろう?

革命のリーダー、ルーベルチュールは当時、戦争において当然であった敵対国への略奪、また不要な殺人を禁止しました。

それ以外にも、妻を裏切らないこと、責任を取ること、勤勉に働くこと、社会倫理を守ること、など読み書きのできない奴隷の黒人兵士に哲学を説きました。

これでもかという具体的な倫理規範を説き、兵士の倫理規範を引き上げ、そして最後にフランスに打ち勝しました。

しかし、勝っても略奪は行われなかった。

なぜなら、全員が自由のための戦いであり、そのための倫理規範であることを理解していたからです。

企業や個人も常にこの選択にさらされます。

社員をクビにするか、不公平だが昇格させるか、些細な仕事のミスを報告するか、仕事が残ってしまったのでサービス残業をするか。

これらの判断は”正しいことをする”という標語だけでは解決できません。

僕ら1人1人、そして企業1つ1つがその背後にある”なぜ”を理解しないといけないし、持たなければなりません。

部下や新人から、

なぜノルマ達成のためにサービス残業してはいけないんですか?

と聞かれた時に、僕らは正しい答えを持っているか。そして、その答えは組織の中で共通の理解があるか。

もしないのであれば、組織の文化をもう一度考え直す必要があるかもしれません。


僕は考え直してみた方が良いと感じています。


本日も読んだいただきありがとうございます。









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