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こども家庭庁発足 ーこども基本法ってなに?ー

今年4月、これまで厚労省や内閣府が取り組んできた保育や母子保健、児童虐待対策や、子ども・子育て支援等に関する子ども政策の一本化を図るために、こども家庭庁が発足しました。

そこで、こども施策を社会全体で総合的かつ強力に推進していくための包括的な基本法として、成立(令和4年6月)・施行(令和5年4月)された「こども基本法」とはどのようなものか、確認していきたいと思います。

こども基本法パンフレット(PDF/17,372KB)


こども基本法は、こどもたちを取り巻く状況が深刻であるため、こどもの最善の利益を第一に考え、子供に関する取り組みや政策を強力に進めることを目的としています。法では、「こども」とは、心身の発達の過程にある人を指し、一定の年齢で上限が設定されていません。こども施策には、こどもの健やかな成長を支援することを目的とした施策に加えて、教育、雇用、医療など幅広い施策が含まれます。

引用元:こども家庭庁ホームページ


基本理念として、こどもの権利や個人の尊重、法の下での平等などが規定されています。また、こどもの意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮されることが求められます。さらに、子育てに対する社会全体の支援が定められており、子育てをする人やしようとする人が喜びを感じられる環境整備が示されています。

国と地方自治体は、こども施策を策定・実施する責務が課せられており、事業主には働きながら家庭を両立する雇用環境整備に努力義務が課されています。また、国民にはこども施策に関心と理解を深める努力義務が課せられています。

引用元:内閣官房こども家庭庁設立準備室 「こども基本法説明資料」


第 8 条以降では、こども基本法に基づいた具体的施策への展望が示されています。

第 8 条では、こども白書が毎年国会に提出されることが規定されており、従来の少子化社会対策白書、子供・若者白書、こどもの貧困対策の内容が統合されています。

第 9 条では、こども大綱が制定され、従来の少子化社会対策大綱、こども・若者育成支援推進大綱、こどもの貧困対策大綱が一元化されることが規定されています。

第 10 条では、都道府県および市町村こども計画が策定されるよう努力義務が課せられています。

第 11 条では、国および地方公共団体がこども施策を策定・実施・評価する際に、こどもや子育て当事者の意見を広く聴取し反映させるための措置を講じることが定められています。

第 12 条では、こども施策における年齢の壁、制度の壁、関係省庁の縦割りの壁を打破し、統合的・一体的に支援を提供していくための体制整備が規定されています。

第 13・14 条では、こども施策の適切で円滑な実施のため、関係機関や民間団体の連携が重要であることが述べられています。国や地方公共団体には連携の確保に努める義務があり、情報通信技術の活用が求められています。地方公共団体は協議会を組織できることになっており、行政機関や民間団体が協議会の構成員として想定されています。また、既存の協議会との関係が説明されています。

第 15 条では、こども基本法と児童の権利に関する条約の周知が重要であることが述べられています。こども家庭庁を中心に、関係省庁が連携し、あらゆる機会を通じて周知していくことが求められています。

第 16 条では、政府に対して、こども施策の充実と財政上の措置が求められています。こども大綱に基づき、目標達成に向けて予算の確保と施策の充実が求められています。

第 17〜20 条では、こども政策推進会議が設置され、こども大綱の案を作成し、施策実施を推進する役割を果たすことが述べられています。また、幅広い関係者の意見を反映させるための措置が求められています。

上記のように、こども基本法では、従来の枠組みではサポートすることができなかったこどもたちを取り巻く環境整備を進め、健やかな成長を促すための取り組みが示されています。

具体的な施策に落とし込むまでには時間がかかることもあるかもしれませんが、「こども」をより幅広い範囲で捉え、教育の分野だけではなく、雇用や医療など、既存の縦割りに基づいた枠組みを打破していくための論拠を与えるものになっています。

こちらの自治体通知文には、よくある質問集が記載されていますので、ご関心をお持ちの方は合わせてご覧ください。

株式会社エデュテクノロジーでは、こども施策を社会全体で推進していくための教育環境を整えるため、学習用端末を含めた ICT 機器の環境デザインや活用マニュアル等のハード設計から、ICT の強みを活かした授業デザイン等のソフトウエア設計までトータルに支援する「教育DXコンサルティング」を提供しています。長年培った経験とノウハウで、これからも児童生徒の学力向上に向けた「学びと ICT 」について、学校と教育委員会へのサポートを行っていきたいと考えています。




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