ハニーイエローの休日の話

ゆっくり瞼を開けると、少しだけ開いたカーテンの隙間から差し込む光が2人の枕元で煌めいた。
『おはよ、』隣から掠れた声。「おはよ、う」寝返りを打ちながら答えるとくすりと笑った。まだ少し怠い身体を起こしキッチンへ向かう。

「飲む?」布団にくるまったままの彼に声をかける。『はちみつ、』「はいってるよ」そう答えるともぞもぞと起き上がる。なんだか可愛らしくて口元が緩んだ。ベッド横の座椅子に腰掛けて、マグ片手にまだ少し寝惚けているを彼を見つめる。『なあに』「コーヒー零さないでね」『うるさいなあ』少しムッとした顔からスマホに視線を落とすと、あちっ、小さな声が聞こえた。
昨日は遅くまで2人で映画を何本も見て、そのままなだれ込むようにして寝たんだっけ。最後に見てた映画のストーリー、覚えてないや。あのふたりは、でもまあきっと幸せになったんだろうなあきっと。そうであって欲しいけどなあ。昨晩のことを思い出しながら、再びふと隣を見ると、ぼうっと天井を見つめている。「どしたの?」『、ん?ああ、』昨日最後にみた映画のラスト、どんなだったっけ、と言ってへにゃりと笑った。下がった眉尻、シワの寄る目尻、はねた前髪に少しだけみえる髭。そんな気の抜けた彼をきらりと照らしす陽の光と、ハニーコーヒーのほわほわと上がる湯気。
わたしがマグを手に取りながら、「んー、わたしもわかんない、」と半笑いで答えたら、『なにそれ、』と彼もまた笑って、昼飯食べながらもう一回観よ、とテレビを顎で指した。うん、と言いながら立ち上がって彼のマグを預かってサイドテーブルに置いた。え?と首をかしげる彼をそのままに、どんっと思いっきりベッドに飛び込んでみた。『ね〜え〜!』と少し大きな、でも全然嫌そうじゃない声色に安心して、なんて幸せなんだろう。と、またわたしは頬を緩めた。

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