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ブラジル・アマゾンの先住民族 / ヤノマミ族からのメッセージ

文:持田博行(アースデイジャパンネットワーク理事 / アースデイ in 京都 代表)

4月22日は世界的な環境アクションの日「アースデイ=地球の日」です。
そう、まさに今日は「アースデイ=地球の日」です!

「地球のことを考えて、行動しよう」を合言葉に、この日をきっかけに私たちの暮らしを持続可能なものへと少しでも近づけていけるように、私たちひとりひとりが自分事として考えて、行動していく日です。
 
母の日には「お母さんありがとう!」、父の日には「お父さんありがとう!」と感謝を伝えるように、地球の日には「地球さんいつもありがとう」と地球に感謝の気持ちを表して、恩返しをする、そうやって考えると分かりやすいですね。

京都では4/20(土)から「アースデイウィーク」がスタート


私の住む京都では、2020年に環境フェス「アースデイ in 京都」が立ち上がり、今年は4月20日(土)〜5月12日(日)の約3週間に渡って「アースデイウィーク」が設けられ、最終週の5月11日(土)・12日(日)のメイン会場・岡崎公園まで、期間中に様々な会場で多彩な催しや活動が行われています。



4/20(土)には「アースデイオープニングイベント」を開催


 去る 4月20日(土)には京都国際写真祭『KYOTOGRAPHIE』とアースデイ in 京都の共同企画として、アースデイウィークのオープニングを飾る、アースデイ in 京都 2024 オープニングイベント『SOURCE OF LIFE』を開催しました。


この日はスペシャルゲストとして、ブラジル・アマゾンのダライラマとも呼ばれる、先住民族ヤノマミ族のリーダー、ダビ・コペナワ氏をお招きして、『アマゾン先住民族の土地・文化、ヤノマミ族の物語』と題したトークイベントも行いました。

今も尚アマゾンの森の中で自然と共に暮らし続けているヤノマミ族。
 
そのヤノマミ族のリーダーであり、シャーマン(森の薬草などを使い医療的行為を行う人)でもあるダビ・コペナワ氏からのメッセージは、「アースデイ=地球の日」を迎えるにあたって、現代社会を生きる私たち都市生活者にとって、また市場経済の中に生きるすべての人にとって、とても大きな意味を持つものでした。
 
今日はその一部をご紹介したいと思います。

(写真は4月14日(日)に京都国際写真祭「KYOTOGRAPHIE」が新たに立ち上げた音楽フェス「KYOTOPHONIE」のプログラムとして東本願寺にて行われたスペシャルトーク)


【ヤノマミ族:ダビ・コペナワ氏のメッセージ】

私たちは山の人であり森の人です。
自然とともに生き、自然の一部です。

自然が私たちを守ってくれ、そして私たちも自然を守っています。

私たちは食べ物を買うことはありません。
水を買うこともありません。
何かをお金で買うことがありません。

すべて自然が与えてくれます。

人間は「お金」というものを生み出したことによって、すべてを「お金」で考えて「お金」のために生きるようになりました。

お金のために自然を破壊し、お金のために争うようになりました。

私たちの森も例外ではありません。

森は切り開かれ、違法な金採掘者たちによって土地を荒らされ、彼らの使う水銀によって水も身体も汚されました。

彼らはお金がなければ生きていけないような社会を生み出しました。

けれど本当にお金だけが必要でしょうか?

自然は偉大です。
すべてを与えてくれます。

非先住民(近代人)は常に新しいものを求め、常に変化を求め、常にないものを求めています。

私たち先住民は太古の昔から受け継ぐ森を守り、文化を守り、あるものに感謝をして暮らしています。

近代人はゲームフィッシングをして魚を意味もなく釣り上げたりもします。

魚も同じ生き物です。痛みも苦しみも感じます。

私たちは決してそのようなことはしません。

彼らも同じこの地球の家族だからです。

私は今日、私たちのこうした暮らしや本来の人間の暮らし、大切な思いを伝えるためにここにやってきました。

金銭的な援助がほしくてここに来たわけではありません。

私たちの森と私たちの暮らしのことを知り、一緒に守ってくれる仲間を求めています。

私の話を聞くことによって、みなさんが何かを感じとり、共に行動をしてくれるきっかけになれば非常に嬉しいです。

話を聞くまでは、写真を見てその暮らしぶりを容易に想像してみたり、きっとアマゾンではこんなことが起きているのだろうと、どこか話を先読みして勝手にイメージしている自分がいました。

