見出し画像

新入社員に読んでほしい!五月病を乗り越える一冊|エディマート座談会『5人の本』

こんにちは!エディマート ありまです。
突然ですが、この度エディnoteで新企画がスタートしました!その名もエディマート座談会『5人の本』

こちらは自社メディア『エディマグ』で連載されている「5冊の本」の派生企画。新入社員が「本」を糸口とした座談会を通して、先輩方の仕事に対する考え方・姿勢を学んだり、悩みや課題を解決したりしていきます♪

▼エディマグの連載企画「5冊の本」の記事はこちらから!
編集や取材の楽しさを伝える情報メディア EDI MAG

初回のテーマは、『新入社員に読んでほしい!五月病を乗り越える一冊』

ファシリテーターを務めたのは、入社1年目のありまです。エディマートには大学4年次にアルバイト入社。あらゆるジャンルのライティングとマルチタスクに奮闘中です!

記念すべき初回!皆さん、どんな本を用意してくれたのでしょうか?

<参加者プロフィール>

『新入社員に読んでほしい!五月病を乗り越える一冊』で集まった本は…

――まずは、セレクトいただいた本の紹介をお願いします!

きとう:僕がおすすめしたいのは、『自分の中に「毒」を持て(青春出版社/岡本太郎)』。岡本太郎の考え方・物事の捉え方が挿絵とともに詰めこまれた本で、一冊に散りばめられたキャッチコピーがとにかく刺さる。

僕が岡本太郎の存在を知ったのは、80年代のバラエティ番組やCMなどのメディア。「インパクトのある変わった人だな」という印象を受けてよく調べてみると、大阪万博の太陽の塔をプロデュースした芸術家だと判明。彼のキャラクターと作品がどんどん好きになっていったんだよね。

彼の著書は複数読んだけど、この『自分の中に「毒」を持て』は「彼の言葉に触れて刺激をもらいたい」ときに読む本かな。

みずの:私が持ってきた『るきさん(筑摩書房/高野文子)』は高野文子さんの短編漫画で、主人公るきさんと親友のえっちゃんの日常が16コマ漫画で描かれています。

1988年から、雑誌『Hanako』で連載されていた作品なんですが、バブル期の当時は今でいう「おひとりさま」ライフを謳歌するような『るきさん』の内容は異色だったようです。

るきさんとえっちゃんの年齢が大体20代後半から30代前半。今の私ぐらいの年代を想定して描かれているので、るきさんの考え方に共感したり、彼女の生活をうらやましいなと思ったり。何回も読み返したくなる本です。

ほった:僕が用意した一冊は『のけ者(白水社/エマニュエル・ボーヴ、渋谷豊 訳)』。著者のエマニュエル・ボーヴは、日本での知名度はあまりなくて、日本語訳された彼の本は4冊だけなんです。『のけ者』も著者が亡くなってから随分と時間が経過した2010年に翻訳出版されています。

二コラという青年が主人公なんですが、この子がほんっとうにダメ人間なんですよ。二コラは母親と二人暮らし。父親は亡くなっているので、母親のためにも頑張ろうとする二コラだけど、仕事は続かないし、何度も他人からお金を借りる。そのうえ借りたお金で遊んでしまう。

そんなどうしようもない彼の生活ぶりが、この一冊に詰め込まれています(笑)。徹底的に救いのない物語です。

もりなが:私が選んだのは『樹木希林120の遺言 死ぬときぐらい好きにさせてよ(宝島社/樹木希林)』。樹木希林さんが生前のインタビューや取材で話した言葉をピックアップして、話の前後の文脈と一緒に紹介されています。樹木希林さんの名言が詰まった一冊ですね。

本のカバー写真と「死ぬときぐらい好きにさせてよ」というキャッチコピーは、ある企業広告に登場して話題になったものです。ジョン・エヴァレット・ミレイの名画「オフィーリア」を演じる樹木希林さんの写真に惹かれて手に取りました。

すざき:私は、ちびまる子ちゃんで有名なさくらももこさんの漫画『COJI-COJI(集英社/さくらももこ)』を持ってきました!主人公は、年齢・性別不詳の宇宙生命体コジコジ。メルヘンの国に住んでいて、人間界で活躍する有名なキャラクターをめざして、学校で勉強に励んでいます。

マイペースなコジコジとなかまたちの日常が描かれている面白いギャグ漫画なのですが、見た目は可愛らしいコジコジが毒舌なところがポイント。おバカキャラなのに、ときどき真理を突いた発言をするのでドキッとします(笑)。

――今回の座談会テーマは「五月病を乗り越える一冊」ですが、皆さん五月病の経験はありますか?

