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定期点検と日常点検
我々の仕事はお医者さんと似ていると思います。お医者さんは普通であれば、具合悪くなった患者を診察する。中には「なぜこんなに悪くなるまで放っておいたんだ」というケースもある。しかしながら、時間を巻き戻すことはできない。見つけた時点をスタートして、最善の対策含め未来へ対して治療の提案をする。しかも、命に関わることや健康に関わることでも、直接の原因で無いとしても「予算」がある。(公共なら税金の予算。個人なら支払い能力)、何とか優先順位を上げるのに苦労することが大半である。

健康を脅かす病気の早期発見に健康診断がある。定期健診を受診することで、ある程度の病変の兆候は発見できる。つまり早期発見ほど治療には効果的であり、その履歴となる情報はお医者さんに取っては有益な情報である。

私たちが取り扱う住宅も同じことで、必ず築年数に応じて劣化・腐朽現象は起きるもので、普段から日常的な点検と言わずとも、汚れや腐朽箇所、ひずみや音など、様々な不具合や不快感、不協和に対する現況があるはずです。水廻り設備機器周辺では分かりやすいかも知れない。掃除中に汚れが落ちにくくなったとかも、とても有益な情報である。

防災訓練や避難訓練など、様々な事故を想定した訓練がある。警察官なども犯人逮捕などの人的訓練もあるはずだ。ではなぜ「訓練」が必要なのであろうか。ここでは理解していると思われるので、敢えて説明はしないが、絶対的に必要なことであるし、重要なことでは無い限り、敢えてコストまで掛けて「訓練」や「常時点検」などは行わないのである。

車には「六か月点検」と「車検」が義務付けられているが、実は住宅にはこのような点検などが義務化されているものは、一部の認定取得ではない一般の住宅には残念ながら一切無いのである。浄化槽の点検・清掃は、建築物の点検では無い。浄化槽法という市町村管理の上で、任意であっても義務化されているが。。。真面目に実施している家庭は少ないという。

住宅においては、あくまでも企業のメンテナンスの仕組化、又はお客様からの申込みによるもので、国や行政が定めた基準は一切皆無だ。それが建築・住宅の産業モデルであり、大量生産、大量消費、大量廃棄の典型なる申し子である。よって、中古住宅の流通・リノベーションと言えども「程度」は不明であるが故にも、新築よりは安価だとか、賢い買い物だからといって消費者を巻き込んでいるが、現代の新築住宅の全てのスペックからは、信用に値しないほど廉価版であり続けるだろう。

ではマンションならコンクリート住宅なら大丈夫かと言えば、そうではない。必ずといって言いほど頑丈で強固な資材を用いた建物にも老いが来るもので、そこに住まう住民にも老いが訪れる。若い時代で所帯を持ち分譲マンションを購入したとしても、劣化が進むと同時に住まう住人にも老いが訪れて来るのは承知の上かも知れないが「お金」「管理」「寿命」からは逃れることは出来ないので、住宅ローンを早々と終えても、新たに負担を強いられる羽目になる。しかも専有部以外の共有部に至るまで負担することになる。

管理会社と言えど営利企業であることから、僅かであっても儲からない仕事はしない、撤退だって起こり得るのである。資産売却と言えど新たに開発が進む都心と比較したり、郊外での一軒家の需要と比較すると、インフラが充実している自然環境の方が好ましいのは明らかであり、いくら立地が良くても劣化・腐朽が進んでいるビルには見向きもしない。特に高齢化進む世代では、どうすることもできないのである。だから空き家が増えているのである。悪しき循環である。ゴミが分裂されていない。宅配BOXなんて期待しない方が良いだろうが、郵便ポストの名札もない。車離れの世代も増えているので、駐車場も空きが目立つ(実は駐車料金は収入源なのである)マンションは要注意である。〇〇ニュータウンなど、このような過去の産物として、目立つ時代に取り残された物件もある。

