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人材育成とスキル習得の話

こんにちは。高瀬です。株式会社ハートラスという会社で取締役CSMOとして経営、戦略策定、事業全体を管掌しています。

主に手掛けているのは「インハウス支援」です。前回のエントリーに引き続き、今回は私が身を置いている広告・マーケティング業界の「人材育成・スキル習得」について書いてみようと思います。

どんな業界なのか

自己紹介エントリーでも書きましたが、私は転職組として異業種からこの業界にきています。転職タイミングは2008年6月(当時27歳)でしたので業界歴は12年3ヶ月となります。業界全体をマクロに語れるほどの歴ではありませんが、まずは、個人的に感じているこの業界の教育、育成環境の印象を書いてみます。

※ちなみに広告・マーケティング業界といっても、デジタル専業のエージェンシーからのキャリアスタートですので、少し偏りがあるまとめになっているかもしれません。ご了承ください。

2008年当時、デジタルマーケの業界ってめちゃくちゃ機械的で先進的で、良く分からないけどカッコいい雰囲気に溢れているイメージを持っていました。何の根拠もありませんでしたが。笑

実際に入社してみて思ったのは、、、

・とにかく若い(20代半ばの部長がゴロゴロいたことに驚愕した)
・皆、物凄く楽しんでいる
・革靴が茶色い or ジャケパン
・めちゃくちゃ働く
・想像以上に人と人の繋がりやコミュニケーション力が求められる
・でも、目の前の人にメールで連絡したりする(直で話せば早いのに)

でした。

想定していた雰囲気はギャップ無し。(前職が不動産業界からきたこともあり、その違いも相まって、ということもあると思います)

一方で、機械的、先進的とは少し違いました。逆にアナログなコミュニケーション力が無いとうまく物事が進められないという印象を強くもった記憶があります。(当時、ベタベタのコミュニケーション=ベタコミ、なんていう言葉も飛び交っていた)

そして、育成・教育という観点では「徹底したOJTメイン」という印象でした。といっても個々にOJTの差はあるため、結果的には自分次第ですし、とにかく能動的にインプットとアウトプットを繰り返さないと置いて行かれる、という感覚です。ちなみに新卒は入社時の研修がしっかりとあり、その後はOJTメインだったと思います。

、、、という諸々は、あくまで2008年当時の話でして、現在は大きく異る状況です。

昨今は真逆で教育、育成のサポートが充実しています。弊社が属しているデジタルホールディングでもグループを横断した取り組みがありながら、個社毎にも様々な工夫がなされたプログラムが走ります。

そして相対的に見て、皆、とにかくやさしい。(多分、この「やさしい」は間違っていて、私の過去の経験値を基準にしてしまっているため「やさしい」という表現になってしまうのだという自覚はあります、、)

いずれにしても人軸、業務軸含め、各種研修や様々な仕組みがとにかく充実している思います。

※創業間もないベンチャーや、そもそも熟練メンバーで構成されているような企業であれば、上記のような環境とは異なることもあるかとは思います

もちろんのこと、各社、様々な取り組みがなされていますし、企業文化、各種制度によって差はあるかとは思いますが、この業界は総じて人材育成・教育の熱量は高いのでは、と感じています。

T型ではなく、もはや長方形

ことデジタル関連の情報となると、とにかく量も多く、変化も激しい。数ヶ月前の情報が古い、なんていうことは当たり前に起きます。ですので、常に最新情報をキャッチしておかないと付いていけなくなる。

一方で、足元の業務においても、デジタル関連においてはGoogle等の大手プラットフォーマーや、専門機能に特化した数多のベンダーが提供するツールや機能を随時アップデートするため、常に様々なテクノロジー、機能に触れていないと実行力が乏しくなる。

そしてコミュニケーション設計、基本的なトリプルメディア、制作、クリエイティブ、データ管理、インフラ/IT関連、分析、CRM、リサーチ、各種ツール、、、etcと知るべきことの幅がとても広い。

さらに言ってしまえばクライアント毎の業界トレンド、ビジネスモデル理解、戦略、財務など、挙げれば必要な知識の幅に際限がなくなってきます。マーケティング=経営だ、という方もいらっしゃるくらいなので、そりゃ、広くもなります。

もはや、網羅的に全ての領域の専門家になることはもはや不可能でしょう。
ただ、横断的に物事を俯瞰して見ることが、より再現性高く、かつ高い精度で物事を判断できると感じておりますので、可能な限り一定の基礎知識は持っておくべきです。

という事を話していくと、T型人材という枠組みには当てはまりません。昨今はTT型やn型など、いろいろな「型」があるようですが、個人的にはもはや長方形型とでも言いましょうか。そんな大変な時代になってきているな、と感じています。

