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物の擬人化とイマジナリーフレンドのお話
絵本で頻繁に使われる手法の一つに「擬人化」があります。人ではないものを、人になぞらえて表現すること、それが擬人化ですね。絵本でも、動物や生き物、植物はもちろん、本来意思を持たない「物」も擬人化され、意思をもち、動き回り、喋ったりするキャラクターとして描かれてきました。
ひとくちに「擬人化されたキャラクターで絵本を作る」といっても様々な方法があり、考えるポイントは多々ありますが、今回は物の擬人化と
漫画家と絵本を作る その①
例によってものすごく久しぶりの更新です。
今回は、漫画家が描いた絵本を例に取りつつ、漫画と絵本の表現方法の違いについて考えていきたいと思います。
絵本と漫画、両方絵と言葉で構成されているという意味では、表現方法としては近しい存在だと言っても良いと思います。でも、決定的に違うところがあります。なんだと思いますか?
それは、絵本は見開きをめくることで進行するのに対して、漫画はコマを連ねることで進
絵本は「アイディア」だ、という話をしてみる。
突然気が向いたのでものすごく久しぶりに更新してみます。今日は絵本を作るためのアプローチのお話をします。僕はプロを目指す人のための絵本塾をやっているのですが、絵本を作りたい人からよく聞くセリフがあります。
「絵は描けるんですけど、お話が作れないんですよね……」
読んでいる人の中に、自分もそうだ、という人がいらっしゃるかも知れません。確かに、絵を並べるだけでは「絵本」にはなりません。絵本にするに
絵本編集者の担当本ごちゃごちゃ雑記 『えとえとがっせん』
京都nowakiで石黒亜矢子さんの『九つの星』原画展開催中ということで、石黒さんの『えとえとがっせん』のことを書いてみます。
『えとえとがっせん』のキーワードは伝統のアップデートでしょうか。石黒さんは、日本の絵巻物だったり、浮世絵などから影響を受けつつ、自分が摂取してきた漫画やアニメ、ホラー映画やカンフー映画などのカルチャーの要素を取り込んで伝統的な表現を現代版にアップデートしている作家です。
絵本編集者の担当本ごちゃごちゃ雑記 『いじわるちゃん』への(個人的な)考察
担当本についてごちゃごちゃ書いてみる第2回は『いじわるちゃん』(たんじあきこ 岩崎書店)について。前回ご紹介した『やましたくんはしゃべらない』と同じ「こんな子きらいかな?」シリーズの1作です。
例によって読んでいただいてからの方が良いのですが、とりあえずこちらを貼り付けておきます。
周囲にいじわるをしまくって恐れられている子どもが、そのいじわる力を見込まれておばけにスカウトされるのですが、あま
絵本編集者が担当本について色々書いてみる 『やましたくんはしゃべらない』
フリーで絵本の編集をしてます。これから、担当本について色々と書いていこうと思っています。内容の紹介だけでなく、編集のテクニカルな話もしていけたらと。
まず初回は『やましたくんはしゃべらない』(山下賢二・作 中田いくみ・絵 岩崎書店)を取り上げます。
こちらは2016年に夏葉社から出た『ガケ書房の頃』という本に収録されているエッセイを元にした絵本です。
ガケ書房は2004年から2015年に京都