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おじいちゃん先生のおでん
近所の駄菓子屋のおじいちゃんは、おじいちゃん先生と呼ばれている。おじいちゃん先生は手相見で、子供たちの手相をよく見てくれる。
「あんた、頑張り屋だ。テストでよく百点、とるだろう?」
「これはいい、勝負運がある。スポ少とか野球とか、頑張んな」
こんな感じで鑑定してくれるから、おじいちゃん先生はいつでも人気者だ。
おじいちゃん先生は、大人の鑑定もしている。大人からは鑑定料を取るけれど、僕らからし
立ち飲みカブト(再)
駅前の立ち飲みに入ったら、兜を渡された。
「この三日月は…伊達政宗?」
「ご名答。当店ではみんな、武将になっていただくのです」
「ええっ」
「武将呑みがウリですからね」
見ると、カウンターの客は全員、兜をかぶっている。
のれんの内側なので、絶妙に外側からは見えない。
渋々カブトをかぶって入った。
メニューを見ると、焼酎と日本酒が多い。
ビールもあったが、他のお客はほぼ飲んでいない。
銀色床屋(Barber)
日が暮れるのが、早くなった。虫の声がBGMになっている。髪を撫でる風の冷たさに、秋を思った。
「ああ、床屋、行くタイミングだ」
秋風に心の中でウィンクすると、サッとスマホを取り出した。
「はい、銀色エンターテイメントです」
ワンコールで奥さんが出た。安定のチョッ早 受電だ。
「お世話になってますー、赤西です。火曜日、行けます?6時なんですけど」
「あら、赤西君!オッケー、予約、入れとく