株式会社 結 公式note / 小野田

株式会社結の代表取締役、社会福祉士として成年後見人の受任活動などをしています。 高齢者…

株式会社 結 公式note / 小野田

株式会社結の代表取締役、社会福祉士として成年後見人の受任活動などをしています。 高齢者、障がい者の支援として、サービス提供、相談支援事業を行っています。 この業界で33年、介護の現場からスタートして事業経営までにいたりますが、経験から得たものを大事にして事業を実施しています。

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最近の記事

【福祉について】「やさしさ」と「思いやり」を考える その2

前回に引き続き「やさしさ」「思いやり」について、そして「愛」についても考えるとともに、それがあることで得られる結果、効果などを、できれば具体的にしていきたい。その前に、「やさしさ」「思いやり」に関連することとして「親切」について少し考えてみたいと思う。 ちなみに前回はこちら 人に親切にする、ということは誰もが小さい頃から教えられてきていると思う。その「親切行為」は、人に対する「やさしさ」「思いやり」から生まれるものといえる。 自分が受けた「親切行為」で、深く記憶に残っている

    • 【福祉について】「やさしさ」と「思いやり」を考える その1

      前の記事の中で、ホスピスのボランティアについて書いた。自分が今行なっている福祉、介護事業の仕事をめざす、きっかけの一つに阿部志郎さんの「ボランタリズム」という本がある。冒頭の一節を紹介したい。 自分の中にあるなにかが、この一節に反応して、地元の市社会福祉協議会が主催するボランティア講座に参加し、それがきっかけでこの仕事に行きついた。 この一節の中に「やさしさ」「思いやり」という言葉は使われていない。ただ手を貸してくれた、というだけで、そのことを自分の子どもに説明するわけでも

      • 【看取り】終末期の支援で欠けていると思うこと

        介護保険のケアマネの加算の中で、終末期の支援で「ターミナルケア加算」というものがある。医療や介護において「ターミナルケア」という言葉が適切なのかどうかわからない。「ターミナル」という言葉は、交通機関における出発点、終着点という駅や空港に使われる。終末期医療ともいうことがある「ターミナルケア」という言葉では、主に「終着点」として使われているのかと思うが、「出発点」という意味も含まれているとすると、それは、人が生涯を終えた後、その先への旅立ちという意味合いもあるのかと思う。だとす

        • 【障がい者支援】障がい児✖️サーフィンでみえてきたこと

          地元、茅ヶ崎の特定非営利活動法人(NPO法人) Ocean's Love(オーシャンズ・ラブ)のボランティアサーフィンスクールの見学と意見交換会に参加した。所属する公益社団法人神奈川県社会福祉士会湘南東支部で、地域の社会資源を知り、学ぶための企画だ。Ocean's Loveは障がい児のためのサーフィンスクールを各地で開催している。 現地での見学と、その後行われた主催者との意見交換会で、得られたことをお伝えしたい。 Ocean's Love代表のアンジェラさんのご紹介 当日

        【福祉について】「やさしさ」と「思いやり」を考える その2

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        • 障がい者支援のはなし
          5本

        記事

          【認知症ケア】認知症の方の意思決定支援について考えた

          今、認知症の方だけではなく、知的障がい、発達障がい、精神障がいの方の「意思決定支援」について、成年後見人だけでなく、その方々に関わる支援者に求められている。 自分が今まで関わってきた利用者、入居者の中で、当時は意思決定支援という言葉もなかったが、ご本人の想いに寄り添ってきた支援で、特に印象深かった方の支援についてお伝えしたい。 「意思決定支援」の具体的な取り組みについては、認知症の方、障がい福祉サービス等の提供におけるものなど各種ガイドラインが発出されているのでそちらを参考

