日本の内政・外交を劣化させるだけの岸田政権をどうするべきか

日本の内政・外交を劣化させるだけの岸田政権をどうするべきか


その1  岸田政権(岸田文雄)の正体


 岸田文雄は2021年9月29日の自民党総裁選(2回目投票)で河野太郎を破って第27代自民党総裁に選出され、臨時国会が召集された10月4日の首班指名を経て首相(内閣総理大臣)となり、そのまま現在に至る。

 そこから2年半ちょっと経過しているが、その間の岸田政権の位置づけが大きく変わり、同時に日本の内政・外交が大きく劣化する。まず「どうして」そうなってしまったのかを解説する。

 岸田政権が発足した当時の状況は、長期政権を続けていた安倍元首相が持病悪化を理由に(実際はそうではなかったが、ここは割愛する)2020年8月28日に辞任し、長く官房長官として政権を支えていた菅義偉が後継首相となる。その総裁任期は安倍の残存期間である2021年9月末までで、衆議院議員の任期満了も近づいていた。

 菅政権はコロナ・ワクチンの接種推進や携帯電話料金の引き下げなどで「剛腕」を発揮するが、1年延期されていた東京オリンピックを強行開催するなど批判も多く2021年9月3日に総裁選不出馬を表明していた。依然として国内外に圧倒的な存在感を維持していた安部は早急に後継首相を決めて衆議院選に臨む必要に迫られた。

 総裁選には安倍政権で外務大臣と政調会長の「要職に」起用されていた岸田文雄も手を挙げるが、安倍政権時の目に見える実績は何もなかった。とくに安倍は独自に「地球儀を俯瞰する外交」を主導していたため岸田の外務大臣としての実績は何もなく、また政調会長としてもコロナ支援金をめぐり公明党との調整に「大失敗」していた。

 当時の安倍の岸田に対する評価も「適度に無能で人畜無害なので衆議院選の顔としてや自身のダミーとしては使える」程度のものであった。岸田はそれまで5年以上も幹事長の座にあった二階俊博の更迭を進言していたことも安倍にとって好都合だった。

 総裁選について安倍は、自ら外務大臣と防衛大臣に起用したものの「大いに失望させられた」河野太郎が総裁選1回目投票で当選してしまわないように高市早苗をいったん支援表明するなど、やはり岸田を一方的に信頼していたようにも見えない。

 こうして発足した岸田政権は完全に安倍政権と後継だった菅政権のコピーでしかなく、政権を支える官房長官は安倍派(当時は細田派)の松野博一となり、岸田派からの主要閣僚の起用もなく、内政・外交を含めた基本政策はすべて安倍政権と菅政権の継承となった。

 岸田政権発足直後の2021年10月31日に投開票された衆議院選挙も自公合わせて293議席と過半数(233議席)を大きく上回ったが、これも国民が岸田政権に期待した結果でも何でもなかった。また岸田が唯一独自色を出して幹事長に起用した甘利明は小選挙区で落選して辞任したため(比例で復活)、その後任には自ら平成研(茂木派)を率いる茂木敏充が起用され現在に至る。つまり発足当時は岸田政権といっても岸田は「お飾り」でしかなかった。

 ところが「そんな」岸田に対して、官房副長官(政務担当)に抜擢した「ほとんど唯一頼れる」木原誠二を通じて財務省が財政再建を掲げて急接近してきたため、感激した岸田はすぐに財務相の「言いなり」となる。また岸田は同じく木原を通じて米バイデン政権に接近するが、これは岸田が「独自外交」を掲げたかっただけである。岸田はここでもすぐにバイデン政権の「言いなり」となり、併せて日本の内政・外交を大きく劣化させていく。

 とくに翌2022年7月8日に安倍が凶弾に倒れると、ますます歯止めが利かなくなる。また2023年6月には、自身の公約にもなく安倍が絶対反対していたLGBT法案を強引に国会承認させ、日本人の基本倫理や一般女性の安全まで危険に晒したままとなる。

 岸田政権とは、就任直後から現在に至るまで国民生活に必要な政策(元旦の能登半島地震復興のための補正予算など)は全く推進せず、余計な(しかも害のある)政策は勝手にどんどん進めて推進しまう「困った」政権なのである。

