【アカウントプランナーから事業会社マーケティングへの転職】は本当にキャリアアップになるのか！？

こんにちは。HRビジネスパートナーのえびさん🦐です。

ネット広告代理店から転職を際の相談上位が「事業会社マーケティング」への転職についてです。

代理店側で働いていたときよりも上流部分の戦略や意思決定に携わることができ、自社商品を扱うことによる憧れ、ワークライフバランスが整う、といった面で魅力的に感じるかと思います。

ただ、キャリアアップという面で見るとこの転職には大きな落とし穴がある可能性があります。

今回は、ネット広告代理店からのキャリアアップと事業会社マーケティングの実情についてお伝えしたいと思います。

🦐えびさん　HRBP／エグゼクティブコンサルタント
ベンチャー企業にて、新規事業の立ち上げ・マネジメント・採用業務・人材紹介事業責任者などを経験。営業・広告・PR・ベンチャーなど幅広く企業の採用に携わる。同様の領域を担当しながら成長産業・EC・メーカーなどのマーケターの転職支援を行う。これまでの経験を活かし社員のエンゲージメントや組織活性・タレントマネジメントなどのHRBPの勉強中。

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アカウントプランナーの将来性は？

まず、アカウントプランナーの将来性についてお伝えします。

アカウントプランナーの将来性は、広告業界やマーケティング業界の需要によって左右されることがありますが、一般的には将来性が高いと考えられます。

アカウントプランナーは、クライアントやエージェンシーの要望を理解し、広告キャンペーンの計画、実行、最適化に関する戦略的な提言を行う役割を担っています。

特にデジタル広告がますます重要性を増している現在、アカウントプランナーの役割はますます重要になっています。

また、広告業界がデータ駆動の方向性に向かっているため、アカウントプランナーはデータ分析やROIの最適化などのスキルを身につけることが求められます。

そのため、アカウントプランナーは、データに基づく意思決定や顧客対応のスキルを持つことで、今後ますます需要が高まる職業となる可能性があります。

ただし、広告やマーケティング業界は常に変化しており、新しいテクノロジーやトレンドに追随する必要があります。

そのため、アカウントプランナーは常に学習意欲を持ち、最新のトレンドやテクノロジーに精通することが求められます。

アカウントプランナー職のキャリアパスについて

アカウントプランナーを含めた営業職には、さまざまなキャリアの方向性が考えられます。

• 事業会社マーケター

• SNS運用・広告運用職

• データ分析

• デジタル広告のコンサルタント職

• SaaS企業のカスタマーサクセス職

• ITコンサルタント

• D2CコンサルタントやECコンサルタント職

• アカウントエグゼクティブ職・ストラテジックプランナー職などの上位ポジション

その他、アカウントプランナーとは異なる職種へキャリアチェンジも近年増えていますので、選択肢が多い職種の1つといえますね。

近年多いのは、事業会社マーケターではなく、SaaSのカスタマーサクセスを志望する方も増えています。

アカウントプランナーから事業会社マーケターへの転職は可能？

アカウントプランナーから事業会社のマーケターへの転職は可能ですが、デジタル経験がない場合は競争力を保つためには難しい場合があります。

アカウントプランナーの役割は、主にエージェンシー側での広告キャンペーンの戦略的な提案や企画を行うことになります。

一方で、事業会社のマーケターは、自社製品やサービスのマーケティング戦略を立案し、実行する役割を担います。それぞれの業界でKPI、マーケティングのゴールが違います。

近年のマーケティング業界は、デジタル領域がますます重要性を増しており、デジタルマーケティングのスキルを持つことが求められます。

デジタル経験がない場合は、競争力を維持するためには、デジタルマーケティングに関する知識を学ぶことが必要です。

事業会社のマーケターに転職をしたいのであれば、広告運用経験が必須なワケ

これまで数多くのアカウントプランナー経験者の転職支援を行いましたが、実際に事業会社マーケターに転職ができているのは10人に1人くらいの感覚でした。

その理由の1つに、事業会社のマーケターポジションでは「広告運用の実務経験」を求めている背景があります。

アカウントプランナーと広告運用者は、それぞれ広告業界において異なる役割を担っています。

そのため、事業会社マーケターに求められる「スキル」や「経験」が異なる場合があり、アカウントプランナーから事業会社マーケターに転職する場合には、広告運用の経験が有利な場合があります。

事業会社マーケターの求めるスキルや経験については、業界や企業によって異なります。最近のトレンドでは、デジタル広告やオムニチャネルマーケティングに関するスキルが求められることが多く、加えて事業会社は、代理店に依頼をするよりは、マーケティングをインハウス化したい狙いがあるため、アカウントプランナーではなく、その戦略を実行している運用担当者が欲しいと考えています。

そのため、広告運用者の方が、事業会社では求められる傾向にあります。

ただし、一部の代理店・支援会社のアカウントプランナーでも、広告運用の経験がある方も多いかと思います。その場合は事業会社マーケターへの転職可能性が高まります。

余談ですが、月間広告1000万円の運用経験が事業会社マーケターへ転職する際の足ギリラインが多い印象です。扱う予算額が少額な場合は予算が大きい支援会社への転職をおすすめします。※企業によってラインは様々です。

事業会社へ転職すればライフワークバランスが改善されるか？

アカウントプランナーから事業会社マーケターへの転職によって、働き方やライフワークバランスが改善される可能性がありますが、企業や業界によって異なるため、一概には言えません。

