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アラフォーからのヴィジュアル系番外編 <元ライターが「ヴィジュアル系ライター勉強会」に行ってきたお話>

先日「ビジュアル系ライター勉強会」に行ってまいりました。

https://vkei-benkyoukai.peatix.com/

イベントの趣旨としては「ライターという職業に興味のある人に、ライターとメディアはどうかかわっているのか、ライターになるのはどういう方法があるのか? などを紹介する」という形。
ゲストは
「ROCK AND READ」編集長の吉田幸司さん(@ykhcinc)
V系以外にも音楽業界で広く執筆をなさっているライター山口哲生さん(@yamao1031
司会が、ウレぴあ総研などでもおなじみ藤谷千明さん(@fjtn_c
アシスタントとして、神谷敦彦さん(@atsuhiko_kamiya)が、Twitterで実況。
という、ヴィジュアル系好きで雑誌やweb記事など好きな人なら、お名前を見掛けたことがあるはず、という方が集まった豪華なイベント。

開催時間が13:00~15:00(実質終了は15:30)だったんですけど、終わったあとにライブ参戦ができる時間帯なのね。素晴らしい。「行きたいけどライブあるからな~」というのは少なくとも解消される。自らもバンギャルである藤谷さんならではの心配りですよこれは。

<勉強会の構成>

お話の内容は2部構成になっており、
<第一部>
・そもそもライターの仕事とは
(インタビューやライブレポート、分析記事など)
・雑誌、webなどメディアによる違い
・インタビュー取材の手順
・ライブレポートの手順
<第二部>
・V系ライターになるには
・V系ライターに向いているのはどんな人?
<質疑応答>
という流れでした。

どんな内容だったかは、神谷さんがTwitterで実況(モーメント)してくださっているのでそれを見てほしい!いやあの即時性はすごいですよ。
もちろん「ここだけの話」というのもあったし、それ以外のお話も「そこで聴く当事者性」というのもあると思うので、レポートだけではわからない部分というのもあるんですけど。
でもそれだけ興味があるなら、次ある時は参加しましょ?って話でもありますからね。
他の参加者の方もレポート書いてらっしゃるだろうし、Twitterの #V系勉強会 タグを探してみてもよろしいかと。

<元ライター仕事履歴とわたしでしか書けない感想>

というわけで、わたしはわたしでしか書けないレポートというのを書いておこうかと思います。
まず、わたしのお仕事履歴を軽く書いておきますと。
元々フリーランスのライターでオタク系サブカルの現場で執筆をしつつ、編プロや映像制作会社でのあれこれを経て、専門学校の教務担任として小説家志望者のサポートをしながらパンフレットや書籍の編集執筆に昨年まで携わっていました。
書き物仕事を始めたのが2000年で、現在はちょっと執筆からは離れて事務職をしています。

ライター経験あるならなんで行ったん、と思われる向きもあるかもしれないが、自分の好きな「V系」という分野に特化したお話が聞けるかしら、と思ったのがひとつと、単純に今回の登壇者の皆さんが好きで興味があって、という理由です。
そしたらですねえ、V系に関わらずライターとして仕事を続けるにあたって大事になる普遍的なお話がたくさん聞けたので非常に儲けた気分です。

特に、インタビューライターとして必要なことのお話には深く納得させられました。
わたしがインタビューしてきたのはミュージシャンではなくて、イラストレーターさんや小説家が主でしたが、共通することも多くてね。
「誰でもできる質問からは面白い話は引き出せない」というこれに尽きるなあと思いました。
吉田幸司さんが、優れたインタビュアーの実例として吉田豪さん (@WORLDJAPAN) のお名前を良く出されてて吉田豪さんの著書「聞き出す力」おすすめされてました。
ライターの仕事って文章書くよりも人から話を聞いたり、打合せしたりする時間のが実質長かったりするんで、そういう意味でも「人の話を聞く」「話してもらえる土壌つくり」というのはすごく大事で、ライターなりたいなあっていう人は一読の価値ありとわたしも思います。

意外とのこの「仕事内容に対してのイメージ」というのが実際の仕事と乖離があったりするので、そういう意味でもインタビューやライブレポートのお仕事内容のお話は大変具体的で勉強になった第一部でした。ICレコーダーはほんと必須!!

