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それは彼の誕生日の前日/#シロクマ文芸部

月めくりのカレンダーが
6月でとまっている部屋

彼女の長い髪の毛が床に
ベッドに絡みついたまま

秋の日差しで雪のように
埃が舞って輝くその瞬間

彼は静かに黑鉄の銃口を
こめかみに当てたんだね

つなげない手を憎む事が
もうないなら忘れるだけ

最後に会ったとき、彼は
明るく事もなげに言った

けれどそれは最後の虚勢
彼女だけが知っていた筈
その脆さを誰も知らない

彼女の香水の瓶が割れた
彼女のドレスが散らかる
その部屋で彼は3ヶ月も
生きていけなかったのか

彼女は彼を待っていたか
彼女は彼を迎えに来たか

彼の破壊された顔の中で
残された口元が微笑みの
形で固まってる身勝手に
最後まで苛立ちが残った

月めくりのカレンダーに
彼の脳髄が鮮やかに残る

6月4日、あの日彼女は
彼と違う男のベッドの上
首を絞められて殺された

彼がなにを最後に思った
それは永遠に分からない

彼の口元の微笑みだけが
彼女との幸せな思い出を
そっと思い出させるけど

秋の風に嬲られて共感は
薄い雲のように消えてる

この部屋の片付けを僕に
させるって言うのかい?
父さんそれはあんまりだ

泣くことも出来ない日々
それはまだもう少し続く


【自己お題】

TM NETWORKの69/99の歌詞を使って

つなげない手を憎むようなことがもうないなら


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