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佐賀のベーグル店 "ATTENA" のオープンを見届けた日

2024年11月1日、佐賀市嘉瀬町に開店

公私いろんな場面で付き合ってくれている友人、Sayakaさんがこのたび佐賀市嘉瀬町で「ATTENA(アッテナ)」というベーグルのお店を始めました。

会社勤めののち、創業を模索しつつ県内外のカフェで働いたり、間借りでベーグルを販売したりしていた彼女の姿を端から見ていました。好奇心旺盛、行動派でフランクな面が突き抜けている、そんな印象もある人が今回は実店舗オープンに際し「こわいよー」と言うのです。長い間、しっかり起業準備をしてきた人でも開店の日はどういう状況になるか、予測できない怖さがあると思いました。

オープン初日

「戦慄」とともにその日は近づいて、ついにベーグルのお店がオープン。11月1日、わたしも応援に駆けつけました。

開店数分前。ベーグルたちが勢揃い。

小雨の中、一番乗りで30分前から並ぶ方もいらっしゃり、12時の開店ちょうどの時間には既に何組もの列ができていました。16種類のベーグルがお出迎え。一人ずつオーダーを取りながらのお会計です。レジを担当したAさんはとても手際が良くて操作もスムーズ。お客様に品名を伺ってベーグルをトレイに揃えるわたしは感心するばかり。どのお客様も順番を守って2組ずつ入店いただき、大きな混乱もなく40分ほどで完売しました。

オープン直後の様子。店内へは2組ずつのご案内でした。

一人あたりの購入可能数が限られていたのですが、それでも列の最後の方に購入いただけない恐れが出てきました。店主はさらに個数を絞って販売することに。並んでいた方はそのお願いも承諾してくださり、なんとか1つ以上のベーグルが行き渡りました。店主はInstagramのストーリーではすぐに閉店のお知らせを発信、完売を知らずに来店したお客様には事情をお話しするなど対応していました。

店主曰くベーグルはお米でいうとおにぎりのような存在。毎日でも家族に食べさせられるものを、という思いを込めているそうです。自分で場所を探し大家さんや業者さんとやり取りし、環境を整え、材料を仕入れ、準備も製造も一人で行うという苦労は計り知れません。

ATTENAのベーグルはもちもち、しっかりした食感。1つでもかなり満足です。プレーンをたくさん頂いた時、冷凍庫にストックしておくといつでも主食やサンドイッチ用に使えてとても重宝しました。冷凍庫に白おにぎりがあるのと同様、ベーグルがあると思うと安心感があり嬉しくもあります。

国産小麦を使った焼き立てベーグル。
一口パクッと食べた時に広がるいい匂いがお気に入り。

嵐のあとのオープン2日目

初日を終えて帰宅後、この時期には珍しい台風の影響で、夜から激しい雨が降りました。なかなか止まないうえ、2日目早朝から風もかなり強くなってきて心配が募ります。店主は天候を気にしながら、準備は入念に進めていました。11時頃にはようやく雨も上がったでしょうか、自転車で出発できるくらいには回復していました。

正午頃到着すると、既にオープン。落ち着いた様子でお客様がお店に入っていく様子を、店主のお母様と外から見守りました。2日目は大雨の最中、朝4時起きで駆けつけ、一緒にベーグルの準備も手伝っていたお母様。「こういう工程を今まで一人でやっていたのかと思うとびっくり」とおっしゃっていました。

2日目も無事にオープン!

この日は旦那さんもご出動。アウトドア用のハットとエプロン姿で、挨拶してくれました。「あのアニメ映画絵本みたいなパン屋さんを想像して来たのに、まさかの駐車場係…」と不満を初対面のわたしに訴えてきます。思い出すとおかしくて、家でもこんな感じで明るくて愉快な夫婦なんだろうなと微笑ましく思えました。

ベーグルは2日目も45分くらいで完売。この日は長蛇の列はなく、途切れなく来店されたという状況でした。土曜日ということで、もしかしたら昨日以上に…?とわたしもドキドキしていましたが、このお天気で外出を控えた人もいたことでしょう。前日よりも穏やかでした。それにしても整然とカゴに並んでいた商品がたちまち空っぽになるという光景にはしばしポカンとします。

2日目、閉店後のオープニングスタッフのみなさん。
店主のSayakaさんは白いシャツで明るい笑顔。

不安や戦慄のアーカイブ

2日間を終え、少しはベーグルショップオーナーの「戦慄」は薄らいだでしょうか。おそれおののく数ヶ月前の姿はどこへやら、本人はほとんど緊張していないようにも見え、貫禄すら感じます。宇宙人に出会ったことはないけれど、宇宙人みたいな要素もあると思いました。

一つひとつ悩みながら考え、いろいろなことを乗り越えてきたSayakaさんに対し、祝福と尊敬の気持ちでいっぱいです。不安や恐怖を抱いていた頃の姿を今回の1ページとして自分自身にも重ね、無為に過ごす自分を奮い立たせるように、アーカイブしておきます。

これまで見えなかった景色を目の前に表してくれた彼女はATTENAという「起点」をつくり、そして何よりこの過程を楽しんでいるところも魅力的。ぜひそんな店主に会いに行ってみてください。

佐賀市嘉瀬町「高橋」交差点そばにある老舗、高橋餅本舗さんの駐車場を挟んですぐ隣。
歴史情緒漂う本庄江川にかかる「高橋」もすぐそば。

ベーグルのお店 ATTENA、11月は水・木・金・土、12時に開店。
売り切れ次第閉店ですので、正午に近い時間がおすすめです。

ATTENAのベーグルが一人、またひとりへと広がっていき、いろんな出会いが生まれて、みなさんの心に届くお店となりますように。

店主が発行したベーグル図鑑ZINE「Bagel ga iroiro Attena」。
ベーグルの特徴や材料、つくる工程についても触れています。
ベーグル愛が満載の全40ページ!
7月下旬のZINEの展覧会「10zine in Saga 2024」に出品され
作品を購入するとベーグルが一個ついてきました。

本記事のカバー写真:表札と木工Name Less さんが製作された木彫り看板
https://www.instagram.com/nameless.studio/

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