          【認知症ケア】認知症の方の意思決定支援について考えた

          【障がい者支援】精神科病院長期入院してた人と過ごして考えたこと その2

          精神科病院に長期入院していた方で、すでに亡くなられたが、当時50代後半の男性の保佐人(成年後見制度の保佐類型:以下参照)を受任し、その方の支援や活動の中から、考えたことをお伝えしたい。 そして、精神疾患を持つ方の地域での暮らしや支援、入院についても、自分なりに考える機会にできるとよいと思っている。 「その1」をお読みでない方は、以下の記事からご覧いただくとよりわかりやすいかと思います。 他科受診から入院へ 入院していた精神科病院では、精神科以外の疾患があると外部の病院へ受

          【障がい者支援】精神科病院長期入院してた人と過ごして考えたこと その2

          【障がい者支援】精神科病院長期入院してた人と過ごして考えたこと その1

          精神科病院に長期入院していた方で、すでに亡くなられたが、当時50代後半の男性の保佐人(成年後見制度の保佐類型:以下参照)を受任し、その方の支援や活動の中から、考えたことをお伝えしたい。 そして、精神疾患を持つ方の地域での暮らしや支援、入院についても、自分なりに考える機会にできるとよいと思っている。 申立時のできごと 市町村長申立による、障がい福祉担当課からの保佐人候補者の依頼だった。申立時の親族調査によってわかった、いままでご本人の存在を知らなかったというごきょうだいに面

          【障がい者支援】精神科病院長期入院してた人と過ごして考えたこと その1

          【障がい者支援】差別解消法合理的配慮 あたたかい無視、愛ある無視とは?

          自分が住む市町村でのシンポジウムに参加してきた。障がい者差別解消法における合理的配慮がされていない場合に、どこにどのように訴えるのか? 事業者の免除要件である「過重な負担」については誰がどう判断するのか、それがされない場合に誰に訴えるのか? 実際の運用を行うために条例が必要なのかもしれない。 条例制定市町村はまだまだ少ないという。ただ、条例をつくる、ルールをつくる、ということだけではなく、どうやって合理的配慮を浸透させていくかが大きな課題である。 先行する条例を制定した市町

          【障がい者支援】差別解消法合理的配慮 あたたかい無視、愛ある無視とは?

          【看取りケア】25年前のオーストラリア緩和ケア研修から得られること

          介護、福祉業界で初めての仕事、特別養護老人ホームで5年間勤務して、入居者との関わりの中から、人の人生の最後の迎え方に自分なりの疑問を持ち、その後の仕事における取り組みを考えることが必要と思った。 夜勤の仕事や施設での様々なストレスやプレッシャーがあり、限界を感じていたことと、この仕事でのスキルアップを考えたこともあり、次の仕事として新たに立ち上げる特別擁護老人ホームで生活相談員(当時は生活指導員)をすることになっていた。退職から次の職場の入職まで1ヶ月のブランクに、どうしても

          【看取りケア】25年前のオーストラリア緩和ケア研修から得られること

          【高齢者支援】戦争体験を聞いて考えてみた

          デイサービスの生活指導員だった。当時はまだ相談員という名称ではなく指導員といわれていて、そのことからも当時の高齢者に対して制度の考え方が表れていると思う。今では考えにくい高齢者に生活指導をするという💦生活指導員がデイサービスや特別養護老人ホームには配置されていた。 デイサービス利用者からの戦争の話 その頃、戦後50年くらい経っていたがデイサービスの利用者はほとんどの方が戦争の体験をされており、それぞれに壮絶な体験であったためか自ら積極的に戦争体験をお話しされる方は少なか

          【高齢者支援】戦争体験を聞いて考えてみた

          【高齢者支援】ひとの尊厳を考える「うわ履き」

          デイサービスにて Sさんは、デイサービスの利用者で背が高いスラっとした紳士だった。 身寄りはなくお一人で生活保護を受けて暮らしていた。 小さな庭がある古い借家に住み、春が近くなると毎年どうやって切ってきたのか、庭になる梅の木の芽吹いてきた枝をデイに持ってきて飾れと職員に渡すような心優しい人だ。 ある時、毎月行なっているお誕生会のとき、すべて行事が終わると、相談員(当時指導員)だった私を呼びこう言った。「俺の誕生月はいつか知っているか?」 言われて真っ青になり調べてみるとな

          【高齢者支援】ひとの尊厳を考える「うわ履き」