詩:ワイエス三世
ワイエス三世は高名な哲学者だ
彼の著書である『意味の無意味性』は出版から30年たったいまでは
準古典としての地位を確立している
彼はあの細くて高い建物に住んでいる
見るからに陰気なあの塔に
ワイエス三世は20年にわたる実験を行っている
五階まである自分の家の階段を無目的に往復し続ける
彼の精神世界に「意味」が生じるかを検証しようとしているのだ
その実験の過程で 彼は
妻を失い、子供を失い、友を失い、正気もほとんど失っている
塔に耳を当ててごらん
ほら、ゆっくりと階段を上る足音が聞こえるだろう?
かわいそうなワイエス三世
https://medium.com/@s00sakuwork/poetry-poor-wyeth-iii-6740b7b43855
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