ある日の散文

久しぶりに親友と会ったら、夢を諦めたと伝えられた。

挑戦しないまま身を引く選択をしたことに少し怒った。以前話してくれた決意を、話の端端に宿っていた熱を、今でも覚えている。あれは嘘だったのかと。

なんだか寂しくなった、ともに頑張りたかったのに。

数時間後の自分が何処にいるかさえも分からない、と打ち明けた彼は一人暮らしのフリーターとして時間を切り売りして生きている。そして僕には、書き続けてほしいとか言うのだ。

けど、僕のは夢とかいう大層なものじゃない。魂が向いた方へ、気持ちの揺らぎに任せてやっているだけの、そんなもの。


待ち合わせで2時間も待たせた挙句にドタキャンされたり、年齢を誤魔化されたりする人と関わるのをやめた方がいいと、つまらないほど真っ当なアドバイスをしたが、彼は聞き入れなかった。

それは恋心、というやつなのか。

その周りが見えなくなる感じは、経験したことのある、なんだか懐かしい感覚。

恋愛できることはとても素敵だし羨ましくも思う。でも寂しさを埋め合わせるだけの、相手に縋るような恋はやめた方がいいと、君に伝えたいよ。

覚悟のない恋は失うものも大きい。

また色々な事を話そう。思ったことはなるべく言いたいし、お互い真っ直ぐにぶつかり合って深く知っていこう。考えが違っても構わないと思ってる。


何処にいても何があっても味方だと、彼には伝えた。

別れ際に「飛ぶなよ」と真面目な顔で彼が言った。どうやら僕からは悲愴感や生きづらさが滲み出ているらしい。うん、確かに最近ひどく疲れることが多い。そこまで忙しくはないけど、色々なことが複雑になってきて。


出来るだけシンプルになるべく楽しんでやっていきたいね、頑張ろう。


読んでくださり、ありがとうございました。 今後より充実したものを目指していきます。