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エコロギーでの一年間の留職を終えて

こんにちは。エコロギーの国内営業・マーケティングを担当していた大谷です。

私は、「留学」ならぬ「留職」として、2021年6月から派遣されていたエコロギーを離れ、もともと所属する損害保険会社へ戻ることとなりました。 
本稿では、エコロギーでの留職期間中の実務を通して私が学んだことや感じたことをシェアできればと思います。

 1.はじめに

私は、NPO法人クロスフィールズさんの「国内留職プログラム」を活用した人材育成プログラムの一環で、所属元の保険会社からエコロギーに派遣されておりました。

この人材育成プログラムは、海外ビジネススクールの短期カリキュラムの受講と、所属元の保険会社と関係のない企業でのOJTの二本柱から成っており、「修羅場経験」がテーマのプログラムです。

私は新卒で所属保険会社に入社し、1年目は自動車保険の保険金をお支払いする部署、2~9年目までは地方での営業や首都圏での企業営業を経験しました。営業経験を積むにつれて、よりお客様の役に立つ、お困りごとを解決できる商品・サービスの開発に自ら携わりたいという想いが強くなりました。その想いの実現のため、経営知識やビジネスの立ち上げに関する実務経験を積みたいと考えたことが本プログラム本プログラムへの参加に繋がり、結果としてエコロギーへの派遣に至りました。

エコロギーでは、国内でのマーケティング、営業活動をメイン業務とし、経営課題抽出、方針策定への関与といった部分まで携わらせていただきました。

2.学び

ここからは、9か月の留職期間における多くの学びの中で、特に印象深かったものを記載したいと思います。

〈1〉本質を逃さないこと
エコロギーでは、消費者へのインタビューや試食、製品の開発からマーケティングプランを検討し提案すること、そして顧客の反応を踏まえて修正していくという、事業立ち上げにおける一連のプロセスを経験しました。このプロセスの中で、社内で議論を重ねてどの方向に進むべきかを判断することを何度も繰り返しました。

例えば、食品メーカーへの原料卸(B2B)としての提案を続ける中、本当にこの提案を続けていくことでビジネスを継続できるのか、自社商品を持って販売(B2C)していく方が良いのではないか、という議論がありました。実際に事業計画に落とし込んで数字を見てみると、数字上では方向転換した方がビジネスとして継続性があるとの見解に至りました。しかしながら、「この計画に乗っ取って進めていくことが、エコロギーとして目指すビジョンの実現に繋がるのか」、という観点では疑問が残り、結果としてそのプランは選択しませんでした。
入社以来ほとんどの時間を営業現場で過ごしてきた私は、どうしても目先の結果にウエイトを置いてしまう傾向が少なからずありました。エコロギーでの経験をとおして、会社が実践しようとしていることや自身の行動が、本来の目的、つまり「本質」からずれブレていないかを考えることが習慣になりました。

 〈2〉事業展開のスピード
先述のとおり、事業の進む方向について何度も議論を繰り返してきたわけですが、決定から実行までのスピードが速く、またトライの回数も多いことが印象的でした。企業が大きくなると、ひとつひとつの意思決定に時間を要する傾向があるとよく言われると思いますが、異なる組織に属し客観的な視点で捉えると、よりスピードの違いを実感しました。会社の規模や立場が異なるため、ただ早ければ良いというわけではないと思います。しかしながら、ベンチャー企業には、失敗や修正ありきでスピード感を持ってチャレンジしていくことが求められており、エコロギーはそれをまさに実践していると感じました。事前準備は当然必要で、計画に沿って進めていくことは大事ですが、それよりも、早くアクションを起こし、気づきを得ていかに修正をしていくかが大切であると学びました。

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3.価値観の変化、視野の広がり

新卒から損保会社で働いてきた私にとって、保険とは異なる業界で、かつコオロギを扱い、設立間もない小規模なベンチャー企業というのは異世界そのものでした。この異世界への参入による価値観の変化や視野の広がりについても少しご紹介したいと思います。

