オレンジに包まれる話
なんとなく頬がくすぐったいような、そんな感じがしてじわじわと目が覚めた。夕暮れの日差しが差し込んて、彼の瞳を照らしている。
起こした、ごめんと眉尻をさげて苦笑いをする彼の手を掴んで引っ張ると変な声を上げた。そのまま自分の頭の上に乗せ、『撫でて、』蚊の鳴くような声で言うと彼は『なに?寝ぼけてんの?』と目をまん丸くした。
疲れていたのか、たまたまそんな気分なだけなのか、らしくないのは百も承知だけど、甘えたくなった。
息苦しくなるくらいに抱きしめて欲しくて、子どもをあやすような声で