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フリーランスのための、適切な「群れ方」と「孤立の仕方」

こんにちは。エディマート代表の鬼頭です。
今回はフリーランスが大成するための私見について少々。

「フリーランス」という言葉は中世ヨーロッパがルーツで、「Free(自由)」と「Lance(槍)」の組み合わせから生まれたとか。誰かに忠誠を誓って戦に参加するのではなく、報酬によって決めたシステムがルーツだそうです。

現代のフリーランスも、「個人」事業主と言い換えられるように、意思決定や業務は基本的に個人で行いますよね。ただし、一人であるがゆえにキャパシティが限られたり、自ら積極的に入手しなければ情報感度が低くなったりといったデメリットも。

そこでポイントになるのが、適切に「群れること」。要するに横のつながりをつくっておくことです。中には群れすぎて、フリーランスの良さがスポイルされてしまっている方もいるので、私はしっかりと「孤立すること」も必要だと思っています。

どちらかに偏っている方が多い気がするため、今回はフリーランス化が進む社会のなかで、適切な「群れ方」と「孤立の仕方」を考察してみます。

1.世の中はフリーランス化が進む

各所の調査を並べてみると、日本のフリーランス人口は増加しているそうです。副業を認める会社や、フリーランスを活用する案件が増えたのも理由ですが、新型コロナを機に失業し、結果的に独立したというケースもある様子。

フリーランス協会がまとめた「フリーランス白書2020」によると、フリーランスの年収で200〜400万が全体の22.9%、200万円未満が22.5%と全体の半数近く。年収1,000万円を超える人は12%という結果でした。
このように収益が安定しているフリーランスとなると限られてきますが、仕事を探したり、自らのスキルを売り込んだりできるマッチング・プラットフォームもさまざまあるため、独立しやすい状況にあることは確かでしょう。

弊社がお付き合いしているフリーランスの方々は、ライターやデザイナー、イラストレーターなど。「引き合いは増えている」という話もあれば、マッチング・プラットフォームからの依頼は「ギャランティが厳しいものが多い」という声も聞こえてきます。

私自身、会社員として編集経験を積み、周りから「独立してもやっていける」とおだてられて独立したクチです。ところがいざ飛び出してみたら、会社員時代より仕事の規模や単価が小さくなり、キャパシティも限られるため仕事を重ねるにも限界が。しばらく会社員時代の年収を超えることができませんでした。

2.フリーランスのメリットとデメリット

なぜフリーランス(とくにクリエイティブ業界)は大儲けできないのか?
せっかく独立しやすい土壌が整っているのですから、何とかしたいですよね。私は独立してこの壁にぶち当たり、早々にフリーランスのメリットとデメリットをまとめてみました。

<フリーランスのメリット>
・意思決定が早い、邪魔されない
・動いた分だけ稼げる
・個性が埋没しない

<フリーランスのデメリット>
仕事の規模が限られる
・それに準じて単価も低い
・トレンド、リテラシーに疎くなりがち
・仕事における投資はすべて自己負担

そして導いた結論が、

1.フリーランスであり続けるなら、名指しで仕事が来ない限り一生稼げない
2.名指しが難しいなら、組織に入るか、つくるかしなければ一生稼げない

という2つ。もちろん異論もあることでしょう。

そして私は、2つ目の「組織をつくる」という選択をし、なんとか安定化の方向に。さらに組織を磨き、ブランディングすることで「名指し」の仕事も増えてきました。
その分、「自由な槍」ではなくなったのも事実です。

3.どんなときに群れ、どんなときに孤立すべきか

前置きが長くなりましたが、ここから本題です。

みなさんがフリーランスになったのは、「自由な槍」でありたいからだと思います。自由な槍でありながら、しっかりと稼ぐ。つまり、「1.フリーランスであり続けながら、名指しで仕事をもらう」ために有効だと思うのが、適切に群れ、適切に孤立することなのです。

群れと孤立を使い分けることで、先ほどのデメリットを克服し、メリットをより伸ばすことができます。

<群れることで克服できるデメリット>
・仕事の規模が限られる→チームで受注することで案件の規模を拡大
・それに準じて単価も低い→規模に準じて単価がアップ
・トレンド、リテラシーに疎くなりがち→交流会や勉強会で情報共有
・仕事における投資はすべて自己負担→貸し借りによって負担軽減

フリーランスのつながりをつくり、いつでもチームビルディングできるようにしておくことで、大型案件もこなせるようになり、受注金額も自ずと上がるはずです。ただし、案件の責任者を立てておかないと、意思決定が遅れクライアントに迷惑をかけます。
シェアの精神もいいですが、ギャラの分配においては責任者にフィーを上乗せし、事前にチームにその旨を共有しておくとよいでしょう。

交流会や勉強会はさまざまなところで行われていますので、フリーランスのツテをたどればすぐに見つかると思います。持ち回りで担当を決めて業界のトレンドやリテラシーを説明するなど、情報感度を高めるのにうってつけです。
なかにはクライアントや発注主の愚痴を言い合うだけの場や、キャリアを積んだクリエイターの武勇伝を聞かされる場もあるようなので、そういった会合は避けてくださいね。

では、孤立はなぜ必要なのでしょうか?

それは、フリーランスとしての成功を、「名指しで仕事が来ること」としているからです。
ここから大事なことを書きます(ハレーションもあると思いますが)。

フリーランスで一度群れると、正直かなり心地いいです。
仲間ができる。案件が大型化する。情報感度を高く保てる。資産を共有できる。
一見、いいことづくめです。

でも考えてみてください。あなたがなぜフリーランスになったかを。

その大型案件は、群れを評価してのものであり、あなたを評価したものではないかもしれません。
個人の集まりである以上は私利私欲がぶつかり、案件が頓挫する危険があるかもしれません。
本当にやりたい仕事があっても、群れのなかでは我慢する必要があるかもしれません。

何より、フリーランスの醍醐味が味わえません。

私は群れるだけではなく、しっかりと孤立し、自身のエッジを磨きながらブランディングすべきだと思います。
編集プロダクションの立場からいろいろなフリーランスの方を見ていると、どちらかに偏っている人が多い印象です。群れすぎて冒険しない人、孤立しすぎて扱いづらい人が少なくなく、「バランスをとったらいいのに」と感じることも。

フリーランスを経て、フリーランスであることに挫折して組織をつくった私としては、名指しで仕事を受け、稼ぐフリーランスに憧れます。実際、それを成し得た方々は、群れと孤立のバランスが本当に絶妙なのです。

今回は対比を分かりやすくするため「群れる」という言葉を使いましたが、決して卑下しているつもりはありません。この記事を参考にリーダーシップとフォロワーシップを適切に発揮して、一人でも多くのフリーランスが大成していただけたら幸いです。



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