築40年以上の分譲マンションが125万戸以上あると言われている。その内、管理費や修繕積立金が成立しているのは、実に三割そこそこで十年後には六割になるとも言われている。それでも、リフォーム・リノベーションといって、戸建新築より安価だからといって購入しますか?三割ということは3戸に1戸の確立で、不明や把握できていない数を入れると、公営住宅以外は、もはや機能していないと見なした方が良いでしょう。

買取再販住宅(リノベーション済み)のマンション購入が好調な売れ行きである。これらは全て「不動産事業」であることから、商売の基本は「売買」にあることで、ここに住まわれる住人の暮らし方や生活動線など、顧客ファーストという観点は無いのである。売れれば良いのだから、気にすることは無いのである。それが「ノルマ」だからしょうがない。

ブランド品のカバンなど本物と偽物を見分ける目利きが必要だが、消費者は何を期待しているだろう。ホンモノという安心感なのだろうか。ブランドが本物であっても、使用するということは消費するに従って劣化は進行して行くのである。日常的な手入れを施したとしても、劣化程度を延命するだけで最終的には廃棄する方向に向かうのである。住宅も同じことで、一番高価な耐久消費財であることには変わりない。老いても背負うだけの価値が存在しているはずだが、それでも集合住宅よりは戸建住宅の方が自分の持ち物が全て専有部にあたるので、背負う価値は目に見えて納得する形が存在する。

それでも普段からの日常点検(手入れ)等によって、早期発見で対応することが可能である。場合によって治療する事になっても、少ない負担によって、より良い状態に維持することや、適時において上手に交換(リフォーム・修繕・修理等)することによって「資産」を維持することが可能である。保証やメンテナンスというのは、このような耐久消費財こそ必要なモノであり、どこに目を向けて住宅を販売しているのか、販売する事業者の姿勢であるとも言えるだろう。その為にも、事業者が必要とする「定期点検」と、そして最も重要な生活者が必要としなければならない「日常点検」を上手く機能させた仕組みを提案してくれる企業を応援したいし期待したいと思います。

住宅・不動産を扱う「〇〇情報館」という大きな企業がある。〇〇モーターと同じく、一部の店舗で除草剤を巻いて公道の樹木を伐採していたという報道があった。車も住宅も不動産も耐久消費財としては、高価な買い物で一生に幾度と購買する機会は無いだろう。安価で購入できるなら、それに越したことはない。しかしながら、企業姿勢としてはどうだろうか。購入する人の判断にも寄るのでしょう。少なくとも属性の高いお客様は敬遠するだろう。属性の高い地域の住民が住まう街からは敬遠されるだろう。そして、市場から淘汰されるだろう。

私も若い時代は〇〇車検とか、早い!安い!上手い!では無いが、安価な工場で車検や点検を受けていたが、所帯を持った時点でディーラーに全て任せている。ディーラーは安価では無いが「安心感」がある。理由はそれも大きいのだが、スタッフの休憩中の態度や、ある言動に減滅したからである。企業姿勢やそこで働いているスタッフ、お客様の命や健康を預かっている商売では、技術を要するにも「訓練」や「点検」、そして何よりも勉強する事はつきもので、そこにはコストが必要である。その安心感を提供するために、日夜努力していることでしょう。

私は長年間において「〇産」車に乗っていたのだが「〇ヨタ」車に乗り換えてしまった。お隣ご夫婦が〇ヨタのスタッフという灯台下暗し―もあったが、何よりもずっとお付き合いして頂いた〇産のスタッフが、誰もいなくなってしまった。。。営業販売する人は異動等も多くあり仕方が無いというのもあったが、整備するスタッフも、顔見知りは誰も居なくなってしまった。点検という遊びがてらに店舗へ伺った時に、誰も声を掛けてくれなかった。。。淋しく思った。。。高価な買い物など住宅や車も同じであろうか耐久消費材向けの商品というのは、担当者という人に依存する思いが大半である。

私一人の顧客を失うことは、企業からすれば大した事ではないだろう。ちなみに10年間の間に3ナンバーの新車を3台購入している。企業は人なり、、、。