「産後クライシス」の乗り越え方
アラサー・アラフォー時期を心身健やかに生き生きと過ごしていきたい、という欲張り3人組が始めたポッドキャスト番組の10回目。今回は三女まりがピックした、こちらのテーマについて話しました。
1. 産後クライシスという造語
今回のテーマである「産後クライシス」ですが、NHKの記者が番組制作のための取材を通じて2012年に作った造語で、出産や子育てによって良好だった夫婦関係が築けなくなり、夫婦の愛情が急速に冷え込み、最悪の場合は離婚にまで至ってしまう現象を指す、とか。
今回は、そのNHKの記者ふたりが書いた本「産後クライシス」(Amazon)をじっくり読み込んだ三女まりによる内容の紹介から始まりました。
特に「里帰り出産をしない方が夫婦関係が良好」という研究データには影響を受けた、という三女まり。実は、三女はもう少しで出産予定なのです。
2. 出産後の子育てや家事のサポートの有無の大切さ
産後クライシスという状況に陥る要因は様々なものがありますが、大きな原因として言われているのは、出産後の子育てや家事のサポートがどのように行われるか、です。
ちなみに発達心理学の研究者で、お茶の水女子大学教授の菅原ますみ先生によると、(子供を一緒に育てるパートナー間の)お互いのプライベートな時間や活動を尊重すること、そして、毎日やらなくてはいけない家事や子どもの世話などの賃金の発生しない「ワーク」について、きちんと役割分担することが(産後クライシス防止には)重要とのこと。
一方で、以前のedamame talkのエピソードでも紹介しましたが、家事分担の話は子供の有無に関わらず、なかなか色々難しいテーマであるという現実も。
そこから育休取得の話にもなり(これは後日またエピソードで取り上げる予定)各種負担のバランスを意識するという話や、日々どうストレスマネージメントを意識するかの大切さ、という話にもなりました。
3. ツールや「外部脳」を活用してみる
実際に産後クライシス的な「クライシス」に陥る前に、または陥った時も、少しでもインパクトを最小限に抑えるためには何ができるんだろう、という観点でedamame姉妹としてシェアしあったのは以下のもの。
例えば「世帯経営ノート」「夫婦会議ノート」といったツール。
また三女まりは相方さんにこのテーマをカバー下漫画を読んでもらうというアイディアを共有。「脱サラして産後の家事サポート事業を展開する2児の父が、自らの妻の産後を観察した産後日記」となっているこちらのタイトルは「産後が始まった! 夫による、産後のリアル妻レポート」(Amazon)となっています。
その(産後クライシス的な)状況に陥った時には、おそらく冷静に客観視するゆとりがなくなりやすいはずなので、「客観性をもたせる」「外部脳を借りる」みたいなことを意識できればなーという話になりました。
4. 産褥期(さんじゅくき)・Fourth Trimesterという時期
ちなみにアメリカでは妊娠期間を3つの期間に分け、最初の3ヵ月をFirst Trimester(1~13週;妊娠初期)、次の3ヵ月をSecond Trimester(14~27週;妊娠中期)、最後の3ヵ月をThird Trimester(28~40週;妊娠後期)、と呼びます。
その流れで、生まれた後の3ヶ月を「Fourth Trimester」と名付け、(生まれるまでの道のりだけじゃなくて)その期間についてcare giverとカテゴライズされる人たち(パパも、パートナーも、それ以外の周囲にいる大人仲間たち)がママ・赤ちゃんが必要なケアが何かを意識することの大切さを語る内容の記事が存在します。
きっかけは2017年に発行されたこの本「The Fourth Trimester: A Postpartum Guide to Healing Your Body, Balancing Your Emotions, and Restoring Your Vitality」らしいのですが、amazonの書評の内容をみてみるとアメリカでもまだまだ産後ケアに対する世間の認識が不十分なようなリアルが浮き彫りになってきます。
“In all my years as an ob/gyn(産婦人科医), I never once met a woman who was able to get by the initiation of labor and birth and focus on the critical postpartum time frame—a time which is largely ignored in our culture. After all, most “maternity leaves” end at mere 6 weeks—nowhere near enough time to truly honor and carry out the true work of the fourth trimester. No—we tend to focus only on the birth—and if mom and baby make it through in a reasonably healthy way, we figure we’re done. Not even close. In this eye opening and vital book, all those who care about women, children, and families will find a treasure trove of information and practices that are vital for the health of society. I highly recommend this book.” - Amazon.comより
パパ向けのFourth Trimester期間中の記事なども結構簡単にネットで見つけることができたり。
興味深かったのは「anywhere from four to twenty-five percent of new fathers experience mood disorders following the birth of their child.」 という点。パパも一定数の人はこの時期に情緒不安定を体験しているよ、というデータ。産後のfourth trimester時期、その時期に対する理解を深めること、情報を共有していくこと、大事だな、と感じます。
日本だと似た時期に対する言い回しとして産褥期(さんじゅくき)という単語がありますね。産後6-8週なので、Fourth trimesterより少し短めですが。
その時期を意識したケア提供者としてはマドレボニータが有名ですね。
5. 「親になる」というステージへ入っていく時に
男女共に色々と新しい体験となる「親になる」という人生ステージ。次女ともこからはハーバードビジネスレビューのポッドキャストのエピソードが共有されました。
edamame talkの番組ではその中でもエピソードの冒頭で紹介されていた「(新しく親となった人たちが体験する)5つのチャレンジ」を簡単にシェア。それらは:
・切り替えチャレンジ
・やることいっぱいチャレンジ
・コミュニケーションチャレンジ
・置いてかれている感というチャレンジ
・アイデンティティ チャレンジ
こういうのをみていると、産後にやってくるかもしれない「クライシス」は「もっと家事を負担してもらう」という一対策で乗り越えられる問題ではなく、上記のような様々な課題・波が背景にある複雑なものなのかもしれないな、と思わされます。
上記が複雑に混ざり合って、親となったパパ・ママ両方に色々と影響を与え、皆が一緒にシンプルな解決策が見えないなか、手探りの中、試行錯誤をしながら乗り越えなくてはいけない時期が出産・その前後なのかな、とも。
三人の中で唯一の出産経験者の長女さおりからは「(産後はそれまでに比べて)力のかけ方が変わった気がする」「何かに全力投球というスタイルからジャグリングモデルへ」「100%を何かをこなす、というよりいくつかのそれぞれ60%へ」(しかもこれはママのみならず、パパも同じ)というフレーズが共有されました。
それを受けて「いつも100%」型の三女まりは「一時期何かを諦めることもでてくるのかな」「より自分の大切なことをクリアにして取捨選択しそう」というつぶやきがあったり、次女ともこによる「長期視点への切り替え」という捉え方があったり、と、今回もedamame三人の多様性の中で色々な議論ができました。
皆が同じ体験をするわけでないけれども、皆の体験の多様性やそれを懐深く・広く受け止められる社会になることを願って・・・edamame talkは引き続き発信していきます。
5. Thank you
過去のエピソードもこちらから聴くことができます。もしよければ興味のあるエピソードから聞いていただければ。もちろんApple Podcast, Google Podcast、Overcast、Spotifyといったアプリからも直接聴くことができます。
また、私たちの発信内容に興味を持ちそうなご友人がいれば、ぜひリンクをシェアしていただけると嬉しいです。また「今後こんなテーマについて話してほしい」などがあればFacebook経由でも、website上のお問い合わせフォームからもご連絡いただければと思っています。
それではまた次回!
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