蓮黛藍弥 Aymie Hasuzumi

モノ書き・ストーリーテラー。SF(スコシ・フシギ)な「おとな絵本」を、7〜10日に一度、アップします。
固定された記事

雲置紙

「いらっしゃい」         表のカラフルなわたあめの袋とは対照的に、   テキ屋のオヤジは無愛想だった。           「ええと…」         私は注文を言い淀…

【短編】涼風至、来たりて

足元から立ち上がるような涼風が、移動式屋台に吹き込んだ。チリン、チリン、リーン、カロカロカロっと、無数の風鈴が鳴った。僕は読みかけの宮沢賢治全集を閉じた。 「あ…

からだという枠

お盆で、夏休みで、どこにもいけない夏。 行くところがなくなった姉弟と甥姪は、実家に吸い寄せられるように集まった。虫が光のある方に、フーッと集まるみたいな感じに見…

【短編】夜はなにかを含む

だるくて泣きそうな夜。生温い夜風に当たりながら、炭酸水を飲む。月は見えない。つい昨日まで満月を煌々とさせていたのに。 まとわりつく湿気は、私の気分も湿らせた。都…

はちみつ犬

はちみつ犬という種類の犬がいる。柴犬、秋田犬、みたいな感じで、はちみつ犬。名前の通り、はちみつを探すのが得意だ。養蜂場で飼われている犬は、だいたいはちみつ犬なん…

【短編】わたしの秘密

誰にでも、人には言えない秘密がある。 コフアンちゃんは、私の秘密の一つである。 小さい頃、不安が強くなんでも怖がり、すぐに泣いてしまう私に、母が与えたのがコフア…