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[書評]梅雨の不快感は“呼吸”でのりきる。息を吐いて吸うだけ

こんにちは。エディマートの堀田です。
今年も梅雨入りして不安定な天気が続く毎日で、ジメジメ、ベタベタと、何もしていなくても不快に感じてしまう季節になりましたね。

体は暑さや湿気に悩まされても、心は清々しさを保っておきたいもの。
そこで今回の『エディマート読書部』のブックレビューは、
気持ちのよい時間をつくる『呼吸の本』をご紹介したいと思います。

本書は詩人の谷川俊太郎さんと呼吸家の加藤俊朗さんによる共著。谷川さんが質問し、加藤さんが答える形式をとっています。

吸って吐くから吐いて吸うへ。

本書より

生きるために欠かせない「呼吸」に意識を向けるだけで、心身の健康につながるといいます。どうすることもできない不快感、イライラ、ストレスも、呼吸を見直すだけですっと楽になるかもしれませんね。


書籍情報


『呼吸の本』
著者:谷川俊太郎+加藤俊朗
出版社:サンガ
発行:2010年1月

この本を手に取ったきっかけ

『呼吸の本』は2010年に初版が発行され、人々のマスク生活が続いたコロナ禍の2021年に『新版 呼吸の本』(フォレスト出版)として再販されました。

私が手に取ったのは初版のもので、ブックオフでなにげなく手にとって購入したもの。たしか社会人になって2・3年くらい経った頃だと思いますが、それから定期的に読み返しては、呼吸法を思い返して実践するという付き合いをしています。

私が持っている本には「加藤メソッド 呼吸のレッスン」というCDが付録でついています(新版の方はあるかどうか分かりません)。実はそのCDを一度も再生させたことがなく、「いつか聴いてみようかな」と思って年月が経ち、気づけば自分の住環境でCDを再生する術がなくなってしまいました。

どんなレッスンなのでしょうか。知っている人がいたら教えてください。

どんな本?

前述した通りこの本は、呼吸の生徒である谷川さんが、先生である加藤さんに質問する形式をとっています。

質問1
気持ちを落ち着かせるには、
深呼吸がいいと言われていますが、
呼吸法は深呼吸とどう違うのですか?

本書P14より

答え
「胸」と「腹」の違いです。
お答えしますね。
息を吸ってから吐くやり方です。
呼吸法は吐いて吸うやり方。
(中略)
呼吸は文字どおり吐いてから吸うことを言います。
 吐くほうが先で、腹が主導権を握ってます。

本書P15より

このような感じで「呼吸とは」の説明があらゆる角度から解説され、「いつどんな場所ですべき?」「ベストな呼吸法は?」「理想的な呼吸法は?」「雑念を追い払うには?」など、いろいろな疑問に対する答えに導いてくれます。

「やりすぎない」「弱いところは鍛えない」「足の裏を感じる」など、呼吸法を実践する上でのメソッドを分かりやすく、丁寧に教えてくれる本です。

わたしの感想

本書の冒頭には、谷川さんの「息」という詩が掲載されています。

風が息をしている。
耳たぶのそばで
子どもらの声をのせ
みずうみを波立たせ
風は息をしている

本書P2より

「…が息をしている」というはじまりで、「風」にはじまり「虫」「星」「人」と主語が代わりながら4節続きます。

人が息をしている
ひとりぼっちで
苦しみを吐き出して
哀しみを吸いこんで
人は息をしている

本書P3より

最後の「人」では「苦しみ」「哀しみ」という言葉が使われており、それらの感情は呼吸の力で吐き出してしまおう!というメッセージが本書に込められていると伝わってきます。

谷川さんが質問17で「(呼吸を)意識するしないでどんな違いがあるのですか?(P86)」とたずねると、加藤さんは「呼吸を意識することは心を意識すること(P87)」と回答。忙しい毎日を送っていると“当たり前”をないがしろにしてしまいがちですが、ひと呼吸入れて、今に向き合うことを忘れないようにしたいと感じさせます。

緊張したとき、困ったとき、迷ったとき、怒りそうになったとき、感情が揺さぶられそうになったらスー、ハーと呼吸へ意識を配り、気持ちのよい自分でいたいものです。興味があれば、ぜひ本書を手にとってみてくださいね。



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