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カンケーを楽しむ、カンケーから育つ⑩~「いじめ」とジャニーズ問題について

教員は、
学級経営や授業、部活動等で、
常に組織づくり・チームビルディングに
関わっています。

そんな教員の観点から、
「関係性」についての
大切なポイントや、
自分が実践していることをシェアしています。

「関係性」は人間が育つ「土」のようなもの。
よく肥えた栄養たっぷりの土壌であれば、
作物は自らすくすくと健康的に育ちます。

そんな「土」づくり、
「土」の手入れに
意識を向けることで

個別に直接関わることよりも
はるかに効果的に、
時間や労力をかけずに、
人を育てることができます、
そんなお話でした。

今回のテーマは、
「いじめ」です。

というのも、
人が関係性の中で育っていくものだとしたら、
もっとも、人の成長を阻害し、
人の可能性を腐られてしまう要素は何かといったら、
それは「いじめ」なんですね。

やっぱり「いじめ」はあってはならない。
「いじめ」は早期発見、早期解決を目指すべきです。

15年間教員を続けていて、
「いじめ」問題に直面することは何度もありました。

いじめについて、いつも思うのは、
40人学級の中で
被害者が1人いるとしたら、
加害者はせいぜい数人程度。
その他大勢、95%以上は「傍観者」なんです。

一口に「傍観者」といってもタイプはさまざま。

いじめを見て見ぬふりしているのか?
自分がいじめの対象になることを恐れているのか?
あるいは鈍感すぎて、まったく気がついていないのか?

いずれにせよ、
同じ場を共有していながら、
「いじめ」を大多数が傍観しているだけ、
という事実が、一番おそろしいことなのであって、
そんな状況を見直すべきだ!
と強く言及している中学2年生の作文が
最近話題になっていました。

「日本のいじめ対策は間違っている」https://www.moj.go.jp/content/001216916.pdf

僕は、この作文を読んで、
「ジャニーズ性加害問題」を連想しました。

あれこそ、いじめの「傍観者」の好事例です。
メディアの責任もさることながら、
なんとなく、「そういうこともあるのかな?」というレベルの認識で
(僕を含む)多くの国民が、
被害者の方の苦しみに寄り添わなかったこと、
これこそ被害者の心の傷をさらに深くした一因だと思います。

大手芸能プロダクションで、
男性に対する性加害が繰り返し行われている。

一般人にとっては、あまりに遠くの世界すぎて、
まして「男色」という特殊な領域の話なので、
被害者に対する想像力を著しく欠いていたのかもしれません。

いじめは、いじめでも、
シカトや無視のつらさ、
暴力のおそろしさ、というものは、
多かれ少なかれ、誰もが経験するところ。
だから、誰もが当事者意識をもちえます。

でも、我々の想像を超えたところでの
「いじめ」というものも確かにあって、
そういう世界を絶えず知ろう、関わろうとしていないと、
いつの間にか、
自分のいる人間関係の土が腐っていた、
ということになりかねません。

まして大手芸能プロダクションとメディアの強い結びつきによって
事実を事実としてずっと長い間報道すらされなかったのです。
これこそ悪質な隠蔽であり、「いじめ」そのもの!!

こうした「いじめ」が、
自分のいる職場、関係性の中で
いま現在、起こってはいないか??
この点は、組織作りを続けていく上で、
絶えず、気を配っていないといけない点です。

「ジャニーズ性加害問題」を特殊な事例として
他人事にしてしまうのは、まさに傍観者意識。

我々の想像力の範疇を超えたところで、
人間関係のほころぶ「いじめ」は存在するのだ。
だから、絶えず、腐り始めてはいないか?
ほころびはじめてはいないのか?

そういう畏れの感覚を、
組織の中の1人1人が持つ必要がある、
というお話でした。

最後までお読みいただきありがとうございました。
少しでもあなたのお役に立てたら嬉しいです。

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