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芥川賞と直木賞の予想がしたいんじゃああああ!!!【第171回】


1、はじめに

明日7月16日は、本好き達がそわそわする日。
芥川賞・直木賞がついに発表されますね。
かくいう私も本好きの端くれとして、毎年毎年発表日に楽しみにして、、、、

いるわけではなかった!!!!!

心の赴くまま本を選んできた(ミーハーとも言う)私にとって、
ノミネート作品から読み込んで、予想する人生では到底ございませんでした。
ですが、書店での盛り上がり、新しく巻かれる魅力的な帯、ランキング上位に上がってくるノミネート作品達・・・。
もう、惹かれるに決まってますよね。

せっかくなら自分で予想してみたら面白いんじゃないかなという小さな思いから、とあるミーハーな社会人が勝手にやってみた次第です。
お時間のある方はぜひ、お読みいただければ幸いです。

2、芥川賞・直木賞って何?

「予想をしてみよう!」と思ったからには、まず選考基準について知りたい。
というわけで、そもそも芥川賞と直木賞を知るところから始めたいと思います。

芥川賞・直木賞とは?

芥川賞(正式名称は芥川龍之介賞)は、1935年に芥川龍之介を記念して創設された文学賞のことで、新人作家による純文学の短編~中編作品のなかから選ばれます。

直木賞(正式名称は直木三十五(なおきさんじゅうご)賞)は、1935年に芥川賞とともに創設されました。中堅やベテラン作家による短編~長編の大衆小説のなかから選ばれます。

速読情報館

◎芥川賞とは
もっとも優れた純文学を書いた新人に与えられる賞のことです。
純文学とは、「文体の美しさ」や「表現の美しさ」を重視した、いわゆる芸術性の高い文学のことを指します。
(中略)
短編小説を得意とし、独創性のある作品を多く後世に残してきた芥川龍之介からその名がつけられました。

◎直木賞とは
もっとも優れた大衆文学を書いた人に与えられる賞のことです。
大衆文学とは、読者が作品を読んで「楽しい」と思えるようなエンターテインメント作品のことをいいます。
例えば、推理小説やSF小説、恋愛小説のほか、冒険小説などがそれに当てはまります。小説、脚本、映画監督など、「娯楽性」を重視する作品を多く残してきた直木三十五からその名がつけられました。

KATEKYO知恵袋

上記踏まえますと、
芥川賞は純文学(文体や表現が美しい小説)、直木賞は大衆文学(娯楽性の高い小説)が選ばれることが分かりました。

正直、純文学の文体の美しさは何を以て判断されるのか、私には分からないので、今回は個人的に「ここが面白い!意外な発見があった」という認識で予想していこうと思います。

3、芥川賞ノミネート作品と感想

続きまして、芥川賞ノミネート作品の紹介と感想です。
個人的に読んでみた感想をつらつらと書いておりますので、お時間ある時にお読みいただけますと嬉しいです。
※できるだけネタバレをしないよう心がけますが、バレてしまったらすいません!!

〜芥川賞ノミネート作品〜

・朝比奈秋「サンショウウオの四十九日」(新潮5月号)
・尾崎世界観「転の声」(文學界6月号)
・坂崎かおる「海岸通り」(文學界2月号)
・向坂くじら「いなくなくならなくならないで」(文藝夏季号)
・松永K三蔵「バリ山行」(群像3月号)

紀伊国屋書店

〜あらすじと感想〜

朝比奈秋「サンショウウオの四十九日」(新潮5月号)
胎児内胎児で生まれた父親、その子供である主人公は結合双生児。
主人公たちが共に生き、共に死にゆく過程を神秘的に描いた作品です。

人間って依存せずに生きることって難しいのだなあと思いました。
(「新潮5月号」がオンラインでも店舗でも通販でも全然手に入らず、奔走しました。)

尾崎世界観「転の声」(文學界6月号)
「転売」が悪いものではなく、「プレミア」として評価されるようになった世界。
コンプレックスに苦しむミュージシャンが転売の沼にはまっていく・・・。

著者の尾崎世界観さんのリアルな思いを感じさせるような、歌う時・ステージに立った時など要所要所の描写に圧倒的な熱がありました。

坂崎かおる「海岸通り」(文學界2月号)
老人ホームの清掃員として働く主人公が、様々な人と出会い、
世界の生きづらさと直面し、時には逃げ、時には向き合う作品。

物語を読み進めながら、これってもしかしてこういうことか・・・?と考えさせられる要素が散りばめられていました。

向坂くじら「いなくなくならなくならないで」(文藝夏季号)
死んだはずの友人と突然の再会。
そしてその友人は「私」の家に住み始める。

エドワード・ゴーリーの「うろんな客」という絵本があるのですが、どことなくそれに似た雰囲気を感じました。
気付かぬうちに自分たちの生活に馴染んでいく、背後に迫る恐ろしさと主人公の感情が剥き出しに描かれていました。