 岸田は「人事が生きがい」と公言しており内閣改造や党役員人事を頻繁に繰り出して「自身の支配体制強化」として悦に入っている。しかし身体検査が甘く、就任後に不祥事で辞任に追い込まれるケースが続発している。これは内閣官房の「諜報チーム」が全く機能していない(掌握できていない)ことを意味する。

 さらに岸田は、財務省とバイデン政権の他にも「その時々に周りにいる強そうな相手」、具体的には東京地検特捜部、習近平、金正恩とその配下の韓国勢力、創価学会(公明党)、そして最近は小池百合子や日本維新の会など「行き当たりばったり」に接近して「言いなり」となる。少なくとも最低限必要な場合でも戦わない。

 大変に困ったことに岸田は、財務省とバイデン政権をはじめ周りにいる強そうな相手の「言いなり」になってさえいれば自身の政権は「いつまでも」安泰であると固く信じている。

 かくして財務省の緊縮財政・増税路線とその傘下である日銀の金融引き締めで(円安と株高で潤う大企業を除いた)中小事業主や一般国民の生活は疲弊し、米バイデン政権の「言いなり」である日本の外交は危機的となり地勢リスクは「すでに」極大となっている。

 岸田政権発足から「たった」2年半ちょっとで、日本の政治は「かくも」劣化してしまった。しかも好転の兆しが全く見えない。

 このうちバイデン政権に支配された日本外交の「悲惨な」現状と今後については、国民に全く知らされていないウクライナへの巨額復興支援をめぐる「密約」とともに、最後に改めて詳しく解説する。


その2  さすがに始まった自民党内の「岸田おろし」の行方


 自民党総裁の任期は3年であるため本年(2024年)9月には総裁選がある。岸田は「現時点」においても再選されるつもりで、G7首脳会議のあるイタリアに出かけて行った(6月16日夕方に帰国)。

 しかし岸田はイタリアへの出発前に早々と6月23日に閉会となる今通常国会の会期延長を断念したため、公約であるはずの憲法改正や、すぐに必要となるはずの法案審議(EUが急遽引き上げた中国製EVに対する関税引き上げなど)は全く出来なくなってしまった。

 また国会閉会中は衆議院解散もできない。衆議院議員の任期はまだ1年ちょっと残っているが、そもそもこのタイミングで衆議院を解散する意味は衆議院選勝利で勢いをつけて総裁選に勝利するためである。過去の例では解散を封じられた首相は、早晩退任に追い込まれている。

 しかし自民党と連立相手の公明党は、4月28日に投開票された衆議院3補選に「全敗」した後も、静岡県知事選、東京港区長選、目黒区都議補選など「ありとあらゆる選挙」に敗れ続けているため、衆議院解散どころではない(ただし6月16日に投開票された沖縄県議会選は「珍しく」自民・公明で過半数を占めた)。

 当然に岸田政権の内閣支持率も低下を続け、時事通信が6月7~10日に実施した世論調査では支持率が前月比2.3ポイント低下の16.4%、逆に不支持率は同1.4ポイント増加の57.0%、少なくとも支持ではない「わからない」も26.7%と記録的な不人気となっている。

 それでも岸田は「生きがい」の内閣改造で凌ごうとしている。というより岸田は「現時点」でも総裁選における自身の再任に何の疑問も持っていない。なんという鈍感力なのか?

 また岸田は「この期に及んでも」衆議院解散の機会を伺っている。通常国会が閉会していても臨時国会を召集して冒頭解散すれば可能ではある。ただし非常に慎重な根回しが必要となるが、そこで重要な役割を果たさなければならない茂木幹事長と岸田の関係は「最悪」である。つまり常識的には総裁選までの岸田による解散はすでに封じられている。

 それでも岸田が頼る衆議院解散のための「目玉政策」とは、金正恩が北朝鮮在住の拉致被害者である田中実さんと特定失踪者の金田龍光さんだけ一時帰国させて(単なる日本観光旅行である)、それで拉致問題一切を「解決させた」と岸田の実績とするものである。そもそもこの2名は10年以上前から巨額食糧支援(5兆円?)との引き換えに北朝鮮が打診しているもので、それで拉致問題がすべて「解決済み」とされてしまうため安倍政権では断固拒否していた「悪手」である。岸田はそれすら政権維持のためのカードとするつもりである。

 岸田が今も衆議院解散に拘る理由は、衆議院選で議席を増加させるためではなく(そもそも不可能である)、自身の政権維持に反対する自民党内の勢力を落選させて批判をかわすためである。仮に自民と公明で過半数を割り込んでも日本維新の会や国民民主党を抱き込めばよいとタカを括っている。どこまで行っても岸田は自身の政権維持しか考えておらず、庶民による支持率などゼロになっても全く気にならないようである。