でも、彼の話を生で聞いていると、

彼の細胞の中にある記憶とか、もしくは脳内にある思考の断片とか、はたまた魂に秘めたる思いとか、

そういった細胞レベル、遺伝子レベルの何かが声の振動や空間の振動、思考の振動によってこちらに伝わってくる、そんな感覚に陥っていきました。

トークの最後の質疑応答の時間に、思い切ってダビさんに質問をしてみました。

これまでもずっと考え続けてきて、それでも自分の中で答えの出ない問い。

「私たち都市部に住む人々は何をすべきなのか、どうやったらこの行き過ぎた経済社会を持続可能なものへとシフトチェンジしていけるのか?」

アマゾンで暮らすヤノマミ族のリーダーから見て、都市部の人へのメッセージやアドバイスを求めてみました。

すると、彼からはこんな答えが返ってきました。

都市部に暮らす人がどんなことをすればいいのか?

それは都市部に暮らす皆さんそれぞれが、
自分たちの頭でしっかりと考えてください。

自分たちで話し合い、
自分たちで考えることがとても大切です。

日々の暮らしの中で何を選べばいいのか。
地球にとって正しい選択とは何なのか。

どういう仕事をするのか。
何を食べるのか。

そういったことひとつひとつの選択が
この地球にどういう影響を及ぼすのか、
みんなで考えてください。

アマゾンでは違法な金採掘がいまも行われ、
それらの採掘に使われる水銀によって、
アマゾンの川は汚染され、
私たち先住民の身体も犯され、
我々の暮らしを脅かしています。

こうして採掘された「金」は、
日本を含めた先進国の皆さんが購入しています。

こうした金を購入することは意図せずとも、
彼らの活動を支援していることに繋がっています。

あなたたちの選択ひとつひとつが、
この地球や環境に繋がっています。

この星を守るために、
アマゾンの森を守るために、
何を選ぶのかがとても大切です。

大きな企業に対して、
また政府に対して、
意見を述べたり、
メッセージを伝えることも
とても重要なことだと思います

ぜひそれらを行動に移してください。

都市部に暮らす皆さんにもできることがあるはずです。

私は都市部の暮らしを否定はしていません。
こうして私をこの地へと招き、いまこうして
話をさせてもらっていることにも感謝をしています。

私は私たちの森を一緒に守ってくれる仲間を求めています。
私たちの森は私たちヤノマミ族だけのものではありません。
みなさんを含めた世界中みんなの大切な森です。

一緒に行動をしていきましょう。

今回のダビ・コペナワ氏の来日は、4月13日(土)〜5月12日(日)の期間で開催されている京都国際写真祭「KYOTOGRAPHIE」の展示プログラムの1つ、『ヤノマミ』 クラウディア・アンドゥハル ダビ・コぺナワとヤノマミ族のアーティスト展』に合わせて招聘されました。

本展は、約50年間にわたりヤノマミ族の写真を撮り続けてきたブラジル人の写真家 Claudia Andujar / クラウディア・アンドゥハルとブラジルの先住民ヤノマミとのコラボレーションを発表する日本初の展覧会です。

5月12日(日)の会期まで、京都文化博物館 別館にて開催しています。
ぜひご自身の目でヤノマミ族の歴史と文化に触れてみてください。

『ヤノマミ』 
クラウディア・アンドゥハル
ダビ・コぺナワとヤノマミ族のアーティスト

In collaboration with Instituto Moreira Salles and Hutukara Yanomami Association
共催:京都府

キュレーター:チアゴ・ノゲイラ
セノグラファー:おおうち おさむ (nano/nano graphics)

京都文化博物館 別館
10:00–19:00 休館日: 4月15日・22日、5月7日
※入場は閉館の30分前まで
パスポートチケット、単館チケットの詳細はこちら
大人: ¥ 1,200 / 学生: ¥ 1,000 (学生証の提示をお願いします)

https://www.kyotographie.jp/programs/2024/claudia-andujar/

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