松永K三蔵「バリ山行」(群像3月号)
ひょんなことから会社の登山部に入った主人公。
登山部でのどかな活動を続ける中で、職人気質で職場で変人扱いされ孤立している社員が、あえて登山路を外れる難易度の高い登山「バリ山行」をしていることを知る・・・。

人類が進化したゆえに、命の危機を感じるのは自然だけではないと気付かされました。

4、直木賞ノミネート作品

直木賞ノミネート作品の紹介と感想です。
個人的に読んでみた感想をつらつらと書いておりますので、お時間ある時にお読みいただけますと嬉しいです。
※こちらもできるだけネタバレをしないよう心がけますが、バレてしまったらすいません!!

〜直木賞ノミネート作品〜

・青崎有吾『地雷グリコ』(KADOKAWA)
・麻布競馬場『令和元年の人生ゲーム』(文藝春秋)
・一穂ミチ『ツミデミック』(光文社)
・岩井圭也『われは熊楠』(文藝春秋)
・柚木麻子 『あいにくあんたのためじゃない』(新潮社)

紀伊国屋書店

〜あらすじと感想〜

青崎有吾『地雷グリコ』(KADOKAWA)
小学生の頃に何度もやった「グリコ」、が地雷に・・・!?
誰もが知るあのゲームが頭脳戦になった青春ドラマ。

まるで少年漫画と心理ドラマを一緒に見ているような爽快感とハラハラが共存した作品でした。

麻布競馬場『令和元年の人生ゲーム』(文藝春秋)
意識の高いビジネスサークル、キラキラした超大手企業、仕事以外に生きがいを求めるZ世代・・・。
現代の仕事とは何かを痛烈に描くお仕事小説。

世代がピンポイントなこともあり、少しだけ小馬鹿にしていたあの人たちの本質が実は自分と同一であったことに気付かされました。

一穂ミチ『ツミデミック』(光文社)
コロナウイルスというパンデミックに翻弄された人々の短編集。
どこか怪しげで恐ろしく、心温まる小説。

何よりも怖いと思ったのは読みながら私自身が「コロナとはもう過去のことだ」とどこか客観的になってしまっていたことでした。

岩井圭也『われは熊楠』(文藝春秋)
知の巨人、南方熊楠の生き様を描いたお話。

どんな偉人といえども、何かを捨てた過去があり捨てられた過去があり、ずっと悩み続けて生きていたんだなと、共感できる描写がたくさんありました。

柚木麻子 『あいにくあんたのためじゃない』(新潮社)
世の中の理不尽を少しの勇気で切り開く短編集。

夢を求めながらなかなか行動に移せない・・・という感情にもどかしさに共感しつつも、溌剌とした気持ちになれました。

5、予想、ズバリ

芥川賞と直木賞の感想を踏まえたうえで、ズバリ予想です。
全作品共にめちゃくちゃ面白かったのですが、、、あくまで予想です、、、!!

芥川賞【予想】

・坂崎かおる「海岸通り」(文學界2月号)

理由:
明確に表現されていないけれど、読者に想像させる描写が非常に多く、読了後にしばらくこの作品について考え込みました・・・。
物語の面白さはもちろん、余韻も含めて美しいなと思ったので選びました!

直木賞【予想】

・麻布競馬場『令和元年の人生ゲーム』(文藝春秋)

理由:
圧倒的共感!!!!
読み進めながら、嫌な意味での共感や、意識高い系の団体を冷ややかに見てしまうことに対する皮肉など、現代の働き方を反映していて、働く人間にとっては非常に興味深い作品だったので選びました。

(個人的には、「サンショウウオの四十九日」「われは熊楠」がベストです。)

6、終わりに

何度も言いますが、本当にどの作品も面白くて魅力的でした。
ぜひ多くの人に読んで欲しいです〜〜〜〜〜!!

予想するのも烏滸がましいのですが、あくまで1つのささやかな楽しみとして、今回は選ばせてもらいました。

それでは明日の発表、楽しみましょうね!

※追伸(2024/07/17)
芥川賞、直木賞発表されましたね!!
芥川賞は、
・朝比奈秋「サンショウウオの四十九日」(新潮5月号)
・松永K三蔵「バリ山行」(群像3月号)

直木賞は、
・一穂ミチ『ツミデミック』(光文社)

でした!!

残念ながら予想は外れてしまいましたが、どの作品も面白いことに間違いはないので、さらに盛り上がりながら楽しんでいこうと思います!!

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