読書記録:星美くんのプロデュース: 陰キャでも可愛くなれますか? (ガガガ文庫) 著 悠木 りん
【可愛いは作れるからこそ、なりたい自分を目指そう】
陰キャ女子を可愛くする物語。
巷では、可愛い物が溢れていて、そのどれもが輝いて見えて、己が何だか矮小に思える物だ。
しかし、心の何処かでは憧れるだけではなく。
自分も変わりたい、なりたい自分を目指したいと渇望している。
次郎の秘密を期せずして知った四夜。
彼女の心の願望を聞き届け、産まれ変わる為のプロデュースが始まる。
彼女と巡る可愛いを探求する日々の努力で、日に日に輝いていく四夜の暗い過去を乗り越えて。
心も体も綺麗になる。
美の追及に終わりは無い。
とある高校に、ひっそりと流れる噂。
化粧品に悩む女子の元に現れ声を掛けて、アドバイスをくれると言う謎の存在しない生徒。
その正体こそが、この作品の主人公である次郎。
とある事情から女装を好むも日常においては隠している。
卒業生である姉から入手した制服を用いて助言に励む彼。
しかし、そんなある日。
突発的なアクシデントから級友である陰キャ女子の四夜にその秘密が露呈してしまう。
秘密をバラらされるかと怯えるも、陰キャ故にそもそもバラす相手もおらず。
だが、自暴自棄に彼を脅迫してきた為、やむを得ず次郎は四夜を可愛くプロデュースする事となる。
そもそも、彼女はダイヤの原石のようなポテンシャルを秘めている。
ならばやるべき事は、まず根本的な改造。
必要なのは、その魅力の原石を磨き引き出していく事。
まずはメイクの基本から始まり、髪を整え、更には服も整えて。
自分に似合う服が分からない、似合うメイクが分からない陰キャ女子に、骨格診断やパーソナルカラー診断などの理論的な解決案を提示して、自分に合った身だしなみを教えていく。
変わりたいけど、変わり方が分からなくて、変わるのが怖い。
でも、本当は可愛くなりたと願う彼女の想いを知って、
次郎は自分の持っている知識と技を持って心寧を美少女に仕立て上げていく。
彼の手により、彼女の魅力はあっという間に引き出されていく。
そんな中、次郎は四夜の過去、陰キャになった原因に触れていく。
同時に四夜も次郎の、今のパーソナリティが形成されるきっかけとなった事に触れて。
それと同じように、次郎の秘められた深部も知っていく。
少しずつ、ある意味で赤裸々ともいえる素の部分をぶつけるようになり、次郎もまた四夜に影響を受け、自分の殻を破っていく。
そうやって、変わっていくからこそ、ぶつかり合う事もある。
意見が対立する事もある。
そんな中でも、次郎は身近にいた四夜が陰キャになる原因となった人物との、因縁の決着の舞台を演出する事となる。
本当に必要で大切だったのは、自分自身を認める事。
こうあってもいいのだ、と許してあげる事。
似合う、似合わないなど他人に決められたさじ加減など、どうでも良くて。
身なりも見た目も自分がしたいように改造すれば良い。
なりたい自分を目指す事がとても大切で。
次郎に背を押され、四夜は因縁と向き合って。
そこに秘められた優しさを知って、仲直りの一歩を踏み出していく。
可愛いと純粋さと繊細な想いで結ばれた集大成は見事、成功に終わる。
変わりたいけど、変わり方がわからない変わるのが怖い。
でも、本当は可愛くなりたと願う彼女の想いを知って、
次郎は自分の持っている知識と技を持って心寧を美少女に仕立て上げていく。
好きな物に真っ直ぐで、諦めかけても絶対に否定せず背中を押してくれる心強い味方。
かつての心無い言葉が呪いとなった彼女を救っていく。
好きな事を貫き続けるのは意外と難しい。
だからこそ、やる意義があって価値がある。
四夜達の自己改革を巡る旅は、まだ始まったばかり。
果たして最強の可愛いを目指す彼らは、これからどんな自分を作っていくのだろうか?
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