<なるには問題について>

そして、わたしが今回ちょっと紙幅を割いて(紙じゃないけど)書いておきたいこと。
これがですね。
第二部の
・V系ライターになるには
です。
わたしも「作家になるにはどうしたらいいですか」「ライターになるにはどうしたらいいですか」という質問をさんざん受けてきました。
そして答えると「そういうことが知りたいんじゃない」と言われてきました。
が。
今回の勉強会でも、登壇者の皆さんみんな、わたしが人に聞かれて答えるときと同じお話をなさっていて安心しました。。。
かつ、やっぱりなりたい人が聴きたいのはここなのかなあとも思うので、厚めに書きたいと思ったところです。

当日配布していただいた資料に「ライターへの道は色々」という形で
・出版社や編集プロダクションへ就職orアルバイトで働く
・ライター専門学校に通う(学校が仕事を紹介してくれるケースも)
・ブログやサイトの記事が編集部やバンドの目に止まり、ライターになるケースも
・他にも「たまたま暇だったところ、友人の紹介で……」など、理由は様々。

と記載されていたんですけれども。

小説家の場合はここに「新人賞へ応募」とかが増えるんですが。
で、大体の人は最後の「人の目に止まり」と「紹介」なんですよね。
わたしもそうです。たまたま自分のwebサイトを雑誌で紹介してもらえて、編集者と知り合い「ライターやりたいんですよ」っていうところからお仕事をもらって、そのあとは紹介で広がっていきました。自分で持ち込みとか営業とかはほとんどしたことがない。
「気が付いてたらなってた」というのが大体の人が言う答えで、聞いた人は「そんなわけあるか」って思うみたいですが、これは嘘みたいなほんとの話。
専門学校で働いていた時には学生にお仕事を紹介してきたこともあるので、学校という手もあるんですけど。
これも、学校というフックがひとつつくだけで結局は紹介ですからね。

なのでシステマチックな「なり方」を知りたかった人には、もしかしたらあまり参考にならない話だったのかもしれないです。
でもわたしもライター希望で未経験の学生に「仕事の探し方」としてレクチャーしたのは、やっぱり雑誌の奥付を見てライターや編集アシスタントを募集していないか見ること、奥付に書いてなければその雑誌を作っている編集プロダクションのサイトを見て求人していないか見ること、だったんですよね。
けどほんとそういうもんで。
ものすごい遠回りなように感じるかもしれないけど、書きたい人はお金になろうがなるまいが書きましょう、そのうちなんかになるかもしれないし、続けてたら自分の武器が見つかってくるし、そうしたらそれをアピールできるようになるから、人の目にも止まりやすくなるよね、という結論。
これをやってると、今回の勉強会で「なるには」の答えが「気が付いたらなってた」ということへの理解度も深まるのではないかな~と思っています。

なりたいけど、なり方を知りたい、という人が知りたいけどわからないことの一つに「お金」の問題もあると思ってます。
兼業でもできるのか、専業であり続けるためになにをしたらいいのかという質問があったようなので、もしかしたらお金の面で躊躇する人もいるのかなーと。
小説家も同じで、良く小説家だけで生計を立てられますか、と聞かれます。
出版不況と言われて久しいですが、現在は出版以外も不況ですからねえ。
ちなみに小説家の場合だと、新人賞で受賞した際に出版社から、お仕事を持っているかどうか聞かれて、辞めないように言われることもあるようですね。
人手が不足している媒体だと、人は欲しいけどそんなにお金が出せなくて、みたいなところも実際あります。
今回の勉強会でも「1カ月にインタビュー3本では家賃が払えない」という発言もありましたが、まあつまりそういうことだ。
というか、物書き稼業でなくても会社員の人が兼業でアルバイトしてたりも多いですし、昨今「仕事はひとつ」という固定観念からは離れても良いのではないかなーと思います。
兼業でできるところからやっていって、お金の目算が立ち始めたらフリーランスになる、でいいんじゃないでしょうか。

<ファンとしてどう仕事に取り組むか>

あととても興味深かったのが「ファンでもできる仕事なのかどうか」というところ。
これすごく難しいですよね。
好きだからできる仕事で、かつ好きだとできない仕事という大きな矛盾をはらんだ職種です。
吉田さんは「ファンだとうまくインタビューできないことが多い」とおっしゃっていて、藤谷さんも緊張しすぎて良くなかったというようなことをおっしゃっていて。
神谷さんがツイートにもまとめてくださってますね。
https://twitter.com/atsuhiko_kamiya/status/1091571794434129920
すごい難しいなと思ってます。
わたしも番組制作会社時代にいくつかの番組のAP(アシスタントプロデューサー)をやっていてこうしたケースは発生しました。
所属会社が、わたしの大好きなアーティストの冠番組を請け負ったんです。
APってなにやるかというと現場監督みたいなもので、全体の進行を見たりお金(番組予算)の管理したり演者さんスタッフさんのお世話とか、ケータリングのごはん準備したりとか衣装繕ったりとか、まあなんでもやるんですけど(あくまでもわたしの場合)。
で、プロデューサーもディレクターも「えびちゃんこの人好きでしょ、APやってよ」って言われたんですけど。
お断りしました。
好きすぎて!無理!
どうしてもファン目線過ぎてちゃんと番組スタッフやれる自信がないなーと思ったのと、やっぱりファンとして見ていたいので、加工されていない素の姿を垣間見てしまうのも避けたいなと思って、現場スタッフは辞退しました。
もったいない!って言われましたし、もちろんすごい悩みました。
でもこれは結果的にお断りしてよかったなーと思ってます。
そんなことがあったのを思い出したり。

