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仮説をたてることの意味

ググッてたくさん文献を調査する

こんにちは! 
Better Decisions,Better Result.(よりよい意思決定がよりよい結果をもたらす) そんな意思決定にデータをご活用いただきDynata(ダイネータ)です!

さて今日は、引き続きリサーチの設計と、仮説について考えてみたいと思います。

調査票の設計において、コンセプトとなる「目的」「対象」「仮説」を検討・整理することは重要です。これらは調査の前提となる課題や問題から整理することが基本となりますが、既に類似の目的の調査や、同様の内容の調査が行われていることもあります。

そのため、コンセプトを検討する段階において、インタビュー調査を通じて先行研究に関する文献調査を行うことが有用です。

調査には特別な方法はなく、ネット検索を通じて関連するテーマについての研究や報告書を検索します。引用による記事の場合には、出典にさかのぼって確認します。

例えば、近年の調査テーマでは「リモートワーク」については官民において多数の調査が実施されています。googleで検索するとたくさんヒットするでしょう。
例えば・・

  • 令和 2 年度テレワーク人口実態調査(国土交通省)

  • テレワーク「導入率」緊急調査結果(東京都)

  • 第 5 回 働く人の意識調査(日本生産性本部)

  • 第四回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査 調査内容(株式会社パーソル総合研究所)

  • 「緊急事態宣言下におけるテレワーク等の実施状況調査」(経団連)​

インターネットを通じて入手できる調査は限定的ですが、結果を引用しているものも含めて広く情報収集して、調査目的や対象の類似性・同一性、想定している仮説に類似した調査結果を中心に整理して、調査内容や仮説の確かさや、新たな視点、調査内容について検討します。

その際には、既に結論として確認された調査対象外とすることや、反対に再度、同一事項であっても検証する必要性があるか、を検討します。
また、机上での検討では想定していなかった視点や調査内容については、調査方法や結論を踏まえて新たに調査事項として加えるべきであるのかを検討します。

さらに、厳密な比較は困難であるという認識、前提で、先行調査と同じ質問事項で調査して結果を比較することも考えられます。
例えば前年度調査との比較や、異なる対象での比較は、調査方法の違いを前提にして利用することは参考情報として一定の意義があります。

対象やテーマが異なるものでも市場調査やブランド認知度調査などの構成、項目、質問事項は。それを見直すことでの活用も可能です。

このように先行調査に関する文献調査は、調査コンセプト、調査票の設計において有意義な情報が得られます。

仮説構築の意義

仮説は調査コンセプトの中でも調査設計において重要となる項目です。
仮説には2つあり、

現状把握のための「現状仮説」
解決先を導出するための「ソリューション仮説」

があります。
調査目的に照らして具体的な仮説を検討する際には、これらを意識して、具体的な問いとして整理・検討することをおすすめします。

現状仮説

ある大手レストランチェーンのマーケティング担当者は集客を増やすため方策として仮説を考えています。

  • 来客の多くは価格に満足しているが量は物足りないと感じているのではないか

  • 季節メニューを目当てにして来客している層が一定存在しているのではないか

  • ランチの利用を契機にしてディナー利用につながっているのでは

  • テレビコマーシャルよりも口コミサイトの件数や評価に影響されて来客している人が多いのではないかないか

  • 女性客が少ないのはデザートメニューが少ないのでしないか

このように「集客を増やす」という目的の下、想定される現在の顧客の意見を仮説として整理すると、どのような設問を設定すればよいか、ということが明らかになります。
それを通じて現状の顧客の声が可視化できます。

ソリューション仮説

ソリューション仮説は、「どのような手段を取れば課題解決できるのか」というアプローチを検討します。
「こんな方法を採用したら、マーケットは変化するのではないか」
「こんなアプローチをしたら、関心がなかった層も来客するのではないか」
といった仮定を具現化したものがソリューション仮説です。

例えば・・

  • 量を1.5倍、価格を1.2倍の料理を提供すると男性客にウケるのでは

  • ランチ利用者にディナークーポンを配布すると、ディナー時の来店数が増えるのではないか

  • 小盛メニューが充実すれば女性の来店頻度は高まるのではないか

このように解決策を仮説として整理して、設問に落とし込んで顧客の意見を収集することで、仮説の妥当性、適切性の検証が行えます。

なお、現状仮説の設問で、
「デザートを注文しているか」
「デザートの種類は十分か」
を男女で比較することで、男女間での違いから集客策検討に向けての方向性、さらなる仮説が導出も可能です。

