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日本におけるP2P電力取引のいま: 1/7 P2P電力取引とは(LO3 Energy大串氏)

2020年9月23日、一般社団法人EBEC(Energy Blockchain Enterprise Coalition)およびLO3 Energy Inc.の共催により、オンラインイベント「日本におけるP2P電力取引のいまVol.1」が開催されました。

需要家間の電力取引(P2P取引取引)については、過去数年は技術の実証的側面が大きかったのですが、日本においても複数の事業者が実際のユーザーを含めた社会実装に向けた具体的な取り組みを加速しています。本イベントでは、制度設計に関わるアカデミアの方もお招きし、P2P電力取引への期待・課題を共有するとともに、日本でプラットフォームを運用または実証実験を行った3社の事例を共有し、今後のわが国におけるP2P電力取引の社会実装に向けた可能性を議論しました。

本記事では、イベントのサマリーを提供します。

<イベント概要>
2020/09/23 14:00-15:30 オンラインにて開催
Peatix登録者126人+主催者・登壇者7人
<アジェンダ>
開会ご挨拶:LO3 Energy 事業開発ディレクター(日本担当) 大串 康彦氏
1)14:05~14:25 ブロックチェーンを用いた電力取引プラットフォームへ実現への期待、及び想定される課題
大阪大学大学院工学研究科 ビジネスエンジニアリング専攻 招聘教授 西村 陽 氏
東京大学大学院 工学研究科 技術経営戦略学専攻 准教授 田中 謙司 氏
2)14:25~15:10 各社取組の事例発表 
・株式会社シェアリングエネルギー 事業開発室長 井口 和宏氏
・デジタルグリッド株式会社 システム開発部部長 高坂 大介氏
・森のエネルギー(elDesign株式会社) 代表取締役社長 坂越 健一氏
3)15:10~15:30 パネルディスカッション 
当日登壇者の参加のパネルディスカッション、質疑応答

開会挨拶:LO3Energy 事業開発ディレクター(日本担当) 大串 康彦氏
LO3 Energyの大串と申します。本日はどうぞよろしくお願いします。本日は、120人を超える方にご登録いただいて、たくさんの方にご参加いただきまして、お礼申し上げます。
LO3 Energyと言うのはアメリカのスタートアップ企業です。電力取引プラットフォームを開発しているのですが、今年elDesignさんのほうと実証実験を行っており、その関係で一般社団法人EBEC+LO3 Energyで今回のイベントを実施させていただきました。

P2P取引とは
(下図スライド3)まず全体感の話ですが、P2P電力取引と言うのは比較的新しい概念で、2015年2016年から始まったと理解しています。英国のOpen Utility(現Piclo)とオランダPowerPeersなどが開始し、16年17年くらいになりますと今度はブロックチェーンを使ったP2P電力取引が出てきました。これがオーストラリアのPower Ledgerですとか弊社アメリカのLO3 Energyなどです。その後仮想通貨・暗号資産のブームの中で2017年から18年にブロックチェーンスタートアップが多数出て来ましたが大体淘汰されて撤退していきました。ブロックチェーンのスタートアップは本当に価値が提供出来るもの以外は淘汰される段階に入っていると思います。
一方で、実運用、実証実験でも社会実装的な、実際の需要家を巻き込んだプロジェクトが始まっていまして今日ではこのようなプロジェクトにフォーカスしています。

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(下図スライド4)人によってP2P取引の意味するところの認識が違うため、なかなか議論が噛み合わないところがありますので、まず整理したいと思います。簡単に言うと今まで電力会社が需要家に電気を供給して取引していたことに対して、需要家が別の需要家に取引をすると言うのをP2P取引とすると整理しやすいと考えております。よく発電事業者と需要家が紐づいていると言うのがありますが、これだけであれば「トレーサビリティ」として別のユースケースと整理した方がよいと思っています。

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(下図スライド5)P2Pと言うは元々通信から来た言葉で、通信のP2Pと言うのは中央管理者がいないと言う明確な特徴があるんですけど、電力の場合は必ずしもそうではないです。むしろ小売電気事業者とか中央に誰かがいてその人たちが仲介者になっている場合が多く、むしろ現時点ではこちらの方が主流じゃないかと思っています。あと、P2Pだからと言って発電源と需要家が必ずしも紐づいている(特定の売り手と買い手が結びついた取引を行っている)わけではありません。

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(下図スライド6)時間の都合で資料全部説明出来ませんが、P2P電力取引の実現方法はたくさんあります。例えば必ずしも第三者のプラットフォーマ的な人が主体になる必要が無くて、小売電気事業者が主体になる場合も十分考えられます。

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ここで時間ですので私の話は以上です。ありがとうございました。

本イベントの記事
1/7 P2P電力取引とは(LO3 Energy大串氏)←本記事
2/7 実現への期待及び想定される課題(阪大・西村氏)
3/7 実現への期待及び想定される課題(東大・田中氏)
4/7 シェアリングエネルギー事例(井口氏)
5/7 デジタルグリッド事例(高坂氏)
6/7 森のエネルギー/elDesign事例(坂越氏)
7/7 パネルディスカッション

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