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アラフォーからのヴィジュアル系番外編 <えんそくとわたし。かえれないおわらないいつからでもはじまる>

ちょっと番外編です。
気持ちの鮮度の高いうちに書いておこうと思って。
大変長文になりそう。

えんそくというバンドがあります。

地味に長いこと活動しているバンドで、wikiだと2005年結成ってなってますね。
そしてここんち、数年に一度非常にけったいな企画をしている。

7日間連続無料単独公演

はい。

7日間連続無料単独公演

ええ。

今年も、渋谷のTSUTAYA O-WESTにて10/23~28までの7日間開催されました。(最初は2014年の池袋BLACKHOLE、2回目が2016年の新宿HOLIDAY、そして今回)
そしてわたしもついうっかり、今年は7日間すべて行ってしまった。
楽しかった!!!!!!
めちゃくちゃ楽しかった!!!!何度か泣いた!!!!

というわけで「わたしとえんそく」についてちょっと語りたい。

存在を知ったのは2014年に入ってすぐでした。Jin-Machineを知ったのと同時くらいに知っていて「見たいバンド」のひとつでした。
ただ、怖くてなかなか行けなかった!
ボーカルのぶうさんがめっちゃ怖いという噂で、振付しないとめちゃくちゃ煽られるとか、インストアで怒られたとか、もうとにかく気軽には行けない感じの雰囲気で。
半年ちょっとくらい、怖い噂をネットで見ては「いやまだちょっと、、、」とチキっていたのだけれど、9月にようやく見に行って、意外と怖くなかったんですね、楽しかったです。
ちょうど前のドラマー稔さんが抜けてすぐくらいの時期でした。
確かにぶうさんはすごい煽るんだけど「俺たちはこれが楽しいと思ってやってるんだよ!」という確信が見えていた。そして曲がまたわたしの好きな感じだった。動画とか見ててもわからないときってあるんですよね。
そこから「えんそく、いいじゃん!」ってなって要所要所で見に行くようになったというわけです。

えんそくは、ヴィジュアル系のシーンの中ではちょっと変わったバンドだなと思います。
わたしがライブ通いをはじめた2011年から早いもので7年、あんまりこういうスタンスのバンドはみかけません。
細かくいろんな事象を見てきて「えんそくらしいな」と思ったことは何度もあるけど、具体的にあげるといろいろたくさんありすぎるから割愛。
ただ、毎回ものすごく意志の強さを感じる。
そしてその意志の強さがすごく硬派なんですね。
ずっと同じスタンスで続けていること、本当にすごい。
そう。
続けることの強さと、続けていたらつかめるものがあるというのを実証しているのが、えんそくというバンドだと思っています。

わたしがえんそくを好きな要素のひとつに「ぶうさんが筋肉少女帯というか大槻ケンヂさんが大好きで、曲や世界観にもそれが見て取れる」というのがあります。わたしもオーケン大好き!

今日(7日ワンマン最終日)発表されたえんそくの6th MINI ALBUM(来年6月発売)「僕の宗教へようこそ ~Welcome to my religion~」には筋肉少女帯のカバー曲が「僕の宗教へようこそ」ともう1曲入るそうです。
うれしい!
うれしい!
すごいうれしい!!!
ぶうさんが「夢はかなうんだよ!」と言っていたのが忘れられません。
2017年の11月に新宿BLAZE公演がありましたが、その時のゲストが大槻さんでした。あの時のぶうさんがとても楽しそうでうれしそうで、見ていてこちらも幸せだったんですが、そこから1年近くたち、こうした発表を聞けるのはほんとうにうれしいこと。

でねー。
今回うっかり毎日行ったんですが、本当は何日か行けばいいかなと思っていたんです。なんだけど、初日行って、次の日も行けて、その次も行けたら「7日全部行ったらなにがあるだろうか、なにかあるかもしれない、なにもないかもしれない」という気持ちになって。
結果として行ってよかったです。
7日間のうちにMCで何回かぶうさんが「長く続けていると、いろんなことが変わっていく」というようなことをおっしゃっていて。
それは、環境や周りや、自分自身の考え方とかも含めてのことだと思うんだけれども。最近だと3年やって芽が出なかったらバンドをやめる子たちが多いとか、そんな話もしてて、変な言い方かもしれないけど、ぶうさんも大人になったんだなあ、って思って。

大人になればなるほど、自分が信じている「楽しい」を続けるのってすごく大変なんですよね。。。それを乗り越えてきたのだな、というのが見ている側にも伝わるMCが多かった。とても心動かされました。

自分のことになってしまいますが、ちょっと前までわたくし、小説家志望の人を応援するお仕事をしていました。若い人たちに向けて講義をさせてもらうこともあり、昨年はぶうさんのインタビューを紹介したことがあってですねえ。
小説家とバンドマンってちょっと似たところがあって、まず「それだけで生計を立てていくのが結構難しい」というのがひとつ。それから「自分の世間が狭くなりがち」「どこにむかってなにをしているのかが見えづらい(お客さんの反応が正しく見えてこない)」とか地味に共通点が多いんですね。
一番の共通点は「あふれる自己表現の気持ちでお金を得たいけれど、まずどうやって人の目にとまるようにしたらいいのかきっかけがつかみづらい」なんですけど。
あとは「なったはいいが続けるのが大変」みたいのもそうね。
まあそんな感じで、プロの小説家になっても、バンドがそこそこ忙しくなっても、バイトをしないといけない、というのが現実ですが、なんとなく「バイトは逃げ」みたいな気持ちになってしまったりもする。
「売れてないやつのやること」っていうか。
いやみんな最初は売れないんだよ仕方ないんだよバイトしろ!
というわけで、ぶうさんがバイトに対して前向きに考えていて、かつバンドも長く続けていて、というのを紹介させてもらったんですよね。
わたしが仕事のなかで学生にいちばん伝えたかったことって「とにかく続けること」でした。
作家になりたいという夢を追う人の中には「〇歳になってもデビューできてなかったらやめる」とかいう人が案外に多いです。バンドが「〇年たっても動員〇人超えなかったらやめる」とか「〇歳になったらやめて就職する」とかいうのと一緒ですね。

