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教育療法士と家庭教師のちがい

教育療法のセッションは、通常療法士(セラピスト)のオフィスか、クライアントの自宅で行われます。教育療法に親しみがない方が多いこともあり、「家庭教師」と間違えられることがよくあります。家庭で学習指導を行う点では、「家庭教師」という名称は誤りではないのですが、その役割や資格が大きく異なります。

皆様が家庭教師を探す時、どのように探しますか?普通は知り合いの高校生、大学生に頼むか、学校や学習塾の元先生などに頼むか、もしくは家庭教師を派遣してくれる会社に頼むのではないでしょうか。個人的な知り合いに頼む場合は、もちろん資格などは必要ありません。会社に頼む場合は、各会社が定めたルールによって異なります。一般的には指導する科目の知識があり、子供とコミュニケーションが取れる方であれば、すぐに家庭教師ができると思います。

しかし、教育療法士はこの点が大きく異なります。指導する科目の知識だけでなく、学習に影響する個人の特性、得意・苦手分野、現時点での学習能力、障がい・症候群、家庭環境、学校環境などを分析した上で指導を行います。また各特性に合わせて、指導方法を変えるノウハウを持っています。

例えば、文章読解が苦手な二人の子供がいたとしても、片方はボキャブラリー不足、片方は文章の全体像がつかめないなど、苦手な理由が異なれば、当然指導内容や方法が異なります。

また過去の指導経験や、他の教育療法士からのケーススタディなどにより、つまづきやすい点を理解し、様々な方向から解決策を提案することができます。

高校生、大学生が初めてバイトで家庭教師をする時、その科目が得意であればあるほど、苦手としてる子供がどこに行き詰まり、どこに迷うか、実感するのが難しいものです。また平均として、同年代の子供はどれくらいできるのか、何をどれくらいできるようになれば、進級時に有利になるのかなどは、教育現場にいなければ、なかなかわからないのではないでしょうか。

その点をふまえ、教育療法士と家庭教師の両方からサポートを受けるケースもあります。例えば、教育療法士はすべての勉強の基礎となる文章読解と作文を指導し、家庭教師は算数を教えるなど、利用方法は様々です。ご家庭の希望に合わせて、教育療法士は学校の担任の先生や家庭教師などとも普段から連携を取り、子供の特性や効果的な指導方法、学校での問題など情報交換するケースもあります。

もう一つ異なる点は、教育療法士は指導内容をゲームにしたり、勉強時間以外の普段の生活に組み込みやすい点です。クリエイティブな学校の先生、学習塾の先生は、同じように勉強の課題をゲームにしたり、課外プロジェクトなどにすることがあります。ただ、子供の特性や生活環境を理解しないと、家庭で実行可能な提案をするのは難しいので、たくさんの生徒さんを抱える先生が一人一人に細かい具体的な提案をするのは難しいかもしれません。

勉強方法だけではなく、将来の目標を視野に入れて、子供の生活環境全般を理解しながら提案をする、という点で教育療法士の役割は家庭教師の役割と異なります。

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