きとう:僕はまさに、新卒入社した会社を5月に辞めました。今考えれば申し訳ないことをしたなと思うけど、当時は、飛び込んだ世界が自分の思い描いていたものとは違ったというカルチャーショックが大きかった。

みずの:五月病経験はないかもしれないですね。環境の変化とかがストレスになって五月病につながるイメージですけど、私は結構自分の周りの変化をいい刺激として楽しめるタイプなのかなって。

すざき:私も、みずのさんと同じく経験ないです。何かしら刺激がないとつまんないなと思ってます。

ほった:僕は経験者です。アルバイトから社員になった年の5月に「辞めます」って言いに行ったくらい、しんどい時期があったことを覚えてますね。

もりなが:私は正直、五月病と聞いてピンとこなかったです(笑)。エディマートに入社したのが8月くらいだったからですかね?でも学生時代、新生活で環境の変化になかなか慣れないなと感じたことはありました。

ありま:なるほど。「これぞ五月病!」という経験がある方もいれば、全くない方もいらっしゃるんですね。皆さんがどういった理由で「五月病を乗り越える一冊」を選んでくださったのか気になります!

五月病を乗り越える一冊に選んだ理由は?

「自分の中に毒を持て(青春出版社/岡本太郎)」

きとう:まず大前提として、僕はこの業界で仕事を始めて以来、本に癒しを求めたことはなくて本はあくまで娯楽。ただ、岡本太郎という存在を知ってこの本を読んだとき、彼の言葉には刺激をもらえるなと思ったんだよね。

たとえば、「一度死んだ人間になれ」という見出しの部分。
「何をすればよいのか、それがわからない、と言うかもしれない。それが、ごく一般的なのだ。誰もが何かしなきゃいけないと思っている。ところが、その“何か”とは、いったい何なのか、よく考えてみると、てんでわからない」という言葉があって。

要するに、自分の中にある「何かやらないと」「頑張らないと」というのが上手くいかないから、苦しんだり諦めたりする。でも、結局それは誰もが持っている悩みで、焦って何かを見つける必要はないし、一度力を抜いてみると見つかるものがあるかもと言っているんだよね。
これって、五月病を乗り越えるのにピッタリな言葉なんじゃないかな。

ほった:岡本太郎の生き様ってストイックですよね。AはいいけどBはダメ、みたいな(笑)。ゆとり世代の僕は初めて岡本太郎の本を読んだとき、刺激が強すぎて自分には合わないなと感じたんですけど、彼の生き方・言葉・作品を総合してみると、そのすごさが分かるのかも。

きとう:読み方には注意が必要かもね(笑)。捉え方によって、いい刺激と感じるか、キツいなと感じるかが分かれる気がする。
Z世代はどう捉えるんだろう?気になるね。

「るきさん(筑摩書房/高野文子)」

みずの:五月病って、ストレスが大きな原因じゃないかって思うんです。私の場合、「こうしたい」「こうなりたい」という理想に追いつけないと結構ストレスにつながってしまう。

この本の主人公るきさんは、そういった自分へのプレッシャーがいい意味でない(笑)。るきさんと親友えっちゃんのやり取りを見ていると、「等身大の自分を認めているから、こんなにほのぼのとした素敵なエピソードが生まれるんだ」と思えるんです。

きとう:喜怒哀楽の「怒」と「哀」のエピソードはないの?

みずの:基本的にはないですね。同世代の女性の何気ない日常にふふっと笑える本です。私、この本を本当に何回も読み返しているんですよ!好きなお菓子を食べながら、ゴロゴロしながら(笑)。

読めばストレスが全部消え去るわけではないですけど、「こんな生活うらやましい~」と思いながら見ているとなんだかフワッと気持ちが軽くなってリセットできる

ありま:ほのぼのできる本を読むことが多いんですか?

