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お腹が張る:症例の紹介

その人の好きなものや生活スタイル、食事や趣味まで。できるだけその人をたくさん知る。
そして病気ではなく、その『人』を診る。
現代の日本のような”治療=西洋医学”ではなく、自身の自然治癒力を高める栄養療法なども用いた【バランスメディカル】の重要性を伝える『病気にさせない内科医』るり先生。

問診や血液検査などにより疾患の原因を追究し、その原因に対する根本的治療を行っている。
2021年から栄養療法を開始
ライナスポーリング博士の提唱する分子整合栄養医学を医療に取り入れた観点からのバランスメディカルを展開する。がんや糖尿病、リウマチ疾患、精神疾患まで幅広い患者を治療している。



今日は症例をひとつ紹介します✍🏻

ダイエットサロンに通われていた30代の患者様。
ダイエットには成功はした一方で、お腹の膨満感に悩まされているとのことで来院。おならも頻回に出る。
またダイエットサロンに通い始めた頃より徐々に、血液検査で異常を指摘されるように。血液検査では主に、肝臓や胆嚢といった臓器の機能を表す値が上昇していたため、内科の病院で超音波の検査も受けたが、特に異常はないと言われていた。
経過を見ていたが、年々上昇する血液検査の値。
不安になり、当院を受診されました。



食事についてもそこのサロンは指導があるようで、指導内容は『食事前に千切りキャベツをたくさん食べること』

同様の症状がある方、意外と多いのではないでしょうか?
一見、お腹にも良いことをしているように聞こえますが、実はお腹に悪影響を及ぼしているケース。
この患者様も、キャベツという食物繊維たっぷりのものを食事前に毎日食べている。健康的!に聞こえますよね。
毎日酵素ドリンクを飲んでいる。
毎日ヨーグルトを摂っている。
善玉菌を意識して摂っている。
なのに何だかお腹の調子が良くない。おならがよく出る。
なぜでしょう?

これはSIBOという病態です。


SIBOとは?


腸内細菌異常増殖症候群Small Intestinal Bacterial Overgrowth
本来小腸という腸には腸内細菌が多くないのに、そこに腸内細菌が大量に発生する病態。

医者も実はあまりこの病態のことを知りません。。。

SIBOの症状

おならが出る 
食事のたびにお腹が張る 
毎日便秘 
お腹が何となく痛む 
ゲップが出る 
病院に行っても原因不明

食べたものを小腸の細菌が分解し、ガスを発生させることで、上記のような症状を引き起こします。

SIBOを放っておくと?

ひどくなると、胃腸症状と関係のない、疲労や皮膚の痒みなど他の病気を引き起こしていきます。
例えば、IBS(過敏性腸症候群)。
お腹が痛くなったり、便秘や下痢を繰り返す病気です。
他にも腸漏れ(リーキーガット症候群)を引き起こしていきます。
皮膚の症状にも関係すると言われています。
酒さという赤みを呈する病気の45-65%の患者さんにSIBOを認めるという報告もあります。
また異常に繁殖した小腸の細菌が酵素を出します。この酵素がトリプトファンや、幸せホルモン『セロトニン』、睡眠ホルモン『メラトニン』を減らしてしまいます。そのため、不眠やうつ病、過食を引き起こします。

SIBOの原因

1.胃酸の低下
胃酸はまず外から入ってきた細菌を減らす働きをします。そんな殺菌作用のある胃酸が低下すると、菌がたくさん体内に入ってきてしまいます。
周りに腐りかけているもの食べても、お腹を壊さない人いませんか?
そんな人は強力な胃酸を持っているのです💯
2.ストレス
難しい話ですが、小腸にはIgAという免疫の抗体がたくさん存在します (私内科の中でも特に免疫系が専門なんです)
そのIgAがストレスによって減少してしまうと、細菌が増えやすくなってしまいます。
3.腸の動き
腸の動きがスムーズでないと、菌は繁殖しやすくなります。
4.欧米食
悪玉菌が繁殖しやすい食事!ここ最近SIBOが増えているのは、食事が大きな原因です⚠️

SIBOの治療

残念ながら放っておいても良くなりません。
増えすぎた菌を減らす+腸の動きや酵素の働きを正す!こと。
そして再発しやすいので、食事を見直すことも大切です。
1.増えすぎた菌を減らす
 グレープフルーツシード、ラウリン酸(ココナッツに多く含まれる) がおすすめ。
 抗生物質と違って、カンジダ菌も抑える◎。
 耐性菌も増やさない。
 生ニンニクも良いですよ!
2.腸の動きや酵素の働きを正す
 ①運動・睡眠・ストレス対策
 ②セロトニンやメラトニンを増やすと腸の動きを改善するので、それらを増やす栄養素を補充
 ③回盲弁のマッサージ
 ④胃酸や消化酵素、胆汁の補充:胃酸を出すには食前に酸っぱいものを食べるとGood.
 胆汁を出すには、たんぽぽ茶や杜仲茶がおすすめ♡
3.再発予防
 ①グルテンや乳製品を避ける
 ②細菌が増える原因になる食物繊維が多い食べ物は一定期間避ける
 ③生野菜などでなく、加熱して食べるように。
 ④低FODMAP食を意識  
 ※低FODMAP食とは、乳製品、小麦、豆、アスパラガス、玉ねぎ、ネギ、りんご、さくらんぼ、人工甘味料などを避ける食事のこと。
 ⑤にんじん、ズッキーニ、ほうれん草、レタス、トマトは比較的安全!

専門的なお話をたくさんしましたが、このSIBOという状態に気づかずに、菌が増え過ぎている状態の身体に、日々その菌の餌である食物繊維や、さらなる菌(善玉菌でも逆効果)を与え続けると、どんどん菌が増えてしまって、大変なことになります。
何だか調子がおかしいなと自分自身が感じたら、その自分自身の体感がSOSです。
ぜひこれらの方法を実践してみてください🤍

当院の患者様は、この患者様に限らず
・食事をまずは中止して(キャベツ)、改善する
・それと同時に腸の動きを改善させるために、血液検査の結果からその方に不足しているミネラルやビタミンを補充していく。
これを行うだけで多くの方が改善しています。

今お腹の症状で困っている方の参考になりますように♡

Have a nice day!

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