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ショートケーキみたいな服が着たいと言われた話


「イチゴのショートケーキみたいな服を着させろ」



それはある日のこと。

突然ふと湧いた、心の底からの声に耳を疑う私。


「は?」


「イチゴのショートケーキみたいな服が着たい。

お前が着ているのはういろう・・・・ようかん・・・・



……………(´°‐°`)?



突然話し始めたその人物は、どうやら私が普段着ている洋服に不満があるらしい。

曰く、

「もっとかわいらしい服を着させろ」
「女性に生まれてきたならかわいい服が着たい」


この声はいったいどこから来るのか。
なぜ突然話し始めたのか。
かわいらしい服とはどんな服なのか。
ってか、ういろうやようかんだっておいしくね?

不満を口にする私に向かって、その人物はしびれを切らしたように繰り返した。

「ショートケーキみたいな服が着たいッ!!」



かくして私は、ショートケーキのような服を探してさまようこととなった。

とはいえ、女子バレー選手に混じっていても違和感がないほどの高身長ゆえ、冬になると気づけば全身メンズ物になってしまう。

メンズ物はカラー展開が少なく、ゆったりしたサイズが好きなのも相まって、当然“ショートケーキみたいな服”とは程遠くなる。

気づけば、迷ったらとりあえずグレーのパーカーにジーンズがお決まりのファッションスタイルになっていた。



…なるほど。これがういろう・・・・ようかん・・・・になっていた要因か…。


無駄に一人で納得したところで、意を決して最先端の服が揃ったアパレルショップへ。

お店に入るなり、柳原可奈子氏ばりに響き渡る「いらっしゃいませぇ~♪」のソプラノ声に圧倒されつつ、

陳列されたキラキラな洋服のジャングルをかき分け奥へと進む。(注:近所のジー〇ーです)


不思議なもので、「ショートケーキみたいな服」と言われてから、普段は手に取らないようなかわいらしく明るめの服ばかりが目につく。

私はそこで、これまで頭の中にあるフィルターによって

この洋服は自分には似合わない
この年でこの洋服はちょっと…

と、無意識にふるいにかけていたことに気づいた。


世の中には意外とかわいい服があるんだなぁ。

そんな風に感心していたとき、ふと私はHSPとしてオシャレを楽しむ上で致命的な欠点があることに気づいた。

それは、感覚過敏でレースやメッシュなどの素材は着心地が悪くて着られないということ。

また、かわいい女子を演出してくれるニットもチクチクが気になりすぎて長時間着ることができないということ。


これは、“ショートケーキみたいな服”を目指す上でかなりの障害になってしまう。

まるであざとかわいい系女子に、上目遣いとアヒル口と首揺れを封印させるようなものだ。(なんかいろいろ古い)


さて、どうするか。

どうやら、服の素材で“ショートケーキ感”を出すのは難しそうだ。

思わぬ形で始まった“ショートケーキみたいな服”探しは、早くも暗礁に乗り上げた。


師匠・・、この服はどうですか」

「うーん。いまいち」

師匠・・、こちらはどうですか」

「まぁ、及第点といったところかな」

そんな会話を頭の中で繰り返し(口に出したら変質者確定)、ようやくスリットが入ったロングスカートを試着することに。


しかし、ここでもある問題が。

それは、ちょうどいいサイズがないということ。

一つ下のサイズはきつくて動きにくく、その次のサイズはウエストがゆるすぎてシルエットがいまいちになる。

この場合、どちらを買えばいいのか。

痩せればいいんじゃない?というささやき声とともに、いや今着たいから買うんじゃんか、そもそも今すぐ痩せられんの?と反論が起きる。

かといって、一つ上のサイズだとウエストの部分がもったりしていてなんともカッコがつかない。

幸いヒモがついているタイプだったので試しにきつく結んでみたが、どうもシルエットが決まらない。

…結局、購入したい!というテンションまでいかず、かごに入れていた洋服をすべて戻した。(試着室を出るとき、お戻しの物はありますか?に気まずくて大丈夫です(^^)と答えた←)


ショートケーキみたいな服と言われてから、自分の中に湧きおこる高揚感と同時にそれが簡単に叶わない現実を思い知らされ、

たかだか2、30分の滞在だったのにもかかわらず、結果的にはその倍くらいの濃ゆい時間を過ごした。



そんな失意の中で出口に向かっていると、ふとあることに気づく。


…この服、すそ、どこ行ったん?



そう、最近は丈の短い服が流行りらしく、私の中ではなんかへそ出しルック・・・・・・・流行ってんなくらいにしか思っていなかったが

調べると今は“クロップド丈”というらしく、脚長効果が期待できるとのこと。

これが、私にはなかなかハードルが高い。

え、痩せればいいとか言ってる場合じゃないじゃん。
え、ずっと息止めてなきゃいけないじゃん。
てか、お腹寒くない?

感想からしてもうすでに負け戦になってしまった。

また、下記のような服を大学生の姪っ子が着ていた。


こんなの

私が着たら確実に人以外のなにか(一風変わったゆるキャラとか)になってしまうだろう。

黒柳徹子氏か楠田枝里子氏しか着こなせないであろう洋服を華麗に着こなす令和女子がまぶしい…。



というか、ジー〇ーがそもそも若年層向けなのである。

そもそも、当方ミドサーからアラフォーへと移行しつつある微妙なお年頃(?)である。

おまけに、バリバリ働くキラキラ女子でもなければ、オシャレも子育ても楽しみたいママなわけでもなく、自分をカテゴライズするにはどこにも属するところがない、いわばガラパゴス・・・・・女子と言ったところなのだ。

そんなガラパゴス女子には、参考となるようなファッションがない。

しかし、裏を返せば、それだけ縛られるものがなく自由ともいえる。

そう、つまり、年齢や体型や職業にとらわれず、着たいものを着ればいいのだ。


お腹を出したければ出せばいいし、ゆるキャラになってしまうとしても今どきの服に挑戦したっていい。

そもそも、誰だって性別関係なく、年齢や体型や職業にとらわれずに着たい服を着ればいいのだ。

ういろう・・・・ようかん・・・・だって、それ自体が悪いわけではない。ショートケーキみたいな服ばかり着られないときだってある。

大事なことは、自分に与えてあげる選択肢を狭めないこと。

その時の気分によって、どんな服を着たいのか、年齢や体型や職業にとらわれず、自分に自由に選ばせてあげること。




せっかく女性に生まれたのだから、おしゃれがしたい。

私ってかわいい~♡を経験できるのは、女性の醍醐味だ。


そう、つまり、私はモテたいのだ、

自分に。




他の誰でもない、自分に私はモテたい。

他の人はあくまでオマケで、要は私は自分自身にモテたかったのだ。

自分自身を喜ばせ、うっとりさせ、自分でいることにうきうきワクワクしたかったのだ。

その象徴が、今回深層意識から浮かんできた“ショートケーキみたいな服が着たい”だったのだ。



ということで、はたして高身長女がショートケーキみたいな服を見つけることはできるのか。

孤独なショートケーキみたいな服探しの旅はつづく。

…たぶん。



おしまい🍰



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