みずの:そうですね!私は本に癒しを求めるタイプなので(笑)。

「のけ者(白水社/エマニュエル・ボーヴ、渋谷豊 訳)」

ほった:僕は絶好調のときはあまり読書しないんです。落ち込んだときやなんだか上手くいってないなってときに、ダメダメな主人公に自分を重ねて「こうはなりたくないな」と考えながら読むと救われるんです。
「上を見るより下を見る」みたいな(笑)。

一同:(笑)

ほった:『のけ者』の主人公二コラは、本当にお金にだらしなくて失敗ばかりで、最終的には自殺してしまうんです。

物語としては徹底的に救いがないのに、彼の失敗を読むたびに僕は「そうか、失敗してもいいんだ」と思える。リアルな人間味に愛らしさすら感じてくる。

本の中で描かれているダメ人間を知ると、「こんなに世間と周りに迷惑をかけている人がいるなら、自分のちょっとした失敗は大したことないか」って思えるんですよ。そこが魅力的に感じる部分であり、五月病を乗り越えるというテーマにもはまっていると思ったんです。

ありま:読者側の感じ方が、人によって変わってきそうですね。

ほった:そうだね(笑)。レビューを見ると、主人公のダメさを真正直に受けて読み進めるのがつらいっていう人もいれば、二コラに「僕のようにはならないで」と励ましを受けているように感じたっていう人もいるんだよね。

人間ずっとポジティブでいられるわけないから、ネガティブな部分も含めて自分を認めてあげるって大事なんじゃないかな。

「樹木希林120の遺言 死ぬときぐらい好きにさせてよ(宝島社/樹木希林)」

もりなが:基本的に、「現実逃避したい!」ってときに小説を読むことが多いんですけど、小説って結構気力を使うんです。なので私は心の余裕があるときにしか本を読めないタイプ。

だけど、1ページにおける文字量がそれほど多くないこの本は、唯一気力がなくても簡単に読める本なんです。五月病って、人によっては気力がなくて何もしたくないなんて症状が出ることもあるようなので、短くシンプルで気軽に触れられる本がいいのかなと思って選んでみました!

私自身、落ち込んだり悩んだりしたときに、自分よりも人生経験の長い樹木希林さんの何気ない一言や考えに触れて慰められたことがあります。

きとう:特に刺さった言葉はどれなの?

もりなが「楽しむのではなくて、面白がることよ。楽しむというのは客観的でしょう。中に入って面白がるの。面白がらなきゃ、やっていけないもの、この世の中。」という言葉ですね。

つらさも悩みも、ちょっと違う視点から面白がれたらいいなって思えたんです。樹木希林さんの「私はこう思うけどね」というスタンスの言葉の選び方が好きですね。

「COJI-COJI(集英社/さくらももこ)」

すざき:私も大前提として、きとうさんと同じように本に癒しや学びは求めないんです。日常から離れて、本の世界に浸るのが好きだから読んでる、という感じ。

五月病って、自分が「こうあるべき」と考える常識や「こうありたい」という思いとはズレたものに直面したとき、それがストレスになって悩んだり迷ったりクヨクヨしてしまうことかなと思うんです。

そんなとき、自分が考えもつかない常識外のものに出会うと「あ、そんなのアリなんだ!?」という感覚が持てる
『COJI-COJI』は、とにかく非常識な主人公コジコジから、それまで想像もしなかった全く新しい刺激をもらえて気分が晴れるのでおすすめしたいです。あと、単純に読んでて笑えます!

ありま:コジコジの言葉、気になります!具体的に好きなエピソードはありますか?

すざき:2巻に出てくる正月君のお話かな!みんなに楽しいお正月を運ぶ役目をもつ正月君が、ある時、自信をなくして空を飛べなくなってしまうんです。

そんな正月君に、コジコジが「飛べない時はゆっくり休めばいいじゃん 仕方ないよ飛べないんだからさ」と声をかけて、気持ちが楽になった正月君は再び空を飛べるようになったというお話。

何気ない言葉だけど、コジコジの発言には「確かにそうだなー」と思わされることが多くて、あまり深く考えすぎなくても大丈夫なんじゃないかって前向きな気持ちになれますよ!

今回の学びと特に気になる一冊は…

今回集まった5人の本は、ジャンルもテイストもバラバラ。けれども、皆さんの熱い紹介を聞いていると、どれも「五月病を乗り越える一冊」にピッタリだなと感じました。

座談会を通して衝撃を受けたのは、読書との向き合い方が人によって全く違うこと。本に癒しを求める人もいれば、癒しも学びも求めない人もいて、本に救われたという人もいました。
何を求めるか、どう向き合うかによって、同じ本でも伝わってくるものが変わるのかもしれません。

皆さん、「これは読んでみたい!」と思う本はありましたか?

ちなみに、ありまが特に気になった一冊は『のけ者』です!
お話を聞く限り、最初から最後まで暗い物語で、読者の捉え方は両極端。二コラの生き様に自分はどんな感情を抱くのか、とっても気になります!

取材・執筆:有馬虹奈

写真:スタジオアッシュ(太田昌宏)

この記事が参加している募集

オープン社内報

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?