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「豊かさ」ってなんだろう

「豊かさってなんだろう?」

今回のコンテストをキッカケに少し考えてみました。

父親の口癖「金が無い」

いつも小さい頃から父親から言われ続けてきた言葉があります。それは「お金が無い」という言葉です。

事あるごとに「お金が無い。」「うちは貧乏だ。」「無駄遣いをするな。」とずっと言われ続けていました。

何だかんだで高校と大学は私立に進学させてもらったので、そこについては感謝をしています。しかし、それよりも以前の幼少期から常にその言葉を投げ続けられていたことは嫌いでした。

物心ついた頃から言われ続けていたので、習い事や周りの友達が持っていたゲームをねだることもありませんでした。本当は「僕も欲しいなあ」と心の片隅には思っていたのかもしれませんが、「我が家にはお金が無い」と言われ続けていたので無意識にいつも諦めていたのだと思います。

我が家は毎月の生活費のみを母に手渡しして、母はその最低限の生活費の中で光熱費の支払いや食費を工面して、少しずつ浮いたお金で僕がほしいものを買ってくれたりもしました。その当時の母は、専業主婦で自分の収入も無かったので自分が欲しいものは我慢して僕のことを優先してくれました。いつも美味しい食事を出してくれて、こんな僕にも愛想を尽かすことなく育ててくれて本当に感謝しています。

しかし、父親は自分の趣味ややりたいことに自由にお金を使っていました。僕はそんな姿をずっと見てきて「お金が無い」のにどうしてだろうとずっと疑問に思っていました。そして、思春期になる頃には「”母親や僕”に使うお金が無い」んだろうなあと思うようになりました。

そんな僕が社会人になって

大学も無事にストレートで卒業して社会人になった僕も自分でお金を稼ぐようになりました。大手企業や高給取りの会社ではなくごく普通の会社でしたので、めちゃくちゃお金を稼いでいるわけではありませんが、それでも毎月きちんと働いた分だけのお金はもらえるようになりました。

僕は社会人になったと同時に親元を離れて会社の近くで一人暮らしを始めました。元々、一人っ子だということもあって1人には慣れていましたし、自分で自由にお金と時間を使えるという喜びに浸っていました。家ではテレビもロクに買い換えてくれなかったので、思い切って40インチの4Kテレビとブルーレイレコーダーを買ってみたり、BOSEの高音質のコンパクトスピーカーを買ってみたり、今の愛車であるボルボ240クラシックという車を買って乗り回したり、「自分の欲しいものはお金を貯めて自分で買える」という幸せを噛み締めていました。

しかし、どんなに自分の好きなものを買ったり、ふらっと一人旅に出かけてみたり、学生の頃よりも少しリッチに友達と飲みに行っても、僕の心はいつもどこか満たされていませんでした。コップ一杯に水が入った状態ではなく一杯になるまでには常に5mmくらい水が足りていない感覚でした。

なぜかと考えてみると、父親からの「お金が無い」という言葉に僕の心は縛られ続けているからでした。

「お金」は足りないよりも余っている方がいいです。お金は有れば有るほど自分の選択肢を広げてくれますし、幸せに近づくために非常に有効なアイテムです。人間が狩猟生活から農耕生活に切り替わり貧富の差が生まれ、貨幣制度に移行して、現在のような資本社会になるにつれて、「お金」というものによって貧富の差はますます広がっていくようになっていきました。

そんな中で僕は「お金が無い」と言われ続けていたために、上限の無い「お金が有る」という言葉を求めているんだと分かりました。

「お金が有る」状態とは、どんな状態なのでしょうか。誰よりも広い家を買って、高級車や自家用ジェットに乗って、バカンスに自分が所有する無人島に行く、そんな生活をしていれば「お金が有る」と思うのでしょうか。僕は違うと思います。きっとどんなにお金があっても「お金が無い」と自分が思ってしまえば、人はもっともっとお金を求めるんだと思います。

では、どうすれば僕の心は満たされるのでしょうか。

母親の教え

最初の方に書きましたが、母親は最低限の生活費の中から捻出したお金で僕の欲しいものを買ってくれました。

ただ、買う前に必ず聞いてくることがあります。それは、「本当に必要なもの?」「良いものを買いなさい」「物は大切に使いなさい」です。

「本当に必要なもの?」
この言葉は今でも心掛けています。何か欲しいものがあった時に、いつもこっそりと母親にねだると決まって「本当に必要なもの?」と聞かれました。ここで一旦立ち止まって考えることで、本当に必要かどうか見極めることができました。そうすることで、「やっぱり要らないかも」や「工夫すれば他のもので何とかなる」と思って買ってもらうのをやめたことも何回もあります。