わたしはそれは、自分を上手に騙すためのギミックだと思っていて、そうした理由付けができれば、あきらめることに対して後ろめたさを持たなくて良いからだと考えています。
極端なことを言えば、そこまでしんどい思いをしてまでは続けたくない、ということでもある。
言い方としては乱暴かもしれないけどね。
実際そこまでしんどい思いして得られるものがあるのかと言われたら、あるかもしんない、ないかもしんない、としか言えない。

物を書くのも音を奏でるのも、好きじゃないとできないです。
そして、いくら好きなことだけしていたくても「好きなことをやるためにやらなくてはいけない、やりたくないこと」というのが発生する。下手すると「やりたいことができるか確証がないのに、やりたくないことばっかりやらないといけない」みたいな時期があったりもする。
そこを超えられるかどうかもちょっと鍵だったりするんだけど。
ただ、長年クリエイターをやっている人がだいたい言うのが「続けるのが一番大事」ということ。

なにが言いたいかというと、えんそくもきっとそういう時期っていうのはあったと思うんです。
わたしも、なんだったか忘れたけどぶうさんのブログを読んで「ぶうさんはそう言うけど!」みたいなことを思ったこともある。
ずっと無条件に好意的だったわけでもないんですわ。
なんですが「続けていれば夢はかなう」というのには、今回ほんとうに強く気持ちを動かされて7日間すべて行ってよかったなと思っている次第です。
6月のミニアルバムがとても楽しみ。

えんそくを初めて見てから気が付いたら4年がたっていました。
1年で何度もライブを見た年もあれば、インストアイベントに行った年もあるし、年に1度しか行かなかった年もあって、今年はもう8回も見ていて、そのたびに毎回発見があって、おうちに帰るまでがえんそくなのだけれど、わたしのえんそくは帰ってきても終わらなくて、始まりもしなくて、いつまでも続いていて、何の気なしに「7日すべて行ったらなにがあるんだろう」と思っていたら、筋肉少女帯のカバーというものすごい発表を聞かされてしまい、またおわらないえんそくです。

いつまでも、14才のあっぱらぱーのままで、そろそろ落ち着いてもいいんじゃないのと思っていたところに「お前なに言ってんだよ、誰が大人になっていいって言ったんだよ、お前だってずっと14才のままなんだよ!」とぶうさんからぶんなぐられたような気持ちでいます。
筋肉少女帯はずるいです。ピノキヲのうゆにさんがライブでアンジーの「天井裏から愛をこめて」を歌った時と同じくらいずるい。年寄泣かせすぎるわ!

わたしの周りには、この「いつまでも14才」という人がめちゃくちゃたくさんいて、その人たちはある時は大人の顔をしているのだけれど、本質は14才のあっぱらぱーのままで、14才でいたいがために大人のフリをして「やりたいことをやるために生きている」。
これってすごいパワーのいることなんだよね。
わたしは今は自分がなにか発信したいという気持ちはそんなに強くなくて、こうやってちょっと文章を書いたりするので気が済んでいるのですが、周りのその「いつまでも14才」の人々がやることを一緒に14才の気持ちで見ていたいなあと思っています。
だいたいみんな「真面目にふざけてるんだ」っていうんだよね。
ほんとそれな。

色々書いたが、一言で言うと「えんそくのライブ楽しいからみんな一度見て!」ということです。
ライブたくさんあるから!
2000円くらいで見られる時もあるよ!

自分なんかが言ったところで、どれほどの効果があるのかはわかりません。
ですが、言わなければ伝わらない。
本もそうなの。
誰かが「この本面白かったよ」って言ったら、それを見て買おうかなって思う人がいるかもしれない。
だから言う。
数字がついてこなくて作家を辞めた人たちをたくさん見てきました。
好きなバンドの解散や活休もいくつか見守ってきました。
はっきりとは語られないものの、数字がついてこなくてやめざるを得なかったというケースも結構あると思ってる。
そして、周りでかつて音楽に携わってきた人たちから「えっ、えんそく?まだやってたの!」というのも結構言われる。
やってるよ!
続けてるよ!
まだまだやれるよ!

数字の話するのかっこ悪いとか言われたり、必死とか馬鹿にされたり、そこまで言わないといけないの恥ずかしいとかいろいろありますけど。
わたしもえんそくについては毎回必ずライブに行けるわけではないです。ほかにも見たいバンドもある。好きなものはひとつでないといけないなんてことはない。
ただ、もしなくなったらとても悲しい。
今回、毎日とても楽しかったんです。ひたすらに楽しかった。
だから、続けられる一つの要因であれたらうれしい。
たとえそれが自己満足だとしても。
もし、わたしがこうして「えんそく楽しいよ!」ということで、誰か興味を持ってくれて、ライブに足を運んでくれたり、筋肉少女帯を好きなお前だよお前!そういう「14才の大人」たちがCDを買ったら。
えんそくはおうちにかえってもおわらない。

さあみんなで「最後のえんそく」に行こう。
https://www.youtube.com/watch?v=tpNisM9XeOI
(2013年の告知動画。「最後のえんそく」が聴けます)


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