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自己矛盾劇場

はじめに


 はじめまして、dZERO新人のHKです。今回は、未だに売れ続けている(ありがとうございます!)「知の構造」シリーズの三作目『自己矛盾劇場』を紹介させていただきます!


自分では気づかないのに、気づいてしまうと滑稽な「自己矛盾」

概要

 本書のテーマは「自己矛盾」。他人の矛盾にはすぐに気づくのに、自分の矛盾には気づかない人たち。観客席の一段高い位置から物申しているつもりで、実は演者側にいる人が主役です。メタ認知=客観的に見てみるとはどういうことなのか。メタ視点で演者を見ていると思っている自称賢者も、さらに上のメタ視点から見ると演者と同類なのです。大切なのはメタ認知のレベルを上げて、自己矛盾に気づき、それを活かすこと。ソクラテスの「無知の知」を知り、自分を高い位置から客観的に見れば自分の愚かさに気付けるはずです。さまざまな自己矛盾の例を、もぐらの四コマ漫画といっしょに紹介。


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著者紹介

 著者は「知と社会と自分」の関係がシンプルに可視化されている「知の構造」シリーズ『具体と抽象』『「無理」の構造』のでおなじみの細谷功氏。何度も読み返すことで、メタ認知の扉が開かれる作品です。

この作品のポイントと名言

「あの人は、他人の批判ばっかりしているからダメなんだ」この発言の滑稽さ、おわかりでしょうか?(はじめに、p1)

問題を引き起こしているのは「いかにも愚かな人」ではなく、近年大量に発生した「中途半端な『自称賢者』」のほうなのではないか(はじめに、p2)

「自己矛盾」の例 「視野が狭いやつは絶対に許せない」→「絶対に許せない」と言うのは視野が狭いのでは?(第2章、p23)

「自己矛盾」の例 「会社一丸となって多様性を推進します」→「多様性を受け入れない人」も多様性の一つでは?(第2章、p23)

「自己矛盾」の例 「これ絶対人に言っちゃダメですよ」→自分で言っておいて他者には禁止する?(第2章、p24)

「求められてもいない意見を言いたくてたまらない人」と「余計なことを言われてムカついている人」があふれる(第3章、p36)

「抽象的でよくわかりません」の裏返しの言葉と言える「具体的に言えと、何度言ったらわかるんだ?」という言い方、これも強烈な自己矛盾(第5章、p43)

「抽象的」に対する批判もまさに、メタ認知の欠如が一因と言えます(第5章、p44)

自分は賢者であると思い込むことで「無知の無知」に陥ってしまっています(第7章、p55)

会社のプロジェクトのレビューなどでよく聞かれる「リスクはありません」という言葉は、「未知の未知」の領域を考慮すると自己矛盾(第8章、p63)

「すぐにわかる」と決めつけている時点で、ものごとの一面しか見ずに安直な判断を下していることの証になってしまっている(第9章、p71)

自己矛盾に陥る最大の罠は「無知の無知」と言えます(第9章、p72)

「あの人ケチだよね」は、実は「私もケチです」ということを自覚なしに物語ってしまっている(第12章、p87)

自分を特殊化し他人を一般化する私たちの癖は、ちょっと見渡せばいくらでも見つかるのではないでしょうか(第14章、p95)

与えられたものを鵜呑みにせずにすべてを疑ってかかる(第15章、p98)

「自分の頭で考える」ための方法論が「哲学」ということになりますが、自己矛盾は「哲学を学ぶ」という言葉にも見られます(第15章、p99)

哲学者について学べば学ぶほど、実は哲学の目指すところである「自分の頭で考える」ことからは遠ざかっていくわけです(第15章、p100)

メタレベルの憎しみはすべて非メタレベルの愛から生まれます(第20章、p114)

自己矛盾は人間の知的能力と表裏一体の関係にあります(第21章、p115)

「人の話をよく聞くことが重要だ」と一方的に説教して部下の話を聞かない上司(第22章、p119)

「成果の上がらない原因を他人のせいにするな。だからうちの課は目標を達成できないんだ」と部下のせいにしている課長(第22章、p119)

知能が発達しているからこそ自己矛盾が生じるのです(第27章、p139)

メタ認知することの大きな意味は、認知バイアスから抜け出すことです(第27章、p142)


dZERO新人HKのひとこと

 自己矛盾とは、自分では気づけないものなのですよね。私も他人の矛盾にはよく気づいて、揚げ足取りをしていやがられていますが、他人に同じようにされると腹立たしく感じます。一段高い位置から物事を見ているつもりで、実はさらにもう一段高い位置から見ている人から突っ込まれることも、しばしばあります。
 一段高い位置にのぼったつもりでも、またその上に一段あって、どこまで行っても真の意味でのメタ認知に立てないのは、アルキメデスの亀のようです。真の意味でのメタ認知ができるのは神様だけでしょうが、私は神様にはなれませんから。わかっているつもりでわかっていない状態から抜け出しても、まだまだ上のレベルのメタ認知があって、自己矛盾から抜け出すのは難しいですね。「なんだか耳の痛い話が続くなぁ」なんて思いつつも、なるべく自分を客観的に見るように頑張りたいです。せめて、自分では矛盾していないつもりでも実は矛盾しているかもしれないと考えるくせづけはしたいですね! 四コマ漫画のモグラがキュートで、必見です!

おまけ

細谷功氏のここでしか読めないコラム『「自己矛盾」の構造

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