大学入学共通テスト科目に「情報」が追加 必修科目となる「情報」にどう対応していくのか。
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大学入学共通テスト科目に「情報」が追加 必修科目となる「情報」にどう対応していくのか。

株式会社エデュテクノロジー

2025年1月に実施される大学入学共通テストから「情報」が新たに加わることが既に決定されていたが、このたび国立大学の一般入試で「情報」を必須科目として受験生に課す方針が、国立大学協会により1月28日に正式に決定された。

2022年4月に高校入学する生徒から「情報I」が必修科目となるが、2025年1月実施の大学入学共通テストではその生徒達が初めて「情報」の試験に挑むことになる。

実に21年ぶりの必須科目追加となるこの大きな決定は、高校教育にどのような課題を与えるのか。特に、指導者の不足やその対策について確認していきたい。

引用元:大学入試センター公表資料を元に文部科学省作成「【参考資料2-4】大学入学者選抜関連基礎資料集 第4分冊(制度概要及びデータ集関係)(その3)『新学習指導要領に対応した令和6年度に実施する大学入学共通テストの出題教科・科目について』」https://www.mext.go.jp/content/20210621-mxt_daigakuc02-000016052_9.pdf


情報Ⅰ」は、2022年度4月より適用される新たな高等学校学習指導要領に基づき、国語や数学・英語などと同じ「基礎的な」科目として、そして「必履修で」生徒たちは学習することになる。教員には、プログラミング・ネットワーク・データベースの基礎といったより高い専門性が求められることになるが、では、どのように担当教員を確保すれば良いだろうか。

2020年時点の数字だが、「高等学校教諭普通免許状(情報)」および「高等学校教諭特別免許状(情報)」、「高等学校教諭臨時免許状(情報)」の保有教員は、全国で9,903人存在する。そのうち高校の情報科を担当している教員は3,839人で、半分以下となっている。つまり、現在情報科を担当していない情報免許状保有教員が6,064人も存在する。

一方で、2020年時点の情報科担当教員5,072人のうち、情報免許状を保有していない教員は977人おり、都道府県・指定都市全66地域のうち、すべての高校で情報免許状保有教員が情報科の担当をしている地域は、わずか17地域しかない。あとの49地域では、臨時免許状保持教員か、情報免許状を持っていない教員が情報科を担当しているのだ。

文部科学省の資料からは、情報免許状を保有する教員の地域的なバラつきなどの課題が見てとれる。

引用元:文部科学省「【参考資料2-4】大学入学者選抜関連基礎資料集 第4分冊(制度概要及びデータ集関係)(その3)『高等学校情報科担当教員に関する現状について』」を加工して作成https://www.mext.go.jp/content/20210621-mxt_daigakuc02-000016052_9.pdf


情報科目には高度な専門性が必要である。そのため、今後は計画的な教員採用や情報免許状を持っている教員を適切に配置するための効果的な工夫が求められている。特に、取組等が遅れている都道府県・指定都市への個別・継続的な相談・働きかけが重要だ。

こうした現状から文部科学省は、情報免許状を保有する教員についての遠隔授業などを活用した複数校兼務の促進や、情報免許状を保有しない情報科教員の専門性を向上する取り組みなどを目指している。

免許保持教員による複数校兼務については、既に実施している教員や関係者に対して行ったヒアリングをもとに作成した指導モデルや、既に実施している自治体の取り組み事例を掲載した「手引き」を活用する。手引きには、それぞれの学校の異なる時間帯を利用し兼務するモデルや、全日制と定時制で兼務するモデル、兼務校へ機器を利用した遠隔型にて授業を配信するモデルが掲載されている。

情報の授業は、これまで数学や理系の教員など他の教科の教員が兼務することも多かった。しかし「情報Ⅰ」ではプログラミングやデータサイエンスなどの高い専門性が求められるため、そのような情報技能への高い専門性を持つ外部人材を積極的に活用することも必要となるだろう。文部科学省は、教育委員会や学校向けに、外部人材活用のための指導モデルの共有、また外部人材が授業参画前に理解すべき内容を盛り込んだ研修カリキュラムを示した手引きを作成している。

引用元:文部科学省「【参考資料2-4】大学入学者選抜関連基礎資料集 第4分冊(制度概要及びデータ集関係)(その3)『情報関係人材の活用促進に向けた育成カリキュラム及び指導モデルの手引き』」https://www.mext.go.jp/content/20210621-mxt_daigakuc02-000016052_9.pdf


具体的に「情報Ⅰ」で活躍できる外部人材として、元教員・大学教授・IT講座講師などの指導経験者の他、元情報関連産業従事者・IT技術者や・情報工学系の学生などが想定されているが、これら外部人材をいかに積極的に活用するかが問われている。

ただし、外部人材の斡旋については、教員などによる個人的なつながりに頼るのには限界がある。そのため、効率的に人材の斡旋ができるような仕組みづくりが必要だ。現場の負担を軽減し情報教育をスムーズに進めるために、自治体ごとに採用をどうすすめていくか、自治体内で方向性や考え方を統一していくことも重要だろう。

さらに、言うまでもなく、現職の情報科教員のスキルアップや専門性向上のために、研修や教材活用などの取り組みは欠かせない。そして、情報という教科の指導体制を充実させていくことができる専任教員の雇用の促進も、進めていく必要がある。


大阪府では、IT・プログラミング教育サービスを提供する一般企業と連携協定を締結し、教員の指導力を強化する研修を実施したり、生徒自身がプログラミングとデータサイエンスに関する知識とスキルを取得できるようなプログラムを提供したりといった取り組みを決めている。このような、一般企業と連携した自治体の施策なども今後検討の余地があるだろう。


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