バブル景気の貧困女子は、資産1億円を作れるか?|ドラマ「男女7人夏物語」に見るお金の話
TVerで放送中の人気トレンディドラマ「男女7人夏物語」にハマっている。
主役は、明石家さんまと大竹しのぶ。
のちに二人が本当に付き合い、結婚に至るきっかけとなったドラマだ。
1980年代の恋愛に「オブラート」はない
当時、わたしは小学生だった。
リアルタイムで夢中になってみたという記憶はないが、再放送で見て、なんとなく話題になっていたのは覚えている。夫婦漫才みたいな主役2人の掛け合いがかわいらしく、最高視聴率が31%を越えたというからすごい。
「男女7人夏物語」の最大のテーマは、恋愛だ。
1980年代の男女の恋愛は、すごい。動物的で官能的。せりふ回しが直接的で、「寝た」とか「キスした」とか、とにかくみんなよくしゃべる。さらに言えば、関係を持つ相手が一人ではない。明石家さんまは、大竹しのぶと付き合う前に、余裕で池上季実子と関係を持っている。
当時は「オブラート」なんて存在せず、1から10まで全部事実が表面化するので、そりゃ、あたりまえに、展開は早くなる。シンプルで、小気味よい展開。もうちょっと隠してもよいとは思うけど、だいたい仲間の中に、酔っぱらって、なんでもしゃべっちゃう、愛されキャラがいるので隠せるわけがない。
最近のドラマは、全10回でやっと「お互い好きでした。めでたし、めでたし」となるパターンか、結局最後まで付き合わず、「あとは視聴者の想像にお任せしますパターン」が多い。
さすがに、オブラートをオブラートでぐるぐる巻きにすれば、心のうちなんて見えるわけもなく、誰も見せないばかりか、誰も見ようともしないので、展開は遅い。進まない。それはそれで嫌いじゃないけど、そりゃ、婚姻率が下がってもいたしかたない。とは思う。
1980年代の男女の平均給与はどのくらい違うのか?
おもしろかったのは、「お金を払うのは男性」という価値観が、本当に「普通」だったんだなぁと実感できること。
買い物の代金を建て替えた明石家さんまがお金を請求する場面で、お金を出してくれないことにぷんすか怒る大竹しのぶの異次元感が、逆にとてもかわいくみえたし、高級そうなレストランに「連れて行って」と甘える賀来千香子の言葉選びがとても新鮮だった。
「男女7人夏物語」の世界では、決して「一緒に行こう」とは言わず、常に男性が女性を「連れて行く」。
内閣府の内閣府男女共同参画局によると、「男女7人夏物語」が放送された1986年と近年(2021年)の実質平均給与は、以下のとおり。
男性の平均給与は35年間で26万円しか増えていないが、女性の平均給与は51万円増えている。成長率を計算してみたら、男性が5%増加している間に、女性は20%も増えていた。
もちろん、まだまだ男女格差は大きいので、令和の女性の立場からみても、「正直、おごってもらえるとありがたい」という、事実はある。
とはいえ、昔ほど「お金を払うのは男性」というのがあたりまえではなくなっているのは、単純に給与の差が縮まってきているのも理由のひとつだと言えそうだ。
バブル景気の貧困女子は、資産1億円を作れるか?
バブル景気は、教科書的に言えば、1986年から1991年までの6年間を指すことが多い。
しかし、実際にこの時代に生きた人に話を聞くと、どうやら好景気というものはそんなにわかりやすくはないらしい。
みんなが景気が良いと肌で感じ始めたのは、1987年10月19日のブラックマンデーを過ぎたころからで、まだ「男女7人夏物語」が放送開始された1986年7月の段階では、わりとみんなの生活に余裕が生まれ始めた…という程度だったんじゃないかと思う。
おもしろいのは、ドラマの主要人物であるキャリアウーマンの浅倉千明(池上季実子)が、為替ディーラーという職に就いている設定になっていること。
確かに彼女はドラマの中で、めちゃくちゃ豪華なルーフバルコニー付きのマンションに住んでいて、ドラマの中で金の売買をしていることに言及しているシーンもある。
実際に当時の平均日経株価と金の売買価格(ドル建て)がどんな様子だったのか調べてみたら、株価がものすごい上がり方をしていた。
ドラマは、バブル景気のはじまりと同時に開始。
金は低迷期ではあるけど、おそらくこの尋常じゃない株価の値上がりを心配して資産を逃がす人や、長期投資でこれから金も上がるはずと見込んだお金持ちとのやり取りがあったことが予想できる。
気になって米国インデックスS&P500の推移も見てみたが、こちらもうなぎのぼりで上昇中。すごい時代だ。
彼女はかなり有能な、キャリアウーマンなのだと思う。
どうやらドラマの展開から察するに、ご両親の仲は冷え切っていたようだけど、それこそお金持ちのお嬢様あるあるにも思えてくる。
女性の平均給与が250万円/年の時代に、自分のお金で豪華なルーフバルコニー付きのマンションに住めたとしたらなかなかの高月給だし、そうではないとしたら実家からの援助はすごそうだ。
もしわたしが、バブル景気を生きているとしたら。
今と同じようにコツコツ投資して、1億円の資産を築いていたと言いたい。…でも、現実問題、この時代はまだ男女の賃金差が大きすぎる時代だ。
さらに実家が貧乏で、コネも金もない貧困女子となれば、株や投資信託を普通に購入できていた自信はない。
購入しようとしても購入の仕方がわからなかったんじゃないかなと思う。(当時はネットの証券会社なんてないし、Windowsが上陸する1995年まであと10年もある)
そうなれば、1億円の資産を築いていたとは考え難い。
わたしはいわゆる就職氷河期世代のど真ん中で、競争させられた上に、大人になる前にバブルは崩壊し取り分が全くなかったと言われる、別名「貧乏くじ世代」。でも、他の世代を知らない本人からしたら、あんまりその意味がわかっていない。
インターネットの普及とともに育っているので、その恩恵を受けた世代であると思ってはいて、わたしはまさにインターネットのおかげで、1億円の資産を作ることができた。
バブル景気を経験したかったという好奇心はあるけれど、「男女7人夏物語」を見ていると、この時代の女性には、また別のスキルが必要で、わたしにはそのスキルが不足していたようにも思うのだ。
やっぱり、わたしの場合は、バブル後の平成から令和の時代に育って正解だった、かもしれない。
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