世界の教養:レフ・トルストイ ー 幸せな家族は、みな一様に似ているが、不幸な家族は、それぞれが違った形で不幸である

今回紹介するのは、「レフ・トルストイ」です。”戦争と平和”の小説で有名ですよね。

ロシアの文豪トルストイ(1828〜1910)は、作家たちから大きな敬意を捧げられていて、昔から手も届きそうにない天才だと考えられてきたそうです。その名声は、主に二つの大作「戦争と平和」と「アンナ・カレーニナ」によるもので、どちらも現代小説の原型となっているようです。

ロシア貴族の名家に生まれたトルストイは、大学教育を受け始めたものの、退屈して中退しました。その後は、軍隊に入ったり、学校を開いたり、ヨーロッパ各地を旅したりしましたが、自分の進むべき道を見つけることはできずにいました

1860年代後半(30代後半)に、「戦争と平和」を執筆しました。これは、大河小説で、ナポレオン戦争を背景に1812年のフランスによるロシア遠征(ロシアの厳しい冬の犠牲に待って大失敗に終わったことで有名な遠征)をクライマックスとする物語です。小説では事実とフィクションが交錯し、最後で歴史を形作る巨大な力は、人間の不合理で予測できない行動にある、と結論づけています

第二の傑作「アンナ・カレーニナ」は、「幸せな家族は、みな一様に似ているが、不幸な家族は、それぞれが違った形で不幸である」が冒頭の一節であり、それがテーマだそうです。タイトルにもなっている主人公は、知的で魅力的な女性で、真面目だが退屈な夫のため、夫から得られないような心ときめくような恋愛を求めいています。やがて、将校と恋に落ちると、夫と幼い息子を捨てて愛に生きようとしますが、不倫に対して社会から厳しい目を向けられ、アンナは自殺という悲しい最後をとげてしまいます。

個人的には、「アンナ・カレーニナ」は悲しい結末でしたが、夫に退屈し、別の魅力的な男性に身を寄せるという、現代にも通じるような話で、「人は昔から同じような思いを抱くのだな、興味深いな」と思いました。

参考文献
デイヴィッド・S・キダー, ノア・D・オッペンハイム, 小林朋則 訳, 文響社, 1日1ページ読むだけで身につく世界の教養365, 2018年, 337p

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