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延命のような暮らしはいらない

思想家で武道家の内田樹さんが、こんなことをある本に書いていた。

岸田政権にはとりわけ実現したい政策があるわけではない。
最優先するのは「政権の延命」だけである。
たとえて言えば、船長が目的地を知らない船のようなものである。

内田樹「だからあれほど言ったのに」

よく考えると薄ら寒くなるような話だが、
実はこれって、私たちの暮らしにも似たようなことが起こっている気がする。
とにかくお金を稼いで家計を維持することが最優先で、言葉は悪いが対処療法的というのか、目的地が見えない暮らし。

ひとたび、心もカラダも健康に機嫌良く暮らしたい・・・なんてことを本気で考え始めると、社会のレールから外れ、独自の価値観で暮らしを立てるしかなくなる。

鳴門という地方都市に暮らしてみて思うのは、そういうことに気づいた街の人たちが今、地方に集まり始めているということ。

地方は自然も豊かで環境が良く、物価も安いし、行政のサービスも手厚かったりする。ただ、一番の問題は仕事。街で働いていたときのような収入を地方で得るのは、なかなかに難しい。だから、起業やお店を始める方も多いし、ミニマムだけど豊かな暮らしのスタイルに考え方をシフトされる方も多い。

どちらが、素晴らしくて、どちらがダメという話では無いけれど、そういった延命的な暮らしに気づくか、気づかないかというのは大きな問題だ。

「そんなこと言っても、仕方無い」・・・かつて私もそう思っていた。

何でもそうだけど、思考停止になるのが一番恐い。
大きな軌道修正をいきなりやるのは難しいかもしれないが、現実の生活の中で今やれることもある。

今から7年前、親の介護と仕事の両立で心が壊れそうになったとき、徳島の地に新たな暮らしの拠点を開いて二拠点生活を始めた。もちろん経費もかかるし、何より
こんな大変な時にそんなことをしていいのかと、自分を責める気持ちもあった。
けれど、自分の心を立て直すことが、あらゆる事において優先するべきとも思ったし、おかげで介護も仕事も、笑顔でとまではいかないが、両立することもできた。

そのことに端を発し、自分の暮らしを見つめ直せたおかげで、今の宿主としての暮らしがここにある。

宿でお客様の到着を待ちながら、パソコンで映像仕事をし、ふと気づいて晩ご飯のためにお米を炊く。こうして文字に書くとどうということもないが、この境地に至るまでに7年の2拠点生活が必要だった。

当たり前になっている暮らしを変えることは、簡単じゃ無い。
だからこそ、今そうしたことが普通にできる自分が嬉しいのだ。


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