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40代会社員が、パラレルキャリアで「ドリフターズスタンド」を始めて4年が経った話

丸4年、会社員とのパラレルキャリアで「ドリフターズスタンド」を運営。
迷って悩んで考えて、最後は勢いで始めた個人事業。
結果として「やってよかった」しかないという話です。

◾️自己紹介

僕タケミチさんは「ドリフターズスタンド」のオーナー。47歳。
消費財メーカーの会社員として大卒から25年間1つの会社に勤務。
パラレルキャリアで2019年から「ドリフターズスタンド」を夫婦2人で営んでいます。趣味はULハイキングとクラフトビール。

◾️始めたきっかけ

会社の仕事と自己実現が一致しなくなってきた40代前半。「会社名を外した自分は何者なんだ?」という閉塞感と不安の打破のために始めました。
同時に会社だけに頼りすぎずに生きていける自信と環境を作りたかった。
好きなカルチャーを微力ながら拡げていきたい思いと重ねて始めました。
尚、物販も飲食も酒販も全て未経験です。

◾️ドリフターズスタンドとは

東京  戸越銀座にある、ガレージブランドの旅道具の物販と、クラフトビールの酒販(角打ち可)のハイブリッド店舗(兼飲食店)。
外遊び好きがビール飲みながら/買い物をしながら会話を楽しんだり、人が繋がっていくコミュニティ。平日夜に週3日(水木金の19−22時)営業。

◾️当初思っていた「こうなったらいいな」

・最低限、採算として損をしていないこと(利益で家賃をペイできていること)
・3年で初期投資(300万円)を回収し、3年後から粗利から家賃光熱費を引いて僅かな利益が出ていること(先行投資の諸経費は除く)
・外遊びとビールが好きな人が集まり、繋がる場所になれていること
・ビールも旅道具も作り手と一緒にその商品とカルチャーを育てていけること

「志」はあったけど、最初はお金の不安が真っ先に来ていました。

開業4年後のリアル(有形資産と無形資産)

◾️有形資産とその評価

4年間の平均粗利益から家賃光熱費と一部固定費を引いた利益を夫婦2人の労働時間で割ると平均時給には届きません。(実際は先行投資の諸経費や給与などを加味すると事業は赤字です。[下記])

当初想定した「初期投資を回収して、粗利ベースでは小遣い程度の利益になっている」状態にはありますが、効率の悪い商売と言えます。(もちろん月次や年次での浮き沈みはあります。)

加えて、今は将来の独立および事業の安定化に向けての先行投資の時期なので、広義の研究開発費や調査費やイベント・コンテンツ作成費、外遊びの設備投資に加え、生産現場の見学や関係づくり、フィールドテストの旅費などが嵩み、事業利益はマイナスです。だけど、将来を切り拓く意気込みがあるので、充実感が違う。

副業という位置付けではもっと効率の良い案件はたくさんありましたね。
例えば、開業資金を米国株に投資して、労力をUBER配達に使うのが「金稼ぎ」という視点ではベターだったのかもしれない。
また、会社員として昇格した方が額面としてはいいかもしれない。

但し、他の何に投資したとしても、会社で昇格しても、下記の無形資産は得られない。何千万払っても良き友達とコミュニティは作れないもんね。

◾️人生を豊かにする「無形資産」ができて幸せだ。

・友達がめちゃくちゃ増えた

会社員のみの暮らしをしていては出会えない友達と遊びに行ってる。
とにかく楽しい。

・お客さん同士の繋がりが新たな旅を生んだ

ドリフで出会った人たち同士が、相互に刺激され、新たな遊びやライフワークが生まれている。わずかではあるが、そんなきっかけを作れる場所になっていることが嬉しい。

・旅先での会話が豊かになった

僕たちの旅のほとんどは「外遊び」か「ビール(食)」。
自己紹介が容易になり会話も広がる。ごくたまに知ってくれている人も居て嬉しく思う。僕らを作る「旅」自体が豊かになった。「何者か」になったからだと思う。

・事業やってるからこその事業感覚が身についた

自分のカネで自分の判断で事業を行うことはヒリヒリする。
会計や税務、固定資産など全てを見ることも自ずから必要になる。大きな企業の会社員では事業部にいてもそこまではなれなかった。
自分のカネじゃないし、判断は自分だけではないから。
但し、会社員を通じて培われたビジネススキルを体系として理解していることは確実に役に立っているので感謝。自身のスキルの把握にもなる。

・ドリフの経営を通じて、会社の仕事につながるマネジメント力がついた

ドリフで人を活かしながらコミュニティビルディングを軸に店を運営する経験が、チームマネジメントに活きている。自発性を促すマネジメントスタイルだ。
同時に自己実現がドリフで出来ているので、会社員一本の時代よりも心にゆとりを持って、物事を俯瞰できたり、許容できるようになった側面も大きい。
前述の事業感覚も活きていて、パラレルキャリアによる相互補完が生まれていることを実感している。

・いつ会社辞めても「なんとかできる自信」がついた。

今のドリフの運営と営業時間では完全独立はすぐには難しいが、いくつかの生業を組み合わせて、暮らしを成り立てることは可能と思えるようになった。
辞めたときの生業をいくつか持てるような模索を始めている。特に社会やカルチャーへの貢献を第一に考えるようになってきた。
また、会社に依存しない心持ちでも居られるのは大きい。

◾️とはいえ、大変なこと

体力的にはしんどい。(慣れたけど)
月ー金フルタイムで働いたあとは、準備か営業。
休みの土曜日は疲労でAMは寝て過ごしている。土曜日の遠出が少なくなったのは事実。
土日もリサーチしたり、テキスト書いたり、打合せしたり。

あとは、いつか「誰も来なくなる日の不安」は常にある。

◾️運が良かったから続いてる

考えて動いて工夫はした。だけど、とにかく運が良い。
加えるならば、カルチャーのライフサイクル的なタイミングは良かった。
クラフトビールもULハイキングをバックボーンとするガレージブランドも、開業当初は「導入期」にあり、今も「成長期」にあることがポイントではあったと思う。
但し、今後は成熟期を迎えることから、変化なしには続かないということ。

◾️最後に

なぜ、この記事を書いたのかというと、そんな悩みや不安を抱えている人たちが動き出すきっかけになればいいなという思いから。

その不安はきっと「お金の不安」と「動き出す決断のハードル」。
一人のリアルな話として参考になればと。

こんな経験ができたのは「動いたから」。
悩める40代。いや30代くらいから動いてみるといいぞ。

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