一般的に、広告業界はプロジェクトベースの仕事が多く、クライアントの締め切りに追われることが多いため、残業や週末出勤などが頻繁に発生することがあります。

その点、事業会社の方が比較的ワークライフバランスが改善される傾向はあり、事業会社マーケターの場合、自社の商品やサービスのマーケティングを担当するため、広告代理店やメディア社に比べて、仕事のスケジュールやペースが自由度が高く、ワークライフバランスが改善される場合があります

ただ、事業会社でも「toC向け」「toB向け」で働き方が異なる傾向があります。toC向けビジネスの方が残業時間等は多くなりやすい印象です。

むしろ直近の採用では「広告運用経験者のみフルリモートOK・フルフレックス」としている支援会社・代理店が増えています。

事業会社マーケターへの転職のほとんどは年収が下がる

アカウントプランナーは主に広告代理店やデジタルマーケティング会社などで働くことが多く、一定の給与水準があります。

一方、事業会社に転職すると、業種や規模によっては、広告代理店やデジタルマーケティング会社よりも低い給与水準である可能性があります。

事業会社の場合、マーケティングチームは単独で成り立つわけではなく、営業や開発、製造、人事など他部署との連携が必要不可欠です。

そのため、マーケティングチームの給与水準は、全体的な給与水準に合わせて設定されることが多く、広告代理店やデジタルマーケティング会社よりも低い傾向にあります。

ただ、転職先の事業会社や業界によっては、アカウントプランナーと同等以上の給与水準で採用される場合もありますが、給与水準だけでなく、自分がやりたいことや成長できる環境、将来的なキャリアアップの可能性などを総合的に考慮することが重要です。

上流から下流まで経験をしたい、事業会社マーケターへ転職をすれば叶うのか？

転職理由の上位に「上流から下流まで経験をしたいので事業会社マーケター」を志望する方がいます。

残念ながら事業会社に転職しても、上流から下流までのマーケティング業務を経験できるとは限りません。

これは、事業会社によってマーケティング業務の範囲が異なるためです。

一般的に、事業会社のマーケティング業務は、自社製品やサービスの企画・開発、市場分析、プロモーション戦略の策定、販売促進などが含まれます。

しかし、これらの業務は、広告代理店やメディア社が担当する広告戦略やクリエイティブ制作などとは異なるものであり、上流から下流までの一連のマーケティング業務を経験することができるとは限りません。また、事業会社の中でも、規模が小さい場合や製品やサービスのライフサイクルが短い場合は、マーケティング業務の範囲が限定されることがあります。

そのため、上流から下流までのマーケティング業務を経験するためには、規模が大きく、多岐にわたる製品やサービスを展開している事業会社に転職することが望ましいとされています。

ただ、そのような事業会社で求められるマーケターポジションの採用ハードルは恐ろしく高く、多くの方が歩めるキャリアパスではありません。

まずは何をもって「上流から下流までのマーケティング業務」を指すのかを明確にすることをおすすめします。

• 限られた広告予算の中で自由度の高いマーケティングを実施したいのか？

• 年間数億のマーケティング予算を活用し、支援会社と協力をして多くの方に影響力を及ぼしたいのか？

• ベンチャー企業にて裁量権がある環境でマーケティングの実務を経験したいのか？サービスやプロダクトを認知させる側にまわりたいのか？

• デジタルの運用だけではなく、オンオフ統合のマーケティングに挑戦をしたいのか？　など

人の数だけ、キャリアは存在します。

最後に付け加えると、やりたいことをしながら「お給与」をもらえるかどうかは別です。勉強しながら今の給与水準を担保するのは難しいことがあります。

だからといって諦める必要はないですが、優先順位を明確にし、場合によっては一度「経験」を積むことを視野に入れることをおすすめします。

「コンサル会社」と「広告会社」は、融合している

「コンサルティング会社」と「広告会社」は、かつては全く別の機能を持っていた両者ですが、近年では徐々にビジネス領域で競合するようになっています。

今後、広告業界とコンサルティング業界の境界線は、ますます曖昧になっていきます。

その中で、総合広告代理店とコンサルティングファームの境界がさらに曖昧になったのは、「DX」がビジネスの主流になったためといわれています。

1stパーティや3rdパーティのデータを軸に効率的なマーケティングを実行しようというニーズが高まり、データドリブンマーケティングという言葉が生まれ、データの取得と顧客の体験接点とが相まって相関しながら顧客獲得を行うという点で、デジタル及びデータに準拠するコンサルティングファームと総合広告代理店の採用が激化しています。

存在感を強めるアクセンチュア、広告代理店出身者の転職が増えている

「DX」「デジタル」の文脈の中で広告領域にも力を入れ、各所で広告代理店との競合コンペが行われています。

各社いずれも広告代理店経験者を中途採用で積極的に採用しています。

中でもITコンサルであるアクセンチュアのプロモーション領域の進出は加速を続けています。

DXと最も相性が良いため、総合広告代理店から多くの転職者を受け入れて、総合広告代理店対策を行っています。

市場の激化は各方面から訪れており、広告代理店市場が停滞する中にも関わらずプレイヤーが増え続け、「広告代理店」と「コンサルティングファーム」の明確な違いも、分かりづらくなっています。

「広告トータルプランニング会社」「統合デジタルマーケティング」「オンオフ統合マーケティング支援」など事業会社に近い距離で仕事が可能なポジションも増えています。

総合広告代理店も差別化が難しくなっているため、知見のある転職エージェントの活用を検討してください。

キャリアを考える上で、一助けになれば幸いです。

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