 東京都知事選が6月20日公示、7月7日投開票となったが、そこでも岸田は小池百合子を「勝手推薦」して当選すれば「自公が推薦した勝利」と喧騒するはずである。小池都知事の問題は、学歴詐称問題より岸田と同じで「公約を何も実行できていない」「そもそも都民の生活向上などに全く興味がない」ところである。確かに岸田と小池は「同類」である。

 小池も「台湾出身ではない中国人」の蓮舫が出てきたおかげで当選確実となってしまった。自民党も「それなりの候補」を立てれば可能性があるはずであるが、岸田にとっては小池の「勝手推薦」の方が自身の政権維持に有効であると考えている。

 さすがにここまで来ると自民党内で「岸田おろし」が始まっている。ここから1年ちょっとの内に必ず衆議院選と参議院選(半数改選)があるため、さすがに岸田政権がこれ以上続けば自身の当選が危うくなると心配する自民党議員が増えているからである。

 具体的には、まず6月6日に菅義偉・前首相が、萩生田光一(元安部派)、加藤信勝(元茂木派)、武田良太(元二階派)、それに小泉進次郎(無派閥)と会食している。

 いわば非主流派による「ポスト岸田」選びであるが、ここで絞り込むと財務省出身で敵の少ない加藤信勝となる。加藤六月の次女と結婚して婿入りしており、最近は人望のない茂木が率いる茂木派を離脱している。また非主流派の総裁候補として必ず名前が出る石破茂は呼ばれていない。現在の石破では最低必要な20名の自民党議員による推薦も集まらない。

 また岸田がまだイタリアから帰国していなかった6月14日に麻生副総裁と茂木幹事長が会食している。麻生はイタリアに向かう直前の岸田に6月11日の会食に誘われたが、断っている。岸田が政治資金規正法改正で開示が不必要となる寄付金の上限を公明党の主張を呑んで「勝手に」5万円に引き下げたため、決定的に対立するようになった。

 ここは主流派による「ポスト岸田」選びで本来なら茂木幹事長で「決まり」となるが、その茂木に全く人望がなく、最近も茂木派から小渕優子や加藤信勝らが大量に抜けてしまった。麻生もここで「あからさまな親中」である河野太郎は推しにくい。ここは本命不在で波乱がありそうである。

 もちろん岸田は自身が総裁選に出られないなどとは夢にも思っていないが、「言いなり」となっているバイデン政権から米民主党に近い(といっても上下院議員や中国大使などを歴任したマックス・ボーカスのもとでトレイニーだったことがあるだけの)上川陽子・外務大臣を「指名」されている。あとは上川の前の外務大臣だったものの親中すぎてバイデンに嫌われて官房長官に起用した林芳正もいるが、さすがに岸田には側近がほとんどおらずダミーを立てることもできない。

 あとは政権内(経済安全保障担当大臣)にいる高市早苗、参議院議員から出馬を表明している青山繁晴らが「ポスト岸田」に手を挙げるはずであるが、派閥解消で推薦人20名の確保が少し容易となっており、まだまだ数が増えそうである。

 過去に現職の首相が総裁選で敗れた例は1978年の福田赳夫だけであるが、現時点では岸田が総裁選を辞退するとは思えず、「岸田おろし」が決定的とも思えず、日本の内政・外交の劣化はまだまだ続くことになる。

 内閣総理大臣でも上場会社社長でも独裁国家トップでも、その能力が劣っていても「その地位から引き釣り降ろすこと」は非常に難しいものだからである。


その3  岸田政権(岸田文雄)がとくに劣化させた日本外交の「悲惨な」現状と今後


 それではそんな岸田政権(岸田文雄)が劣化させている日本の内政・外交から、とくに「悲惨な」外交の現状と今後について付け加える。

 岸田が「言いなり」となっており、またそれが自身の政権維持に有効であると固く信じているバイデン政権とは、米国民の大多数を代表しているわけではなく、また本来の米民主党を代表しているわけでもない。

 つまりバイデン政権とは、世界中で戦争を引き起こすことによる「軍産複合体」の利益拡大を狙う勢力と、多数の不法移民を集結させて米国の国家システムそのものを破壊しようとする過激勢力が、それぞれホワイトハウスに座らせているだけの存在である。