〈1〉社会課題解決に本気で取り組む人たちがいる
エコロギーに派遣された9か月間の中でも強烈に印象的だったことは、エコロギーに参画している人たちは、皆が本気で社会課題の解決に取り組んでいるということでした。
今までの会社人生では、営業である以上はノルマがあり、数字を上げることが評価の第一指標でした。振り返ると、結果のためにいかにして顧客や担当代理店に認めていただくかということに重きを置いていたと思います。当然お客様のために、代理店のために何ができるかを考えて行動はしてきたわけですが、当時の私は、大きな組織の中のひとりの営業社員という感覚であり、自身の行う仕事が社会の中ではどういう位置づけで、それが社会課題の解決に繋がっているという想いを持ったことはありませんでした。(あくまで私個人の話であり、そういった感覚を持って仕事をしている人たちは多分にいると思います。)

エコロギーでは“地球と生命を健やかに”というパーパスを大切にしており、意思決定の判断軸は常にここにあります。集中的に大規模に生産をする方が効率の観点では良い選択と言えます。それでも、地球への環境負荷を抑え、カンボジアの農家の人たちと分散的なコオロギ生産のインフラを構築し、いつでも、どこでも、誰でも食料を生産できる持続可能な社会創りを本気で目指している。そのような想いを持って仕事に励む人と一緒に働くことは本当に刺激的でした。そして、日々悪戦苦闘するエコロギーメンバーと時間をともにすることで、自身の仕事がひとつの組織の中だけでなく、社会にどのような影響を与えられるかを考えるようになりました。
 
〈2〉知らないことを知ること=自分の人生の可能性を広げること
留職期間をとおして、改めて自身が知らないことが世の中にはたくさんあることに気づかされました。そもそもエコロギーで留職することになるまでは、昆虫食が代替タンパク源として注目されているなんてことは全く知りませんでした(笑)。
エコロギーで業務を行う中で様々なツールやプラットフォームを活用する機会がありましたが、私にはどれも初見で、世の中には色々なものが次々に生まれていると改めて感じました。その他、エコロギーに参画しているメンバー、パートナー企業、その他業務で知り合った方々など、誰もが自分とは異なる価値観を持っており、勉強になる部分がたくさんありました。
これらの経験から、「知らないことを知ること=自分の人生の可能性を広げること」と強く感じるようになりました。人の価値観、組織や商品・サービスなど自分の知らないことは世の中にたくさんあって、それを知ることで自身の中での選択肢が広がっていく。留職で出会った人の話を聞く中で、こういう考え方、生き方もあるんだなということを知り、それを取り入れることで、自分の可能性はその分広がったと思います。留職で今までとは異なる環境に身を置くことで、このような捉え方ができるようになりました。

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4.最後に

エコロギーの事業はようやく一つの体制が出来上がってきたという状況です。何かがクリアできて前に進めばまた別の壁にぶち当たり、3歩進んで2歩下がる、といった感じです。ひとつのものを商品化する裏では、とても泥臭い業務があったり、いくつもの難局を乗り越えたりもしています。会社組織としての体制が整っているとは必ずしも言えません。ですが、エコロギーが成長段階にある会社だったからこそ、より経営に近い立場で参画できたとも言えます。それによって私が留職前に想い描いていた経験が得られました。

また、私の留職期間だけでも何人もの人がエコロギーに色々な形態で加わり始めており、エコロギーにとって必要な人材が次々に現れています。これはエコロギーのビジネスに社会的意義があるのはもちろん、CEOの葦苅さんをはじめ、働く人々が魅力的だからこその結果だろうと感じました。エコロギーでの業務経験は、ソーシャルビジネスに携わりたい、自身の経験を活かしてもう一段ステップアップしたい、自身の視野を広げたい、といった人には申し分ないフィールドが広がっていると思います。

全く異なる業界から来た、右も左もわからない人間を9か月間も受け入れて、さらに貴重な経験までさせていただいたエコロギーには感謝の気持ちでいっぱいです!所属保険会社に戻っても、エコロギーで得た学びや新たな価値観を日々取り入れながら社会課題の解決に携わっていきたいと思います!


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