スキル習得の仕方

では一体、どにようにスキルを習得していくのか。様々な意見があり、各々正しいと思いますが、私は以下のように考えています。(「学ぶ側」の視点で私の考えをまとめてみました。抽象的ですがご了承ください。笑)

結論、、、

・インプット(読書、セミナー、研修、OJTからの情報。なんでもOK)
・アウトプット(実際に手を動かして、実行する)

これに尽きます。いわずもがな、です。

ただ、上記の中でも、私は「基礎編」をインプットし、アウトプットで成功と失敗を繰り返して「応用編」を習得する。ということが重要である、という考えを持っています。

基礎的なことを学んだら、あとは実行あるのみ。分からないことがあれば聞く。100点満点で次に進むのではなく、70点くらいでガンガン実行すればよいと思います。

また、どの本を読めばいいの?どんなカリキュラムを受けたらいい?という疑問も湧くでしょう。その答えは無いのですが、周囲の尊敬する方やハイパフォーマーな方に聞くことをお勧めします。どのような回答がきても、こういった動きをしている時点でちゃんと学びを得ることが出来ると思います。能動的に動いている=自身の中に動機付けされている、からです。

ちなみに、弊社には以下のような20以上の育成プログラムのためのコンテンツを開発しているので、こういったものを活用して学ぶも良し。(順次、新講座を開発中)

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都合のいいタイミングでコラムサイトのコンテンツを読み漁るもよし。(一応、弊社のコラムページをのさせていただきます)

また、超個人的な観点ですが、応援&尊敬している知り合いが手掛けている「Co-Learning(コラーニング)」も良さそうなので、こちらもおススメ。チャット型で隙間時間に学べる形式。

また、皆さんには所属している部門やチームがあり、特定のミッションを抱えている環境に身を置いている方が多いと思います。つまり、限定的な範囲で業務に向き合うケースが多いのではないでしょうか。決して間違っていることではありませんし、そこで成果を出すことに尽力すべきです。

ただ、かといって視野が狭くなるのはさみしい。そういう時は、インプットは自由なので、気兼ねなく領域外のことを能動的に学べば良い。ある程度の限界もあるかとは思いますが、勝手に色々と絡めば良いと思います。他部門や、社外の方々と関わり、自ら手を挙げてプロジェクトに参加する、でも良いでしょう。

しっかりと自分の役割やミッションに向き合っている前提ですが、意外と自分が思っているほど制限されていないこともあります。「やれるなら、全然やっていいんじゃない?」という回答を上司から貰うこともあると思います。何事もチャレンジです。

年齢を重ねれば重ねるほどチャレンジが億劫になったり、熱い想いと共にがむしゃらに何かに向き合うことが恥ずかしくなったり、ということもあるとは思います。若かりし頃の当たり前だったことが、今ではマイノリティになっている、といったイメージです。

そんなことは全て無視しちゃいましょう。他人が何をどう言おうと関係ありません。
学んで、アウトプットし続けた者勝ちです。

体制や人材コンピテンシーとの整合性

今度は「学ぶ人を支援する側」の観点で少し書いてみます。

研修や教育のプログラム開発など、様々な取り組みがあると思います。ただ、その前に、私は以下を整理することがとても重要だと思っています。

・どのような組織、体制を構築したいのか
・そこで働く人はどんな能力要件が必要で、どんな知識を有してなければならないのか

つまり、組織、体制の「あるべき姿」を明確にするところから始めるべきだと考えています。勿論、現状とのギャップも踏まえて整理する。そして、そこに必要な人材=コンピテンシーを出来るだけ明確にすべきでしょう。

そうすることで初めて、本当に必要な知識やスキルが明確になりますので、それらを得てもらうため、定着するためのコンテンツ、仕組を用意する、という流れです。

当たり前と思う方も多いと思います。

が、インハウス支援をさせていただく中で、最初から上記が整理されている状態でプロジェクトが進むことはほぼありません。思いのほか整理しきれていない、もしくは、そもそも着手できていないことが多い印象です。

1.主に体制のグランドデザインや人材コンピテンシーを描く(できれば業務設計も整理)

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2.人材コンピテンシーを具体的に明確にする。

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上記を整理したうえで、教育のための育成プログラムを開発し、環境を整える。後は「学ぶ側」がちゃんと能動的に学べば、しっかりとスキルを習得できるのではないでしょうか。

何かの施策を始める前に、組織や人材の定義を明確にすることを強くお勧めします。

さいごに

いかがでしたでしょうか。弊社なりに、過去の自分たちの失敗含めた経験、多数のインハウス支援のプロジェクトを通じて得た考えを整理してみました。

勿論、記載したもの以外にも大切なことは多々あるとは思いますが、学ぶ側、学びを提供する側、双方が押さえるべきポイントを押さえて物事を進めばうまくいくのではないかと思います。

長文にも関わらず、最後までお読みいただき有難うございました。