こんにちは。Dr.Kです。大学病院に勤務しながら、HIVや感染症に関する知識の啓発を行っています。 HIVは、長年にわたり深刻な公衆衛生問題として認識されてきました。 しかし、医学と科学の進歩により、HIV陽性者の生活の質と寿命は劇的に改善されました。その中でも、「U=U(Undetectable = Untransmittable)」の概念は、HIV陽性者とそのパートナーにとって革命的な意味を持つ新しいパラダイムです。 本記事では、U=Uの意味、その科学的根拠、社会的影響、
こんにちは。Dr.Kです。大学病院に勤務しながら、感染症に関する知識の啓発を行っています。 今日は「感染症診療に役立つ微生物の基礎知識」についてです。 感染症の勉強をするにあたって、微生物に関する知識が苦手という方は多いのではないでしょうか? 菌の種類が多くて覚えられない、ラテン語の読み方がわからない、そもそも興味がない、このように感じている医療従事者は少なくないと思います。 「肺炎ならセフトリアキソンを使えばいい」 「尿路感染症ならセフメタゾールを使い、CRPが高ければ
こんにちは。Dr.Kです。大学病院に勤務しながら、感染症に関する知識の啓発を行っています。 今日は、性感染症(STI)の予防における新たな選択肢として注目されている「Doxy-PEP」についてお話ししたいと思います。 Doxy-PEPとは、性的接触後に予防的にドキシサイクリンを服用することで、細菌性のSTIを予防する方法です。 コンドームの使用は最も効果的なSTI予防法ですが、Doxy-PEPは追加の予防オプションとして期待されています。 特に、男性とセックスをする男性(M
こんにちは。Dr.Kです。大学病院に勤務しながら、感染症に関する知識の啓発を行っています。 今日は、ヒトパピローマウイルス(HPV)とHPVワクチンについてです。 HPVは、性的接触により感染するウイルスで、子宮頸がんなどの原因となることが知られています。HPVワクチンは、このHPVの感染を予防するためのワクチンです。 日本では、2013年に「HPVワクチン接種の積極的推奨の中止」が行われましたが、これは副反応の報告を受けての措置でした。しかし、その後の研究で、HPVワクチ
こんにちは。Dr.Kです。大学病院に勤務しながら、HIVや感染症に関する知識の啓発を行っています。 今回は各国のガイドラインでも初回治療の推奨レジメンとして記載されているドルテグラビル/ラミブジン(ドウベイト)配合錠についての解説です。 今までの抗レトロウイルス療法はなぜ3剤だったのか、2剤にすることの安全性やメリット、デメリットはなんなのか?、などについて様々な研究結果を元に解説したいと思います。 かなりの長文ですが、お付き合いください。 1. HIV治療の変遷HIV感染
こんにちは。Dr.Kです。大学病院に勤務しながら、HIVや感染症に関する知識の啓発を行っています。 初回治療に用いる抗HIV薬の選び方について2024年3月に改訂された抗HIV治療ガイドラインにそって解説を行いたいと思います。 現在ガイドラインで推奨されている抗HIV薬の大まかな特徴についてまとめました。 長文となっていますがお読みいただけると幸いです。 抗HIV薬選択の基本2024年3月現在、日本で使用可能な抗HIV薬は、作用機序により6つのカテゴリー、合計で31種類の
こんにちは。Dr.Kです。大学病院に勤務しながら、HIVや感染症に関する知識の啓発を行っています。 第2段目の投稿ですが、抗HIV治療の開始時期について2024年3月に改訂された抗HIV治療ガイドラインにそって解説を行いたいと思います。 HIV陽性となった場合、 いつから治療を始めるのか? いつから治療を始めたらいいのか? いつになったら治療が始められるのか? などについて解説していきます。 抗HIV治療ガイドライン2024年版3月PDF版 治療開始時期と治療成績HIV
はじめまして。Dr.Kと申します。大学病院に勤務しながら、HIVや感染症に関する知識の啓発を行っています。 記念すべき初めての投稿ですが、基本的なHIVの知識について2024年3月に改訂された抗HIV治療ガイドラインにそって解説を行いたいと思います。 このガイドラインは毎年3月に改訂されていますが、毎年最新の情報を元にアップデートを重ねられている編集委員の先生には頭が上がりません。 抗HIV治療ガイドライン2024年版3月PDF版 https://hiv-guideline