0~14歳の人口にみる教育システムの限界
日本の人口は減っているものの、それでも世界的には多いという事実
みなさんこんにちは。前回の投稿から数週間が経過してしまいました。毎日noteチャレンジをしていた私にとっては非常に悔しい結果となってしまいました。ここ数週間は業務量がかなり切迫しており日々の業務に追われる毎日でした。お盆も挟んで少しまたペースを取り戻してきたのでこのタイミングで再開します。時間管理についてはまた別の機会にブログにしようと思います。
さて、今日は表題にある通り、人口という切り口から世界の教育について考えてみようと思っています。
先日のブログで、日本における人口減や教員減についての考察を書いたのですが、ありがたいことに様々な方々から反響がありました。
このブログを書いていく中で思ったこととして、日本は確かに減少している、されどやっぱりまだ日本には1億2000万人の人口を誇っている、ということです。少なくとも現時点では。
これを見ると、日本は世界11位にランクインをしています。196カ国が世界にはありますが、その11位に位置しています。
みなさんはこの事実についてどう思いますか?
また、子どもたちの人口で言うと約1500万人弱という数字になっています。
もちろん年齢別の人口比は国内において子どもの割合(0-14歳)が減少傾向にありますが、それでも1500万人弱という数字はそれなりの数字ではあります。
以下、0~14歳までの国別人口ランキングになります。
日本は25位に位置しています。G7の中では、日本よりも上に位置している国は、アメリカのみです。また、G20まで範囲を広げると、中国、インド、ブラジル、インドネシア、が日本よりも多い人口に位置しています。
日本で教育的に注目がされている、イエナプランのオランダ、フィンランド式のフィンランド、レッジョ・エミリアのイタリアなどの人口を見てみましょう。
上の図の一番右側の項目が0~14歳の人口になります。こちらを確認すると、オランダは日本の約1/5、フィンランドは日本の約1/17、イタリアは日本の約1/2という人口比になります。
すでにみなさんはお気づきだと思いますが、日本は少子化が深刻な問題だと指摘されていますが、少なくとも現時点では、まだまだ日本における若者の人口は国レベルで見ると多いところに位置しています。
人口にみる教育システムの限界値はどこか
本ブログでは何度も登場していますが、日本国内において「主体的・対話的・深い学び」が必要だと言われています。これはこれからの国際社会において必要な資質能力を獲得をするために学習指導要領で提示されている内容です。
このどのように学ぶかという点について、授業では協働的な学び等を通して、他者理解をしたり、自分の意見を表現したりすることが求められます。一方で、これらの活動を行うにあたっては、45-50分という授業時間の制限下の中でどこまでの時間が捻出できるか、という点が焦点になってきます。
この点については、昨今のGIGAスクール構想によって、一人一台のタブレット端末が配備されたことにより、これまでの学習が短い時間で実現可能になったり、児童生徒の個々人の知識レベルに合わせて適切な学習をすることによって効率的な学びができるようになりました。
つまり以下にあるような時間の使い方が可能になってきたというわけです。
一方で限界はあります。通常日本の小学校や中学校の1クラスは30-40人で構成されています。
1人の先生が40人の児童生徒をきめ細やかに学習する様子を確認したり、サポートしたりすることには限界があります。
ましてや協働的な学びにおいては他者との対話が必要になるため、ペーパーテストなど時間差で一律に評価することはできません。一人一人の言葉に耳を傾けて丁寧に確認する必要があるわけです。
このことは非常に難しいわけです。
フィンランドやオランダがより充実した主体的で対話的な学びができているのは、やはり原則1クラス10-20人程度で構成されていることは非常に大きな意味を持っているでしょう。
つまり、人口と教育システムは密接につながっており、既存の教育システムである以上は、これからの学びのあり方を追求したところで、どこかに限界点を迎えることが想定されるわけです。
日本の人口にみるこれから教育システムのあり方
これに関しては答えはないと思いますが、いくつかのパターンがあるのではないかなと考えています。以下、個人的に考える3つのパターンです。現実的かどうかというよりも、単純に考えられる選択肢を列挙してみました。
日本の若者の人口減を待って、主体的・対話的・深い学びが自動的によりやりやすくなるまで現状の教育システムの枠組みを保つ
先生もしくはサポートのような立場のボリュームを増やし、40人という数でもきめ細やかにサポートできるようにする
20人クラスを多くの学校で採用し、少人数クラスを実現する
1については、今の教育システムを保ったまま、時間とともに自動的に学びのあり方が変わるまで待つというやり方です。以下のブログでも紹介しましたが、毎年20~30万人の15歳未満の若者が減少しています。
仮にこの数値が毎年続く場合、15年後には1000万人を切るくらいの計算になります。人口が減少すれば、少人数での学習環境ができていくことでしょう。しかし、同時に現在は教員の数も減っていますから、この辺りとの兼ね合いが懸念点としてあります。また、15年経っても1000万人程度ということは依然としてオランダやフィンランドなどよりも多いわけですから、どこまで同じような学習環境になるかは未知数です。
2の選択肢に関しては、この3つの中では一番現実的なのかもしれません。一番のネックは予算の問題でしょう。簡単にいうと先生になれる機会を増やし(例:教員免許を持っていない人でも先生や講師になれるような制度を設ける)、児童生徒をサポートできるボリュームを増やすというやり方です。このようにすれば既存の教育システムも保ちつつ、今よりも一人ひとりの学習活動をきめ細やかにサポートできます。ただし、教育のプロでない人も携わることになりますから、この辺りをどう教育の質として担保していくかという部分は論点になるでしょう。
3については、これまでの日本の教育システムを大幅に変更することになります。しかし、実際に2021年には義務教育標準法が改正され、正式に35人学級に引き下げがありました。傾向としては少人数学級への意識というのは強まっています。
これを20人学級まで引き下げるということです。これによって何が起こっているかというと、以下のブログでも指摘しましたが、教員採用の倍率が顕著に下がってしまい、競争率が落ちる→教員採用の基準が下がる→教育の質が低下する、という点が1番の懸念点になります。
また、先生の数が増えるわけですから、予算も追加でかかってくるという点も2と共通しています。
さて、いかがでしょうか。
みなさんはどの選択肢が一番現実的ですか。もちろん4つ目、5つ目の選択肢も考えられるかもしれません。
今、私たちはICTというツールを手にし、少しずつ従来の教育システムの枠組みの中で、探究的な学びにシフトチェンジしつつあります。
しかしながら、本当に国際社会が求める資質能力を獲得するのであれば、今日テーマとして挙げたような、教育システムの変化も同時に達成し、より先生が必要な学びを提供しやすくなるような体制に移行しなければなりません。
まだまだ変化の途中にあると思いますが、少しずつみなさんと対話をしながら、実際の変化を実現するためのアクションを行わなければならないですね。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?