でもこれって、「音楽が好きなら音楽ライター向いてないよ」とかとは違う。分野として好きでないとできない。だけど、その中でもすごく好きな対象があってそれに対してはちょっと冷静に客観的には見られないな、っていうのはファンなんだと思うんです。
距離感をどう取るか。
自分の体験に即して書いてしまうけれども、わたしの場合は取材対象である作家さんがお友達であるケースも多かった。でもそれはちゃんと仕事として記事が書けて、友達でもファンでも、取材対象として冷静に見られるケースというのもある。
そこのところのバランスを考えて、仕事を選ぶことができたらいいのではないかなと思ってます。

<文章を書く仕事で求められるスキル>

そんな感じでライターとしての心構えであるとか、お仕事に対してのあれこれを聞けましたが。
一個興味深い点として。
ここまで読んでお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが。
「文章のうまいへた」については、一切話題にのぼっておりません!
もちろん、最低限の日本語執筆能力というのが求められるのは前提ですけど、うまい下手で評価の別れるお仕事ではないということでもあるかと。
なので「文章うまくないけどなれるのかしら」という点については悩まなくていいんじゃないですかね。
文章は書いて読んでを繰り返していたらそれなりにうまくなると思います。
あと、これはぜひ覚えておきたい点ですが。
誤字脱字。
どうしても起こります。
わたしも先日、マニュアルを作るお仕事を請け負って(地味に現職でもちょっと執筆系のお仕事があったりする)校了前にひとつ見つけてギギギ……となりました。
この誤字脱字について、Twitterのリプで「記事のどこそこに誤字がありましたよ」と指摘される場合があるそうですが(ええ本でもあります)。
リプがつく前に気が付いていて「ああ、、、」となってることも多いです。
勉強会の場でもこのお話が出て「Twitterじゃなくて、編集部にメールで送ってくれるとうれしい」という結論。
もし、web記事などで誤字脱字を見つけて指摘したくなったら、執筆者へのリプではなくて、編集部にメールでお知らせすることをお勧めいたします。

そんな感じかなあ。
V系だから音楽だから、という特別ななにかはなくて、物を書く、人から話を聞く、誰かになにかを伝えるという仕事について、なにが大事かよくわかる2時間半でした。
特に、メディアによって読者層が違うから、届ける人のために工夫が必要であるとかそういったお話はいろんな媒体でお仕事されている方からでないと聞けないですし。このあたりの実務的な事例は山口さんのお話が非常に有益でした。

<まとめと「武器」について>

個人的には、質問の時間がもうちょっとあると良かったな~と思ったりもしています。
その場で挙手だとなかなか出てきづらいけど、事前に集めたのをもうちょっと聞きたかったですね。書き手を経験した側として想定している質問と、未経験の人から出てくる質問ってまったく違うことがあったりするから、どんな質問が来ていたのか気になって。
もちろん、話を聞いて解消されたものも相当あったとは思うんだけれども。
あ、あと今回アシスタント参加ということで神谷さんのお話がほとんど聞けなかったので、いずれかで神谷さんのお話も聞きたいです。
すごい硬い文章でブログ書かれてて、それが受け入れづらい人もいるようだけど、逆にだからこそ納得感が高まることもあるし、これはもう神谷さんの武器だと思うのですよ。

「自分の武器を見つける」これは書き続けていないと見つからないので、書き物仕事にあこがれている人、目指している人は、なり方探すよりも書けること書きな!っていうのは本当に同意。
藤谷さんの武器は「若手のライブに定期的に行くこと」とおっしゃってて、わたしが藤谷さんが好きなのはそのアクティブさと、いろんなことに対して熱心なのに冷静でもあるところなんです。実際、好きなアーティストにインタビューしたとき緊張したとおっしゃってたのを意外に感じたんですよね。わたし藤谷さんに対してはすごく冷静沈着でクールなイメージを持っているので。

わたしも今は執筆仕事からは離れているんですけど、noteでこの「アラフォーからのビジュアル系」っていうのを続けて書いているのには、いつかこれなんかにならんかなあと思っているところもあったりします。
大森望さん(@nzm)の「50代からのアイドル入門」のマネなんですけどね。
他の人と違うところを自覚するっていうだけでも違うと思ってて、わたしの場合は、バンギャルになるのが遅かったっていうのにプラスして、年に100本前後のライブ参戦を数年続けた、というのが割と武器だと思ってます。
現状は参戦本数こそ減りましたが、時間はちょっとできてきた。
ここからまた自分なりのV系へのアプローチであったり、書きたいと思う気持ちを持ち続けられるモチベーションを高めたりして、いずれかで書き物仕事に返り咲くチャンスをつかみたい、そんな風に考える所存です。
もちろん兼業で。

というわけで、ライティング経験者にも非常にためになる勉強会でしたので、是非とも次回も開催していただけたらと思っています!

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