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社員の満足度はどうやったら上がるの?

イマイチ腹落ちしない満足度向上策

社員満足度が世の中で重視されるようになって久しい。

転職市場が活況を呈し、暴露話がSNSでどんどん供給されていることを考えると、社内の人間から良い印象を持たれることの優先度はどんどん高くなっている。

また、会社に愛想を尽かして誰かが退職すると連鎖反応を起こす場合がある。人が抜けた分、一人当たりの仕事量が増えてキツくなって他の人も辞めてゆくという負のスパイラルである。

「社員満足度を上げることが重要だ」という説に異を唱える人はいないと思うが、これこそ"総論賛成各論反対"の最たる例で、具体的な満足度向上策に論点が映った途端に意見がバラバラになってしまう。

パッと思いつく取り組みだと「お互いに感謝を伝え合おう」というのが出てくるのだが、投稿を呼びかけている時点で「確かに気分はいいけど、仕事プラスオンしてるやん」感が凄い。

「一人ひとりの個性に寄り添った指導を」という考えのもと、1ON1ミーティングに取り組む企業も増えてきているが、やはり「仕事プラスオンやん」感が凄い。

満足度向上は社員の選別とセット

マレーの心理発生的欲求リストによれば、人間のモチベの源泉は28種類もある。これをもとに全所属員の好みに合わせて報酬を設定するなんてど土台無理な話だ。

したがって、職場の満足度向上は「どの層にターゲットを絞って満足度を上げていくか」という問いに変換できる。

では、積極的に満足度を上げるべきは誰かというと、「会社の成長に貢献してくれる社員」である。

もっと具体的に言うと、「未知の課題に対して速やかに本質を見抜き、周りの人間と上手く共闘しながら解決できる人材」だ。

ちなみに、このような課題解決型人材は大きく分けて2種類いる。リアルタイム降り掛かってくる問題を創意工夫で乗り切る"現場担当者型"と、長期スパンで構想を練ってゆく"企画管理担当型"である。

組織には両方必要なので、安易に現場と企画管理部門という括りでバッサリいかないように気をつけたい。

「特定社員の満足度を重視する」を自然体でやると、立場の弱い若手や、Noと言えない人間に負担が集中するようになる。特に上記2種類の課題解決型人材はどちらもNoと言えない人が多い。(属人化していて他に振れないのが原因の場合もある)

そこを上の人間が適宜是正しつつ、「こいつなら未知の問題にも対応してくれそうだ」という人材を本人の特性も踏まえながら働きかけてゆく。

口が裂けても言わないと思うが、上の人間も時間が限られている以上、"選ばれた人材"はいるはずである。受け身で創意工夫ができない人材は、まあまあとなだめすかされながらほどほどの満足度でとどめ置かれることになるだろう。

受け身な人たちは自分が人生で重視する要素を言っても、根本対応にコストがかかる場合はやってもらえない。

ターゲットを絞った上で採用・育成を見直す

社員満足度が高い職場というのは、全社員の満足度が高い場所ではない。会社の肩入れする社員層に噛み合った人材がたくさんいる職場のことだ。

逆に、職場の社員満足度が低くなっているのであれば、採用と育成のいずれかで齟齬が発生している可能性が高い。

ためしに所属の研修内容を確認してみてほしい。内容が何年もアップデートされていないのであればビンゴだ。1ON1ミーティングも育成改革に関する話を交えてゆくと、一貫した流れが出てくる。若手の知識の穴がどこにあるか傾向を確かめるのも良いだろう。

社員満足度の問題は、すなわち育成と採用の問題である。

・・・というわけで、最近の私は隙間時間を見つけて担当する研修資料を密かにアップデートしている。急がば回れである。

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