今でもミニマリストではないですが、生活に必要のないものや不必要に沢山買うのはやめるようにしています。

「良いものを買いなさい」
”安物買いの銭失い”という言葉があるように、僕の母親は何かものを買う時には、必ずきちんと考えて長年使用できるものを買いなさいと言いました。僕に言うだけではなく、母親は自分の身の回りのものも長年使い続けているもので溢れていました。前述したように、母親は自分の欲しいものもなるべく我慢する生活を送っていましたが、それでも生活が出来ていたのは物持ちが良いものばかりを買っていたのだと思います。

僕も未だに中学生の頃に買った鞄を使い続けたりしています。

「物は大切に使いなさい」
母親からだけではなく、学校や周りの人たちは必ず言うと思います。僕も前述したように未だに10年以上前に購入したものやプレゼントされたものを大切に使っています。雑な扱いをしてしまったものはその分早くくたびれてダメになってしまい、また新しいものを購入しなければいけません。物を大切に使うということは、それだけでも節約をしているということになります。

そして、これらの母の教えを受けて育っていくと、僕の身の回りには愛着を持った大切なものばかりが溢れています。お金で買っただけでは得ることのできなかった豊かさを手にすることができているのです。

皆さんは「星の王子様」を読んだことはあるでしょうか。あの本に出てくる1本のバラと同じように、僕は自分にとって本当に必要なものを買ってもらい、それを長年大切に使い続けていったことで、沢山の宝物が生まれました。

僕は母から、「お金が無い」状態でもどうすれば心は豊かになるのかを教えてもらいました。

彼女と過ごす時間

僕には、今お付き合いしている彼女がいます。僕たち2人は価値観がとても似ているし、お互いが困った時は何も言わずに側にいてくれる、そんな関係です。

将来、結婚もしたいし子供も欲しいと2人でいつも話しています。

しかし、僕は父親からの「お金が無い」という言葉に囚われ続けているために、自分の子供にはそんなことを言いたくないですし、子供がやりたいと言った事に関しては思う存分にやらせてあげられるくらいの経済力を持ちたいと思っています。

このご時世で共働きが当たり前なのは百も承知ですが、あまり身体が丈夫ではない彼女のためにも自分1人で家族を養えるくらいじゃないと結婚はできないと常日頃から考えています。

でも、やはり現実は厳しく今のままではその夢は叶えられそうにありません。だから、いつか転職してもっと頑張ってもっとお金を稼ぎたいと思ってます。

そんな自分はある日、ふと気づきました。

「今の生活は幸せだな。」

それまでは、色々なところで知り合った女性とご飯を行ったり飲みに行ったりして金遣いも荒かったこともありました。

今は、彼女と一緒に近所のスーパーで買い物をして、彼女の作る手料理を2人で並んで食べることが多いです。でも、その時間が一番心が満たされていることに気づきました。ただ、2人で同じドラマを観たり、近所を散歩したり、帰りの車内の助手席で彼女がうたた寝していたり、そんな些細なことでも僕の心は満たされているのです。

「もやし生活で頑張ろう」と笑いながら言ってくれた時に、「お金」だけが全てではないと改めて思うことができました。

”「豊かさ」≠「お金」” だと。

心を豊かに(=心を満たす)

どうして、彼女と過ごす時間が楽しかったり自分の身の回りは宝物に溢れているのだろうか。

それは、「心が満たされている」状態だからなのだろうと思っています。

どんなにお金を持っていようとも、肝心な”自分の心”が満たされなければいつまでたっても「豊かさ」を得ることはできません。

お金」はあくまでも、心を豊かにするために使う道具の一つにすぎず、「お金」だけでは豊かな暮らしは送ることができないのです。

逆に言えば、お金が無くても心を豊かにさえすればいいんだと思います。僕はドレスで着飾った女性と高級レストランで食事をするよりも、彼女と1パックの納豆を半分こする食事の方が楽しいです。それは、彼女といる時間の方が心が満たされて幸せだからです。

惚気たことを書きたいわけではなくて、皆さんも自分の心が満たされることにお金と時間と愛情をかければ、それがいつしか宝物になってもっと大きくなって自分の元に還ってきます。

もちろん綺麗事だけで生きれる世界ではありません。時には、お金が無くて苦しむことだってあるかもしれません。でも、その時に心まで貧乏になってはいけないと僕は強く思います。

最後に・・・子供がいる皆さんへ

僕は「お金が無い」という言葉を言われ続けて、大人になった今でも心は縛られ続けています。結婚や子供をほしいという願望があっても上を見上げればキリがない「お金が有る」状態を追い求めています。

でも、僕は母親や今の彼女のおかげで「幸せ」を感じることができています。

お金が無くてもどうすれば幸せで豊かな生活ができるのかを教えてもらったからです。別に父親が悪いということではなく、「お金が無い」で終わるのではなく、「お金は無いけど、こうすればいい」と言ってくれるだけで救われたのだと思います。

だからこそ、もしもお金が無くて子育てもままならない場合でも、「お金が無い」という言葉を子供に言うのはやめてほしいです。心まで貧乏にする必要はどこにもないのですから。

#ゆたかさって何だろう

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