エッセイ♯6「自分の中の価値が上がる瞬間」

今まで見向きもしなかったのに、「これがほしい！」「これが気になる！」という物を見つけた時、急に自分の中の価値が上がる。

最近、iPadがほしいと思うようになった。趣味で絵を描いたり、電子書籍を読んだり、大きな画面で映画を楽しみたいという理由から。

何かに興味を持ち始めると、途端に目に入りやすくなる。自分の中のセンサーが反応して、iPadに自然と視線が向くようになった。

外を歩いていて、iPadを持っている人が気になったり、テレビCMや広告を真剣にみていたり、電気屋さんに行って熱心に店員さんの話を聞いたり。

今まで視界に入ってもなんとも思わなかったのに、急に注目の的になった。

きっと、自分の中の価値って毎日変動しているんだなと思う。

学生の自分と社会人の自分、10代の自分と20代の自分、実家暮らしの自分と一人暮らしの自分。

立場や環境が変わっていくと、自分の考え方や感じ方も変わり、日に日にアップデートしている。

「今の自分が何を大事にしているのか」も、ぐるぐる変化を続けている。

まさか、iPadがほしいと思う日がくるなんて、思いもしなかった。絵を描くのが得意なわけでもないし、とびきり絵が上手いわけでもない。

ただ、自分の思い描くイメージを何とか形にしたい、言葉にできない何かを絵で表現できたらいいな〜という気持ちが芽生えてきたからだ。

絵を描きたいなんて、自分でもびっくりだ。でも、iPadを使っている自分に出会えると、また違った自分が発見できそうである。

まだ知らない自分に出会えるだけで、自分の中の何かが動き始めるのだ。

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