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トウキョウトリップ〜深い深いコーヒーの沼へと潜る

半年以上ぶりに東京に行って参りました。

というか今回はかなり降って湧いた幸運な予定で、軽井沢での結婚式にお呼ばれしたというのが始まり。大阪在住の私は帰りのルートで寄り道しながら帰ることにしたというわけです。

さて、お久しぶりの東京。どこへ行こうかしら〜からの真っ先に候補として上がったのがこちら。蕪木(kabuki)さん。もうここはまるで行ったことがあるかのように既に陶酔していて、本当に誰にも教えたくない気持ちでいっぱいだったのですが、本当に素敵だったので書くことにいたしました。

コーヒーとチョコレートの焙煎をされているという、なんとも珍しくもどう考えても本気を感じてしまうカフェです。「カフェ」と書いてしまうのもなんだか申し訳ないくらい、気概を感じます。私はインスタグラムで見つけたのですが、それも写真家の方が撮っておられるのを見て知ったわけですがもうその空間の高貴な静けさと、ご主人の熱さにやられました。文体もすごいの。一気に引き込まれてファンになってしまったんです。

ただ懸念すべきはインスタグラマーと称する写真撮りたいだけの若者たち。彼らとは鉢合わせたくないなぁと思って開店直後にお邪魔することにいたしました。

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開店は13時。あら、結構ゆっくりなのね。
午前中に仕事を済ませて駅から彷徨うこと20分ほどでようやく到着いたしました。

場所は新御徒町駅が一番近いとのこと。新宿駅で仕事があったため、大江戸線で一本で最寄駅へ。向かったはいいものの地図通りに歩くも周りは民家のようでどうもお店の気配はありません。
あれーこのへんだよなぁ…
と思いつつくるくる見回していると見つけました。それがこの店構えです。
写真で見るとなんとも「おお…」と声が漏れてしまうような店構えですが、本当に溶け込んでいるんです。
ちょうどお向かいには下のようなお宮さんがありましたのでこちらを目印にされるとよろしいかと。

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空いているのか勝手に入っていいのかわからないような玄関を通り抜け、入るとカウンターにしずしずと並んだコーヒー豆とチョコレートたち。その奥では大きな焙煎機が鎮座しておられます。さすがにいただいた後に決めることにして、2階のカフェスペースへ上がります。

階段もその上の踊り場もなんとも静寂な雰囲気で素敵だったのですが、これは写真で伝わるものではないなと思いましたのでぜひ現場で。

小さな身長よりやや低く感じるドアを開きますと、もう声が漏れてしまうような素敵な空間でした。アンティークとも単なるシンプルともまた違う、丁寧に手入れされたものたちが並び、100年は経っているのではなかろうかと感じるような風合い。ほとんど感じない音。足を置いた時の木の軋む感覚。

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窓側からは白い穏やかな光が差し込んでいて、まるで物語のようでした。個人的には静かすぎるほどの早朝にお邪魔したいですね。この空間だけで惚れてしまいそう。

物腰の柔らかそうなバリスタのお兄さんがおひとり。常連さまとコーヒー談議を中断して接客してくださいました。

メニューはこう。この色。フォント。そしてネーミングセンス。圧巻ですね。これぞブランディング、といった感じです。どこを見てもため息をついてしまうほど、完成されているように感じます。

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ひと通りどれがどんな味わいなのか説明していただいて、一番深煎りと仰る【羚羊】をいただくことに。このブレンドの意味するところは東北での羚羊がいる風景なのだけれど、コーヒーマニアからするとその名の通りといった感じのエチオピアブレンド。

ご存知でない方のためにちょっと解説いたしますと、コーヒー発祥の地と言われているエチオピアで、コーヒーを発見したのは羊飼いでした。当時から中東では山羊飼いや羊飼いが多かったことから日常の風景ともとれるのですが、コーヒーの木から実をかじって驚くほど覚醒している姿(これはヤギ)を見たのが始まり。ということでコーヒー関連のものでヤギやら羊が登場することが多いのです。

名前からしてエチオピア。なのだけれどそう思わせておいて実は羚羊。もうここからセンスを感じますよね。
ということで淹れていただくのを見つめながら、静かにシャッターを切らせていただきます。

コーヒーはネルドリップで。ネルはネルシャツで有名なフランネルという生地の名前です。少し毛羽立ったこの生地で作られたドリッパーで抽出すると、まったりとした濃厚な味わいのコーヒーを淹れることができます。その所作がまた美しいのなんの。大衆店と違い、ゆっくりと丁寧に魅せられる手さばきがもう素晴らしい。現在は店主の方が店頭にいらっしゃらないということですが、彼の教育の素晴らしさと集まってくるスタッフの意識の高さが伺えます。

さて、淹れていただいたのがこちら。
カップやその他の食器ともども世界観を壊すものは何ひとつありません。はじめに入れていただくお水…と思いきやお湯でした。これにもう衝撃。そして感動してしまいました。

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いただいた【羚羊】に合わせて【かもがや】というチョコレートを選んでいただきました。香ばしくて70%のハイカカオ感がエチオピアとよく合う、とのことでしょうが正直なところちょっとペアリング感が弱いです。というかかなり繊細なのだと思います。既製品のチョコレートとはひと味もふた味も違う、このほろほろとしたなんとも言えない口あたりが癖になりますね。

コーヒーもさほど苦味は強くなく、色の割に深煎りと言ってもやはりこの感じだよなぁと言ったところ。特に強すぎるクセもなく透明感に溢れていて美味しいのですが、普通に美味しい。と言うのが正解でしょうか。
ええ、ちょっと物足りないというのが正直な感想です。まぁただ単に濃ゆいコーヒーに慣れすぎているということもあるのでしょうが…

時間も14時を回ったところで続々と写真目当ての若者たちが増えてまいりましたのでこれにて退散。帰りにチョコレートをいくつか購入して帰りましたが、これは今日いただいたものよりさらにベリー感溢れるコーヒーと一緒にいただく予定でおります。

ここ、また行きたいなぁ。この感じだと何時間いても退店を催促されなさそうだし(もちろん何杯もいただく予定ですが)色々捗りそう。やや後ろ髪を引かれながら次のお店へと急ぎます。

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