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韓国を絡めながら探る生命保険業界のトレンド

一社専属の営業職員の減少と、乗合代理店の増加

ネタ元は『生命保険経営91巻第1号』の「韓国生保業界、商品開発・販売の分離が進行」より

お隣の韓国ではタイトルの通り、伝統的な一社専属の営業担当者は世界的にどんどんシェアを減らしている。

自社の商品を勧める(他社商品に言及できない)のは、顧客からすると本当に自分に最適な商品を薦めてくれているのか、と疑念を生じさせるのかもしれない。

日本も徐々に代理店主流に舵を切ってゆくのではないだろうか。

乗合代理店が主流になると、商品開発をする保険会社の競争の軸はどう変わってゆくのだろうか。

一社専属であれば、自社の営業担当者の能力で売上が左右される。一方で代理店だと商品性、事務のバックアップ体制などを総合的に踏まえて、販売担当者に選ばれる存在でなければいけない。

自らで売るわけではないので、事務システム開発でも代理店の意向を考慮に入れながら設計を考える必要がある。

問い合わせに対する回答の迅速さも、売上に直結するだろう。事務品質が脚光を浴びる一方で、社外に対する緊張感は増してゆくだろう。

高金利の貯蓄性商品の魅力向上

ネタ元は『生命保険経営91巻第1号』の「韓国生保会社、貯蓄性商品の利率を引上げ」より

こちらも韓国の話題だが、高金利局面が続いていることから、年利4%台の貯蓄性商品が現れている。今の日本からすれば驚くほど高水準だが、それだけ経済が好調ということだろう。

長らく給料が上がっていない日本からすれば羨ましい限りである。

貯蓄性商品のラインナップは大まかに行って以下の種類がある。

・個人年金保険・・・保険料を少しずつ積み立てて、期日になったら年金形式で貰える

・一時払終身保険・・・一括で保険料を払って、あとは寝かせるだけ。死亡保障もあり

・一時払養老保険・・・一括で保険料を払って、後は寝かせるだけ。死亡保障と満期保険金がある

一時払というのはまとまったお金を持っていて生活に余裕のある富裕層向けだ。母親は一時払いの学資保険に加入して、高度成長期だったともあって、満期時にはほぼ倍になって返ってきたそうだ。

「これを知っていたらもっと大きな金額払い込んだのに、当時はお金がなかったんよ」と母は嘆いていた。

今の韓国もそれに近い状態ということだ。私には韓国在住の友人はいないが、もしいたら安定的な投資先として貯蓄性の保険はかなりおススメするだろう。

日本在住の人間が手を出そうとしても加入を断られる可能性が高いし、為替リスクがあってそもそも旨味が薄れる。

大手生保の賃上げ相次ぐ

人材獲得競争の圧力により、ついに給料引き上げに踏み切る会社が出てきている。大手がやり出すと他社にも影響を与えずにはおかないだろう。

これは金融業界全般に言えることだが、「高ストレスを高給で納得させる」業界というのは、待遇面の差が人材の質に直結する。また、若い人間が集まらない業界に未来はない。

日本人の給料が世界と比べても上がっていない、という世間の認識も影響しているのだろう。

飲食業界では既に進展著しい東南アジアとの出稼ぎ労働者の取り合いが起こっているようだ。生命保険の加入要件に「日本語を理解していること」を定めている会社もあり、生命保険業界はドメスティックな色がまだ強い。

国際的な人材獲得競争は、資産運用部門やシステム開発部門でまず進んでゆくのではないかというのが私の予想である。

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