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いじめっ子達を撃退した学生時代の話

女子のいじめは何故陰湿なのが多いのか。
聞こえるように陰口を叩いたり、気に入らない子がいれば総出で無視をしたり。
アイコンタクトで仲間と嘲笑い、変なあだ名を付けては執拗以上に観察して日常生活の粗探しをする。
それをグループ内で共有してまたバカにして笑うのだ。

「私」と言っても「あたし」と言っても「あの顔で私とかきつくね?」と理不尽すぎることを言われるし、言ってる側は自分たちが笑えればそれでいいので、どんな小さなこともネタにする。
やられてる側の気持ちなど考えたこともないし、そもそもターゲットにされるのは大人しい子や何か才能のある子が多く、自分たちはやり返されないと思っているようだった。

私のクラスの女子たちもグループで行動していた。
そしていじめっ子のグループは私たちを次第に敵視し始めた。
私の友人達は絵や歌の上手な子が多く、学級通信に友人の絵が載り、先生やクラスメイトに「すごいね!上手だね!」と褒められたのが原因だった。

席に座ってるだけで悪口を言われ、授業で当てられて間違えれば馬鹿にしたような冷ややかな目線を送り、いじめっ子同士で嘲笑った。
先生の前ではいい子を演じるので、先生はいじめに気づかない。
鼻炎だった友人は鼻をかんだだけで馬鹿にされるし、ただ話してるだけで聞き耳を立てては内容を馬鹿にしてきた。
話し方や仕草などを誇張して真似てきたり、ニヤニヤと明らかな悪意を見せながら話しかけてきたりした。

どれだけ信じれる友達がいても、やはり毎日敵意を浴び続けると疲れてしまうのは当然だった。

私は担任の先生に「友人がこれだけ傷つけられている。私たちもたくさん傷つけられた。」と今までされたことを全て話して何度も助けを求めた。
友人達も何度も相談した。
しかし、先生は少し注意をしただけで終わってしまった。

当然いじめっ子達は少しの注意で辞めるはずもなく、相談した次の日もいつも通りいじめてきた。
当時の私は言い返すような勇気もなく、ただひたすら耐えながら、友人達と寄り添うことしか出来なかった。
今思い返してみても、本当に不甲斐ないと思う。

絵の上手な友人は学校を休むようになった。

いじめっ子達はその場に居ない私の友人を馬鹿にして笑っていたし、私達に対するいじめの内容も変わることは無かった。

担任の先生は頼りないし、家族に迷惑はかけたくない。
どうしようかと悩んでいた矢先、私の前を校長先生が通りがかった。

すると何を思ったか、私はほぼ初対面の校長先生に「ご相談があります。」と震える声で話を持ちかけたのだ。
校長先生は少し驚いた様子だったが、「大丈夫ですよ。」と校長室に入れてくれた。

そこで私は今まで虐められていたこと、そのせいで友人が学校を休み勝ちになったこと、担任の先生に相談したけれど解決出来なかったこと、もう限界で助けて欲しいなど、泣きながら相談した。

私の話を全て聞いた校長先生は、元々下がっていた眉毛を更に下げて、「そんな子達がこの学校にいるなんて信じられないね。今まで辛かったね、話してくれてありがとうね。」と私に声を掛けたあと、引き出しから私のクラスの名簿を取り出した。

そして私の前の机にそれを置き、「どの子達か名前を教えてくれる?」と言ってきたので、1人残らず「この子はこんなことをした」と丁寧に内容も教えた。
校長先生は残念そうな顔をして、「そんなことをするなんて酷い子達だね。この学校の恥だわ。」と言いながら、いじめっ子達の名前に蛍光ペンを引いて印を付けた。

私はまさか校長先生がこんな初対面の一生徒に寄り添ってくれると思っていなかったので、いくらか心が楽になった。
2時間程だろうか。校長室で話したあと、「もう遅いから気をつけて帰ってね」と送り出されて帰宅した。

あの名簿は一体何に使うのか分からなかったけれど、何となく校長先生が味方になってくれた気がして、次の日の登校は前日よりも楽に感じた。
休むようになってしまった友人も、その日は頑張って登校した日だった。

そして前日のことを友人に話す際に、いじめっ子達が聞いているのを知りながら、私は少し大きめに話した。

「昨日さ、校長先生に相談したんだよね。そしたら名前教えてって言われたから、今までの内容と一緒に全部一人一人教えたの。こんな酷い子達がいるなんて学校の恥だって言いながら名簿に印つけてたよ。何に使うかは分からないけど、大学の推薦が貰えるとは思わない方がいいかもね。まぁ、何らかの処分が下るのは間違いないよ。」

大学の推薦うんぬんは完全にハッタリだった。
いじめっ子の1人が常に「推薦で大学に通う」と話していたので、ダメージが入ればいいなと思いながら付け足した。
本当なら、直接本人たちに言えれば良かったのだけれど、私は所詮弱虫だったので友人達に話すことしか出来なかった。

しかし効果はあったようで、チラリと視線をいじめっ子達に向けると、「え、ヤバくない?」「は?」「まじで?」「嘘でしょ?」「校長出てくんの?」と小声で焦りだしていた。

更にそれに拍車をかけたのが、話が聞こえたであろうクラスメイト達だった。

「そこまで行くと停学もありそうじゃない?」「なんか担任からずっと注意されてたらしいよ。」「私それ見たかも!」「推薦無くなるってマジ?」「進学どうするんだろうね?」「あんなことしなきゃ良かったのにね。」

 普段は見ていただけのクラスメイト達の声は、ヒソヒソと小さな声でも静かな教室によく響き、いじめっ子達を追い詰めるには十分だった。

友人達は「まぁ、不幸になろうと関係ないや。」「自分で蒔いた種だもんね。仕方ないよ。」と言い、休みがちになっていた友人は私にだけ分かるように小声で「ありがとう。」と言ってくれた。
結局のところいじめっ子達の自業自得なのである。
話したいことも話せたので、私達は早々に話題を切り上げ、いつも通りの趣味の話をしていた。

やり方はこれで良かったのか分からない。
結局のところ、私は頼れる大人に相談することしか出来なかった。
自分の力で出来たことは殆ど無いに等しいだろう。
直接ガツンと言い返すことは出来なかったし、ダサいと言われても仕方ないと思う。

けれど、相談したことを後悔したことはない。
おかげでその日以来いじめは無くなったし、クラス替えでいじめっ子達と同じクラスになることもなかった。
無事に進学が出来たのかは私は知らないけれど、きっとあの時校長先生に相談していなかったら私は不登校になっていた。
休みがちだった友人も戻ってきて、以前よりも息のしやすい学園生活を送ることができたのだ。

自分だけでどうにもならないことがあった時、自分以外の誰かに頼るというのは大事だと深く学んだ出来事だった。
もしそれで解決できなくても、勇気をもって行動したことはきっと後悔しないだろう。
もし今同じような状況で悩んでる読者の方がいたら、参考にしてみてほしい。
少しでも張り詰めた状況から、あなたの息がしやすくなりますように。






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