 もともと軍産複合体は共和党政権に近かった。2001年1月~2009年1月のブッシュ(息子)政権では、「軍産複合体そのものの代表」であるディック・チェイニーが副大統領としてホワイトハウスに居座っていた。ちょうど米国が同時多発テロに襲われた直後だったため、ブッシュ政権は「報復」として世界中で戦争を拡大させることができた。

 ところがその後の2009年1月~2017年1月に大統領となった民主党のバラク・オバマは、その軍産複合体に「猛烈に」接近する。1期目の国務長官だったヒラリー・クリントンとともに世界中で戦争の種をまき散らす。2012年のベンガジ(リビア)米国大使館襲撃事件は事前に把握していたものの放置したため米大使が亡くなった。しかしリビアはカダフィがあっさりと殺害されたため大規模な戦争にはならなかった。

 また中国においても2012年の薄熙来失脚につながった王立軍の米国領事館への亡命を拒否して習近平の総書記就任を実現させて恩を売り、2014年のロシアのクリミア侵攻もウクライナで戦争拡大を画策するなど、あちこちで暗躍していた。当時問題となったヒラリーの私用メールとは、わざわざセキュリティーの甘い私用メールで国家機密とくに軍事機密を送受信して、世界中から「覗かせる」ためである。当然に重大な国家反逆罪であるが、真剣に問題視されることはなかった。

 ついでに言うとそれらの後処理を担当した当時のバイデン副大統領は、ウクライナや中国で息子のハンターを前面に出して「せっせ」と不正蓄財に励んでいた。オバマとヒラリーは「真っ黒」であるが、バイデンもまた違った意味で「真っ黒」である。

 当然に2016年11月の大統領選におけるオバマの後継候補はバイデンではなくヒラリーとなる。共和党候補が政治経験ゼロで軍産複合体との接点がない不動産業者のトランプだったため、オバマもヒラリーも「楽勝ムード」戦った結果「よもやの」敗戦となる。「楽勝ムード」だったため、恩を売っておいた習近平に不正投票・不正集計の工作を真剣に依頼せず、不法移民に不正に投票権を付与する工作も控えめだったからである。

 そのため2020年11月の大統領選挙では、その反省から積極的に不正工作を進めて「そんなバイデン」でもホワイトハウスに送り込んでしまう。そこでバイデン政権は、不正投票・不正集計に加えて、不法移民を大量に動員させたため「米国の国家システムを破壊しようする過激勢力」にも乗り込まれてしまう。さらに仕上げに共和党上院のマコーネル院内総務やペンス副大統領らを抱き込んで議会襲撃事件まででっちあげる。

 そして2024年11月の大統領選は、認知症が進むバイデンのために再び大規模な不正を繰り返し、さらに州レベルと連邦レベルで過激派の判事を動員してトランプを犯罪人(有罪)に追い込もうとしているが、今回はトランプも用意周到で有罪評決も逆効果で人気と献金が増えている。

 岸田政権はそんな「不正まみれ」のバイデンにカツアゲされて、米国議会が承認した600億ドルのウクライナ支援予算を「そっくり」肩代わりさせられていることが「あらゆる業況証拠」から明らかである。正確には支払い保障であるが、ウクライナに支払い能力がないため「同じ」である。

 この最大の問題点は、日本が遠いウクライナにいくら資金を提供しても、日本にとって最大脅威である中国に対しては何の抑止力にもならないことである。つまり全くの無駄金である。ここは次の大統領がトランプでもほとんど変わらない。トランプはもともと戦争不拡大主義なので、日本のために余計な軍事費を割くこともないからである。

 さらに先日まで岸田が訪問していたイタリアでは、米英が中心になって巨額資金をウクライナに貸付け(米国だけで500億ドルらしい)、凍結しているロシアの外貨準備3000億ドルの「運用益」で返済するスキームが話し合われたようであるが、どう考えても計算が合わない。

 つまり岸田はバイデンにカツアゲされた600億ドルの支払い保証だけでなく、今回さらに巨額の資金提供を「また勝手に」約束してきた恐れが強い。

 つまりこんな岸田でも追放することは非常に難しいと(その2)で書いたが、やはり日本のために岸田は「一刻も早く」追放しなければならない。

 やはりそれが「絶対に動かせない結論」である。この辺を頭に入れて今後の展開を注視していただきたい。