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【博士のこと。】博士だって性格・特技はさまざまだよ!

今日は、企業に就職してから感じた、博士人材に関するお話を書きたいと思います。ここでは、社会人でお仕事をしながら博士号を取得した方ではなく、博士課程を大学で過ごし博士号を取得した方について触れます。

博士人材につきまとう負のイメージ

博士人材というと、世間ではマイナスなイメージで捉えられることが多いと感じます。

・特定の分野にしか興味なさそう
・研究しかやってないから頭かたそう
・コミュニケーション能力が低そう
・チームで働くよりも1人で働くのが好きそう

上のイメージに該当する方も確かにいます。でも、そういう方は、博士だろうが、修士だろうが、どんな学歴の方でも、該当する方はいるんじゃないかと思います。

博士人材だって性格はさまざま!

たしかに、博士号を取得するためには、ある特定の研究分野でとことん深掘りをしないといけないので、高い専門性は間違いなく身につきます。

けれど、「専門性が高い=他のことに興味がない」というのは、ちょっと強引な結論だなって感じます。そういう方もいますが、みんながみんな、そうではないです。

例えば、私の場合、博士号取得後に入社した会社では、博士課程で培った専門性を活かして開発職に就きました。
けれど、専門性とはまったく関係なく、いろんな分野の方と一緒に物事を作り上げることにも興味がありました。開発業務に加えて、職種が異なる若手社員と一緒に新規事業を企画したり、別の新規事業の調査に立候補して積極的に携わったり、いろいろチャレンジするようにしていました。

一方、私と同じ部署に勤めていた先輩の博士人材の方は、私よりも技術的なことに興味を持ち、技術面をどんどん磨いて新規事業を形にしようと、とことん専門性を極めていました。
それに加えて、その専門性を生かして、上記の新規事業とは異なる、別の部署で企画されていた事業にも自ら立候補して参加していて、かなりアグレッシブにお仕事されていました。

このように同じ博士人材でも、私のように専門性を活かしながらも、専門性とはまったくかけ離れたことにチャレンジする人がいる一方で、専門性をとことん活用して幅を広げていくような方もいます。

所属していた環境で得意が変わる?

社会人は、所属する部署・職種によって、身につく能力がさまざまです。

例えば、開発職では特許を書く機会がありますが、営業職では特許を書く機会はなかなかないと思います。逆に、営業職ではお客様と直接やり取りを行い、セールスの考え方・進め方が身につくと思いますが、開発職ではお客様と接する機会はなかなか得られないので、営業職で身につくスキルを身につけることは難しいと思います。

それと同じように、博士人材も、博士課程在籍時に所属していた研究室・ゼミによって、身につく能力はさまざまです。

例えば、英会話力。

私の所属していた研究室には、留学生があまりいなかったし、海外留学をする機会も特にありませんでした。自ら英会話を学ぶ方法以外には、日常生活で英語を話す機会がなかったのと、もともと英語が嫌いだったこともあり、私の英会話力は壊滅的です。国際会議で質問がきたときは、ボディランゲージなどを駆使して乗り切ったレベル(それでも賞はとれます!汗)。

一方、留学生が毎年入ってくるような研究室では、日常会話程度であれば話せる人も多く、私よりも英語に抵抗感がない方が多かった印象です。

もう一つ例を上げるとすると、プレゼン力について。

博士課程に進学すると、学会や研究会に参加する機会が多く、意外と人前で話す機会が多いです。ただ、学会や研究会となると、自分の専門分野で話しますし、私よりも専門を極めている方々(教授など)が参加されているので、専門性全開でプレゼンすることになります。

一方、就職活動など、自分の専門分野について知らない方々に説明するときがあります。そういうときに、学会や研究会と同じように話す博士学生がけっこういるなぁと感じました。

私は、企業の方々に自身の研究を話す機会に恵まれていたので、他の学生に比べると「前提知識のない方々にどうやって自分の研究を伝えればいいのか」コツを掴んでいたように思います。

このように、博士人材にも、得意・不得意の能力があります。
もちろん、博士課程での研究活動を通じて、専門性や考察力、調査力など、博士学生が共通して身につけられる能力はあります。ですが、それらにプラスして身につく能力は、環境によっても異なるんじゃないかな、と感じています。

博士人材それぞれの性格や得意・不得意は違う

博士人材と言っても、本人の性格や得意・不得意は異なるので、一括りにするのはなかなか難しいです。

ただ、専門性や考察力など、博士課程で共通して身につく能力にプラスして、それぞれが得意とする能力があります。それらは、社会人になってから役に立たないわけではなく、十分活かせるものばかりです。

得意・不得意はあれど、博士課程でどんな能力が身につくのか、企業側も把握した上で、博士人材と向き合ってもらえるようになったら良いなと思います。

また博士学生は、自分の専門分野という狭いコミュニティに属しているので、自分が身につけた能力や経験したことが、どう社会に出て役立つのか分かりづらいと思います。実際、私は社会に出てから、博士で培った能力・経験を、企業でどのように活かせるのか体感しました。

博士学生側も、自分の能力や得意・不得意を理解し、どう社会に活かせるのか、考えられるようになったら良いな、と思います。

そのためにも、研究機関ではなく企業に就職した私のような人材が、自身の経験や想いを発信することで、社会と博士人材をつなぐ後押しができたら嬉しいです。

博士人材がもっと活躍できる社会となりますように!

Dr.りけ子(Tsugumi)

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