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B級の美学

かつて映画館は二本立て、三本立てと連続して鑑賞できる場所もあった。
今もある事はあるのだが、かつての時代に比べるとだいぶ減ってしまった。

そして今の映画館では入れ替え制が殆どだ。
いや、都会に関しては全館と言って良いだろう。

特に往年のB級作品を彷彿とさせる企画が2007年に実現した。
仕掛け人はご存知、クエンティン・タランティーノとロバート・ロドリゲスがタッグを組んだ、「グラインドハウス」である。
個人的にはロバート・ロドリゲスが監督を担当した「プラネット・テラー in グラインドハウス」が楽しめた。

この作品は俗に言われるゾンビものだ。
これまで数多くのゾンビを題材にした作品が存在する。
中でもこの作品はかなりぶっ飛んでいる。
サブタイトルに「過激度120%! 豪華キャストと限界アクションで描く、前代未聞ののサバイバルSFホラー・アクション!!」との説明がある。
正直いって欲張りだ。
まるで例えるならば、天丼の上にカツ重が乗り、トッピングにフォアグラを散らし、中央にイクラとウニを乗せた丼に、うなぎの肝吸いが隣に添えられる様なものだ!

だが、結果的に秀作だった♪
で、ゾンビになる経緯を説明すると、舞台はテキサスの田舎町だ。
静まり返った場所に怪しげな科学者と軍人が取引を行おうとしていた。
科学者が発明した生物兵器は最も危険性が高く、扱いに細心の注意が必要だった。
だが、取引が行われるはずが思わぬトラブルに見舞われ、秘密兵器が空気中に放射されてしまう。

やがて汚染された空気が町中を包み、この兵器を吸ってしまうだけでゾンビ化してしまう恐ろしい事態へと発展する。

この様な取引が行われる前、主人公のチェリー・ダーリンはセクシーダンスをするゴーゴーダンサーという職業に就いていた。
しかし、店長と揉めてチェリーはダンサーを辞める事になる。
帰り道の途中、トラックが猛スピードでチェリーに近づき足に怪我を負う。
そのトラックこそ冒頭で説明した軍のトラックである。

チェリーはその後、行きつけのバーベキューレストランに入り傷の手当てをしている時、チェリーの元恋人が店内に入り。
どうやらこの二人は最近別れた様な会話を交わす。
元恋人はその場を去ろうとするが、チェリーが送って欲しいと言い二人は店を後にする。

舞台は病院へと移り、院内ではブロック夫妻が夜勤で勤めている。
実はこの夫婦は仮面夫婦と言うべきか、妻は夫に隠れて浮気をしているのだ。
しかも夫が知る人物だ。
更に付け加えると相手は異性ではなく同性なのだ。

妻は夫に知られてないと高を括るのだが、実は妻が考えているほど夫は鈍感ではなく鼻が効くほど敏感であった。

またも舞台が変わり、真夜中に煙を放ちながらスピードを上げた車がバーベキューレストランの前に止まる。
店主のJTが外に出ると車から女性が現れ、ボンネットを開けエンジンを冷やせば直るかもしれないとJTに伝えると、すぐに水を用意したJTは女性に渡した。
車の調子が戻ると唐突に現れた女性はそそくさとその場を後にする。

しばらく走ると、またも車の調子が悪くなり、車から出た女性は真っ暗な道を歩き走る車に止まる様にお願いするのだが、止まる車は一台もなかった。
やや諦めかけた時、事態が悪化する。
夜空が闇を包み込んでいたせいか、油断した女性は見知らぬ数人に襲い掛かられ無惨な姿となる。

その光景を目にしながら素通りしたチェリーと元恋人が乗る車が走る。
社内ではちょっとしたいざこざとなり、元恋人がよそ見をし不注意した事から、車は回転を繰り返しながら横転してしまう。

すると車内に入り込もうとする人がチェリーを引きずり出す。
元恋人はすぐにチェリーの元へ向かうが、そこで信じられない光景を目にする。
チェリーの怪我した足を食いちぎっていたからだ。
元恋人は悍ましい姿の人らからチェリーを助け出し、気を失ったチェリーを抱きかかえた元恋人は病院へと向かう。

またも舞台が変わり病院へと物語が進む。
夫のウイリアムは顔馴染みの患者の世話をしていた。
その患者は何かに噛まれたらしく、どうも体調がすぐれないとウイリアムに告げる。
様子を伺っていたウイリアムは患者の腕を診て感染速度が早まっている事を知る。
このままだと切断をしなくてはならないと知る。
そこで麻酔薬のスペシャリストでも言うべきか、常に注射を武器の様に常備する妻のダコタが呼ばれる。

ダコタは患者に用意した三本の注射を順序よく刺すと、患者は意識を失い別の部屋で手術を行う事となる。

この病院に担ぎ込まれたチェリーと元恋人は急いで診る様に頼む。
その後、別の患者が運ばれる。
すでに亡くなっていて遺体は無惨にも頭から脳が奪われた無惨な姿だった。
その遺体を見たダコタとウイリアムは驚く。
この遺体こそダコタの浮気相手だったからだ。
ダコタは恋人の無惨な姿を前に言葉が出てこない。
この遺体こそ、先ほど煙を放ちながらバーベキューレストランの前でJTに助けてもらった女性だったのだ。

一方のウイリアムはダコタと同僚の目を盗み遺体から携帯電話を取り上げる。

夫婦はその場から姿を消すと、別の部屋へと入る。
そこでウイリアムがダコタに正す。
本当は浮気していただろうと。
それでも妻は頑なに拒む。
怒りが隠しきれないウイリアムはダコタから注射器を奪い二本の注射針を刺す。
三本目を刺そうとした矢先、突然同僚が部屋に入り、先ほど腕を切断する患者が大変な事態となっていると告げられる。
同僚と手術を行っているはずの部屋を訪れると、手術を担当する医師が無惨に切り裂かれ、患者は変貌した姿でウイリアムを襲うのだ。

病院内はパニックと化す。
そんな中、意識を失っていたチェリーはあるはずの片足がない姿を見て震えが止まらず、込み上げる嘔吐を我慢しながら現実を見る。
そこに元恋人がチェリーを抱き上げ病院を出ようとする。

もはやは病院を囲む周辺は地獄絵図となっている。
通報を受けた保安官らが対応するが、人間ではなくゾンビを相手にしているため自体が一向に収まらない。
すると保安官のヘイグが元恋人に近づくと、感情をむき出しにしながら手錠を掛ける。
保安官と元恋人の間には深い溝が刻まれていた様だ。
具体的な理由は定かではないにしろ、自体が深刻となる状態を残された住民と警察が一体となりゾンビに立ち向かう。

この先は観てからのお楽しみにという事で♪

更に物語が進むと、すんげえぶっ飛んだアクションシーンが満載だ!

特にゴーゴーダンサーで鍛えられたチェリーの舞う様なアクションは必見だ!

それにしても、タランティーノ然り、ロドリゲス然り、B級作品をリスペクトしつつ、個性のある出演陣を集め本気でB級に向き合う姿勢は観る側が恐れ入るばかりだ。

ここまでクオリティの高い作品となると、既にB級というよりもウルトラQと称するべきだろう!

あ、そうそう、この作品に入る前の冒頭に偽コマーシャルが実に泣かせる!

結局、偽コマーシャルの「マチェーテ」は作品となったから驚きだ!
しかも続編までも!

わーお!

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