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詩|父が少年に言う

父が少年に言う

「お前は泣かなかった、偉いぞ」

いいえ

彼は泣いた

父の知らないところで

泣けない人には

優しくない世界

あなたは泣けない人

どんなに強がっていても

あなたにも心はある

傷ついても

すぐに立ち上がる その心

その心は

本当に冷たいのか

私には分からない


あなたの心はあなたにしか分からないし

私の心は私にしか分からない


あなたの気持ちが読めたらどんないいか

それは絶対に不可能なこと

ゆえに私たちは傷つく


けれど

だからこそ分かり合いたいと思い

引き寄せられていく



分かり合えなさは不幸か

ならば

分かり合えたときの



あの一瞬

わずかな幸せ

あれはなんですか



不幸がなければ

幸せも感じられないでしょう



不幸なんて嫌いだけど

少しでも多くの幸せのために

私は命を裂きたいと思う




あなたの心のすべてを

私は知るよしもない



けれど



あなたと分かり合えたときの幸せ

私はそれを知っている






(これは、いつもの「君=親友」ではなく、実の父に向けて書きました。ただし、恋人や自分に向けた詩など、自由に解釈していただいて構いません)



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