2023年10月9日 エレファントヘッド、白鍵と黒鍵の間に

そういえば、ちょっと前に白井智之『エレファントヘッド』(角川書店)を読み終えた。へ、変な小説〜〜〜!!!

「おいおいおい」と言ってしまうポイントが初っ端からいくつかある。見たことのない設定と展開、ぶっ壊れている倫理観、そこで成立するバキバキにロジカルな本格ミステリ。あんなにやばいのに無駄がない。一つの要素がいくつもの使われ方をする。もう超絶技巧である。去年『名探偵のいけにえ:人民教会殺人事件』(新潮社)が出て本格ミステリ大賞獲ったばっかりなのに。本作が変化球すぎて、個人的にはまだ王道路線と言える『名探偵のいけにえ』の方に軍配が上がってしまうのだが、それでも『エレファントヘッド』はやばい。

白井智之は倫理観がぶっ壊れた世界で本格ミステリをやる。設定は作品ごとにそれぞれだけれど、本格ミステリを成り立たせている一番の特殊設定はそのぶっ壊れた倫理観だろうな〜と思う。

まあ、書けるのはここまでですね。あらすじも不用意に書かないほうがいいかも。

今日は冨永昌敬監督『白鍵と黒鍵の間に』を観た。これもまた、変な映画。80年代、銀座のある一夜。池松壮亮演じるクラブのピアニスト南と池松壮亮演じるジャズを志す新人ピアニスト博の話。まあ、これもネタバレを避けようとするとあまり書けることがないのだが。でも、結構いい映画だった。途中、わけわかんなくなるけど、その辺ゆっくり考えてみると、やっぱり凝っていていい映画だったと思う。

内容とは全然関係ない話だが、佐野史郎が良かった。佐野史郎に昭和の文化人を演じてもらいたいな〜と思う。文芸批評家とか、映画関係者とか、ね。

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