このように仮説の検討においては、調査目的に照らして、その前提となる課題や問題点を解決するための現状把握、解決策の検討を踏まえることが重要です。
加えて仮説構築においては以下のような点からの検討も踏まえることも有益です。
以下、例えば、レストランであれば・・・

  • これまでの常識に捕らわれない(例ː宅配-ビス、通販商品開発、子供無料)

  • コラボレーションも検討する(例ː近隣店舗への出前サービスの導入、季節限定メニューで他社コラボレーション商品を導入  

  • 現実的な解決案を前提にする(例ː収益の分析をせず全てのメニューを半額に)

など施策も念頭にいれた調査というのも具体的な結果がでるので次のアクションプランが立てやすくなりますね。

調査の設問数、配置、構成

モニター調査の設問数については、現状、多くの回答者はスマートフォンから回答しており、日常生活での合間の時間や移動な度に回答していると想定されます。そのため、そのような状況を想定した調査票の設計が求められます。

一般的には回答者は1分で2.5問程度の回答が可能です。
上記のように回答のための時間を取るのではなく、空いた時間に回答する場合は12分程度が目安と想定されます。
そうすると30問が基本的な設問数になります。この場合、スクリーニング設問は10問、本問は20問という構成が想定されます。もちろんこの設問数に制約される必要性はないのですが、それでも最大で20分、50問か上限になると考えられます。
それ以上の設問数は回答コンプリートが減少することも想定されます。

調査の構成(スクリーニング設問と本調査)

ネットモニター調査の構成は、基本的には対象者を特定するスクリーニング設問と本問により構成されます。
スクリーニング設問・性別、年齢、職業の他、ターゲットを特定するための設問
その際には、対象者であるかどうかを単一回答SAで聞くのではなく、複数選択肢の単一回答SAにて段階的に確認して、回答者がターゲットであるかをより正確に特定します。

本調査については、簡単な質問から複雑な質問へ、全体から個別へ、過去から現在、そして未来にというように回答し易さに配慮した構成にします。
回答者からみると、「このアンケートは簡単に答えられる」という印象を与えて、以降の質問に順に答える過程でもスムーズに苦も無く回答できるようになります。

簡単な質問から複雑な質問へ、全体から個別へと構成することが基本的な構成になります。
具体的には、最初は本人の属性を確認して、次に日常の生活や関心、行動、そして調査の核心である認知や評価、最後に意見や今後のことなどを確認する構成です。

キャリーオーバー効果

設問の配置、構成において留意すべきこととしてキャリーオーバー効果があります。これは、前に置かれた質問が、後の質問の回答に影響を与えることです。キャリーオーバー効果を完全に排除することは不可能なので、影響を最小限に止めるようアンケートの質問の順序を検討する必要があります。

1.重要な質問は可能な限り前に

調査の後になるほど、キャリーオーバー効果が積み重なるため、重要な質問は可能な限り前の方に配置します。
とはいえ、最初から核心に関わる質問をすると回答者が正しく回答できない可能性もあり、事実など最初は答えやすい質問から始めていくのがよいでしょう。

2.因果関係が成り立つような質問同士では、結果を先に

質問構成によって、最初に評価が低くなりがちな質問を置くか、反対に高くなると予測される質問を置くかで、アンケート全体の結果傾向が左右される可能性があります。それも留意して設問の配置とを検討したほうがよいでしょう。

具体的には、
質問1.「○○○は好きですか」
質問2.「○○○が▲▲▲であることを知っていますか」
という構成よりも、質問Bを先に質問したほうがよいでしょう。
またその際には、「▲▲▲」がポジティブかネガティブであるかによって、Aの回答に影響を与えることも留意しましょう。

今日も調査について、少しお話しさせていただきました。
次回は選択肢の作り方などをお話しさせていただきます!

国内も、国外も、リサーチでしたら、Dynataにご連絡ください!
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